鍼灸科コラム 『突発性難聴と鍼灸治療について』 by齊藤先生

皆さんこんにちは!鍼灸科の齊藤です。

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皆さんは「突発性難聴」という病気をご存知ですか?

今年の6月末、アイドルグループKinki Kidsの堂本剛さんが、突発性難聴を患い入院したとのニュースが流れました。
その後テレビ番組への出演には復帰されたものの、ライブの開催中止や野外フェスへの出演中止など、
音楽活動への影響が続いていましたが、10月29日に待望のステージ復帰を果たされました。

このニュースをきっかけに知った方もいらっしゃるかと思います。
今回はこの「突発性難聴」についてご紹介します。

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○突発性難聴の症状とは?

突発性難聴は、その名の通りある日突然発症する難聴のことです。一言で「難聴」と言っても、聞こえにくさの程度は様々ですが、重度になるとほとんど聞こえないという方もいらっしゃいます。ただし、ほとんどの場合片側だけに起こるので、両耳ともいっぺんに聞こえなくなるということではありません(ただし、反対側の聴力も「突発性難聴」と診断されない範囲で落ちることはあります)。また、難聴以外に、めまいや吐き気、耳鳴りといった症状が現れることもあります。以前に治療させていただいた患者さんの中には、起床後、立っていられない程の激しいめまいと嘔吐に襲われ、難聴には後から気付いたという方もいらっしゃいました。

○突発性難聴の原因は?

はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレスや内耳という音を感知するセンサーがある部分の血流障害などが原因として考えられています。また、ウイルス感染をきっかけとして発症するとも言われています。若い方から高齢の方までどの年代でも発症しますが、特に30歳代から60歳代に多い病気です。

○突発性難聴の治療とは

原因が明確でない為、確実に治る治療も無いのが現状です。病院で行われる“標準的”な治療は、血液循環を良くすることを目的とした、ステロイドやビタミン剤などの薬物療法です。また、発症から2週間頃を境に、症状が固定化、つまり良くも悪くも変化しない状態になる傾向があるため、できる限り早く医療機関を受診し、治療を開始することが予後に影響すると言われています。ただし、これもあくまで目安で、早期治療をしても改善しないケースもあります。突発性難聴の予後として、3分の1は改善し、3分の1は多少の回復は見られるものの完治はせず、残りの3分の1はまったく回復しないとも言われています。特に初期症状が重度の方は、症状が固定化しやすく、治りにくい傾向にあります。

こうした、“標準的”な治療以外にも、首にある神経節という神経の中継地点に麻酔薬を注入する、ブロック注射(星状神経節ブロック、上頚神経節ブロック)も行われることがあり、症状が固定化してしまった方にも効果があったという報告もあります。鍼灸治療も、“標準的”な治療以外の方法の一つに含まれます。

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○突発性難聴の鍼灸治療について

突発性難聴に限らず、難聴、耳鳴りといった耳の症状をお持ちの方は、ほとんどと言っていいほど首や肩のこりを持っています。また、今まで治療させていただいた患者さんを見ても、なんらかのストレスを抱え、そのストレスが発症に関与している印象が強いです。このような首・肩のこりやストレスは、血流障害を起こす原因となります。こうしたこりをほぐし、リラックスさせ、内耳への血液循環を良くすることが、鍼灸治療の目的の1つになります。具体的には、完骨(かんこつ;耳の後にある出っ張った骨のすぐ後のくぼみ)、翳風(えいふう;耳たぶの後にあるくぼみ)、天容(てんよう;あごの「えら」と呼ばれる部分の後のくぼみ)、天柱(てんちゅう;後頭部の出っ張りのすぐ下のくぼみの外側にある筋肉の盛り上がったところ)、肩井(けんせい;首の付け根と肩先との真ん中)などの首、肩のツボに鍼をしたり、刺さない鍼を使って背中をさすったりします。麻酔薬は使いませんが、鍼灸治療の「鍼」でも、ブロック注射のような治療を行うこともできます。

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“標準的”とされる薬物療法でも、治る患者さんは3分の1というのが突発性難聴の現状です。方法は異なるものの、鍼灸治療も“標準的”治療と目的は同じです。また、薬物治療との併用も可能です。

誰にでも罹る可能性のある突発性難聴。

鍼灸治療も治療の選択肢の1つになることを知っておいて下されば幸いです。
この病気以外でも鍼灸治療にご興味を持った方がいらっしゃったらいつでもお問い合わせ下さいね。
では、寒い時期になりましたので、皆様お身体に気をつけてお過ごし下さい。