「ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには」

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるには

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護保険制度のスペシャリスト。

介護が必要になった人やその家族に対して、利用する介護保険サービスの種類やその提供時間について提案します。

そんな介護保険サービスを主導するリーダーとして、他の介護職種をまとめるケアマネジャーになるには?

ケアマネジャーになるのに必要な介護支援専門員の資格を取得する方法や、その仕事内容について解説していきます。

ケアマネジャー(介護支援専門員)になる方法

ケアマネージャーになるには、介護支援専門員という公的資格を取得する必要があります。

そして介護支援専門員の資格を取得するためにはまず、受験資格を満たして資格試験に合格。

その後、定められた研修を修了しなければなりません。

ケアマネージャーになるための工程は主に、以下の通りです。

①介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を得る
②介護支援専門員実務研修受講試験に合格
③介護支援専門員実務研修を修了

一つ一つのステップについて、詳しく解説していきます。

①受験資格を得る

ケアマネージャーとなるために必要な介護支援専門員実務研修受講試験を受けるには、まずその受験資格を満たす必要があります。

介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格が認められるのは主に、以下の2つのうちいずれかの要件を満たした人です。

(1)医師、歯科医師、看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士などの定められた国家資格をもち、その実務経験が5年以上(実際に業務に従事した期間900日以上)ある人

(2)生活相談員、支援相談員、相談支援専門員などとして、相談業務の実務経験が5年以上(実際に業務に従事した期間900日以上)ある人

2017年までは、介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級)の有資格者や資格を持っていない人でも、一定の業務経験があれば、その受験資格を得ることができました。

しかし2018年からは、職種の専門性を高めるために、上記の新しい受験資格に移行。

定められた有資格者で5年以上の実務経験を持つ者か、相談業務で5年以上実務経験のある者でないと、介護支援専門員となるための試験を受けることができなくなりました。

②介護支援専門員実務研修受講試験に合格

受験資格を満たすと、ケアマネージャーとなるために必要な介護支援専門員実務研修受講試験を受験することができます。

介護支援専門員は国家資格ではなく、各都道府県が管理する公的資格です。

このため受験の申し込み方法や費用、実施日程などの詳細については各都道府県のホームページ等で確認する必要があります。

試験の内容は5肢選択のマークシート方式で、「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野」から計60問が出題。

配点は1問1点で、各分野において70%以上の正答率で合格となります。

③介護支援専門員実務研修を修了

試験に合格したら次は、ケアマネジャーとして働くうえで必要な知識や技術を身につけるために、介護支援専門員実務研修を修了する必要があります。

介護支援専門員実務研修では講義・演習が15日間と、実務研修が3日間行われます。

全日程を受講して登録申請を行えば、介護支援専門員証が都道府県から交付され、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を得ることが可能です。

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーの主な仕事は、介護を必要とする人(要介護者)のために、利用する介護サービスを計画することです。

医師や現場で直接介護にあたる介護スタッフなどのリーダー役として、利用者に適切な介護サービスが提供できるようマネジメントします。

そんなケアマネジャー(介護支援専門員)の主な仕事内容は、以下の通りです。

・介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
・相談・調整業務
・給付管理業務

介護サービス計画書(ケアプランの作成)

ケアマネジャーは、要介護認定を受けた人たち一人ひとりに合った介護サービス計画書(ケアプラン)を作成します。

ケアプランとは、どんな介護サービスを週(月)にどれくらい行うかを、予定表やサービス一覧でまとめたものです。

ケアマネジャーは、利用者の心身の状態や、トイレ・入浴・食事などの日常的な動作で困ったことがないか、本人やその家族から聞きとり調査を行い、その情報をもとに今後のケアプランを提案します。

相談・調整業務

ケアマネジャー(介護支援専門員)の仕事は、ケアプランを作成したら終わりというわけではありません。

利用者や家族の相談に乗り、その問題を解決するべく各機関に働きかけるのも、ケアマネジャーの大切な仕事です。

定期的に利用者にもとに訪れて、サービスに不満はないか、もっと必要なサービスはないかどうかしっかり状況をチェック。

必要な場合は、医師や直接介護にあたる介護スタッフ、リハビリテーションの専門職などを集めてサービス担当者会議を開き、ケアプランの見直しや変更を行います。

給付管理業務

介護保険サービスを利用した場合、要介護認定を受けた人が負担するのは利用料金の1~2割です。

残りの8〜9割の介護報酬は、市区町村によって支払われます。

このとき介護サービス事業者に対して、介護報酬が間違いなく支払われるよう管理する給付管理業務も、ケアマネジャーの仕事です。

利用者の介護サービス利用状況を月単位で給付管理表に記入し、市区町村の窓口に送ります。

そのほかにも、利用者ごとに訪問介護の計画書や訪問看護の報告書をファイリングするなど、ケアマネジャーがすべき介事務作業はたくさんあります。

【参考文献】
職場体験完全ガイド 福祉の仕事3 46
発行者:奥村 博 ポプラ社 2016年4月発行 

ケアマネジャーの資格を取得するメリット

ケアマネジャーの資格を取得するメリット

ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格は難易度が高い分、取得するメリットは大きいです。

介護保険制度や医療関係などの専門知識が身につくため業務の幅が広がりますし、給与も一般的な介護職員より高くなります。

またケアマネジャーは、介護保険サービスのマネジメントを行うなどデスクワークが中心ですので、比較的続けやすい仕事です。

自身でスケジュールを組むので時間の融通もききやすく、居宅ケアマネなら夜勤もありません。

このため、体力的に現場で介護をするのが難しくなってきたという介護福祉士の方や、結婚をして子どもがいる人が、介護業界で長く活躍するための選択肢としてもよく選ばれています。

ケアマネジャーに向いている人

利用者本人やその家族から信頼してもらえなければ、困っていることや悩みなどの本音は、なかなか打ち明けてもらえません。

このためケアマネジャー(介護支援専門員)は誠実で穏やかな人柄で、「相談に乗るのが好き」または「人に相談されることが多い」という人に向いているでしょう。

また、円滑に介護サービスを展開するためには、実際に介護を行う介護職員や、担当医師との情報共有・連携も大切です。

このようにケアマネジャーは、利用者本人やその家族をはじめ、さまざまな職種の人と関わる仕事ですので、コミュニケーション力のある人に向いている職業といえます。

ケアマネジャーのやりがい

ケアマネジャー(介護支援専門員)に限らず介護職種全般は、「人の役に立つことができた」という実感を得やすい仕事です。

その中でも特にケアマネジャーは、利用者一人ひとりに適した介護サービスを考える立場。

自分の立てたケアプランによって、利用者が自立した生活を送れるようになったり、今までできなかったことができるようなったりした時は、大きなやりがいを感じられることでしょう。

ケアマネージャーを志すきっかけ

ケアマネージャーを志すきっかけ

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護が必要となった人やその家族がまず初めに出会う存在。

家族や親戚などの介護でケアマネジャーにお世話になったことをきっかけに、同じ道を志したという人は多いです。

また、ケアマネジャーは資格取得まで最低5年以上はかかる、取得難易度の高い職種です。

このため介護業界でのキャリアアップを目指して、ケアマネジャーの試験に挑戦したという介護職種の方もたくさんいます。

数ある介護職種の中でも特にケアマネジャーを目指す人が多いのは、支援が必要な人に対して直接介護を行う介護福祉士という職業です。

介護福祉士の方は実際に介護をするぶん「もっと人の役に立ちたい」という思いを抱きやすく、なおかつ「もっとこうすれば快適に過ごしていただける」などのアイディアも浮かびやすいため、ケアマネジャーとして働くのに向いているんですね。

神戸医療福祉専門学校中央校の介護福祉士科では

ケアマネジャーになりたいのなら、まずは現場で直接高齢者や障がいがある方の支援にあたる介護福祉士の資格をとるのが一番。

実際に、今ケアマネジャーとして活躍している先輩も、介護福祉士からケアマネジャーを目指したという人がほとんどです。
神戸医療福祉専門学校中央校の介護福祉士科は、2年制の専門学校!

高齢者や障がいがある方に快適な生活を送っていただけるよう、利用者の心に寄り添う介護福祉士を育みます。

ケアマネジャーの活躍の場所

ケアマネージャー(介護支援専門員)は主に、勤務する場所によって居宅ケアマネ施設ケアマネに分かれます。

居宅ケアマネ

訪問介護や訪問入浴介護など、自宅で介護を受ける人のために介護サービスを展開している居宅介護支援事業所に勤務するケアマネジャーを、居宅ケアマネと呼びます。

居宅ケアマネは主に、利用者のケアプラン作成や定期訪問を行います。

施設ケアマネ

事業所で仕事をする居宅ケアマネに対して、要介護認定者が利用する介護保険施設などに勤務するケアマネジャーのことを、施設ケアマネと呼びます。

施設ケアマネは、自宅から施設に通ってくる人や宿泊する人に対して、ケアプランの作成や相談・調整業務を行います。

施設ケアマネが活躍する介護施設は主に、以下の通りです。

・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・グループホーム
・介護老人保険施設
・特別養護老人ホーム
・介護療養型医療施設

そのほかにもケアマネジャー(介護支援専門員)は、病院や地域包括支援センター、福祉用具をレンタルする民間企業などで働いています。

ケアマネジャーの1日

ケアマネジャーの1日
ケアマネジャーは、毎月下旬になると、給付管理業務を中心とした書類作成で忙しくなります。

このためここでは、月の初旬〜中旬にかけての居宅ケアマネを例に、その1日をのぞいてみましょう。

8:30 出所
9:00 会議
10:00 利用者宅の訪問
12:00 休憩
13:00 デイサービス事業所を訪問
15:00 訪問介護支援事業所を訪問
16:00 市役所に必要書類を提出
16:30  書類作成
17:30 退所

朝出所したら、まずは事業所の全員で会議を行い、利用者の情報を共有します。

日中は、担当している利用者の定期訪問が中心です。

介護サービスの利用状況を確認し、何か困ったことがないか利用者やその家族の方の話をうかがいます。

さらに利用者にサービスを提供する訪問介護支援事業所やデイサービス事業所も定期的に訪問し、連絡事項の共有や利用者の様子を尋ねます。

また、介護保険制度は市区町村によって運営されているため、書類提出をしに市役所に行くことも多いです。

事業所に帰ったら、利用者宅を訪問して得た情報の記録など書類作成を行い、1日の仕事は終了となります。

ケアマネジャーの給与・年収

厚生労働省の令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均給与は、月給35万7850円。

ただしこれは手当や一時金などをプラスした金額で、その平均基本給は21万6780円となっています。

年収は勤務先や年代によって異なりますが、300万円台〜400万円台の人が多いようです。

ちなみに介護職種の中でもっとも給料が高いのは、看護職員。

次点で理学療法士や作業療法士などのリハビリ職となっており、ケアマネジャーはその2つに次いで3番目に給料が高い職種となっています。

このためケアマネジャーの収入は、介護職のキャリアアップ職としてふさわしい高水準にあるといえるでしょう。

【参考URL】
令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果

ケアマネジャーの現状と将来について

超高齢化社会に向けて、全体的に需要の高まりを見せる介護職種。

その中でもケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護施設や事業所で一定以上の人員配置が定められている職種でもありますので、今後よりその需要や求人数、資格取得希望者は増加するでしょう。

国もこういった今後の需要を見据えて、受験資格の厳格化や研修制度の見直しなど、ケアマネジャーの資質を向上させるために少しずつ動き出しています。

こういった改正を受けて資格取得の難易度は年々高くなっていますが、そのぶん専門性の高い職種として、今後はさらに認知度が上がり、社会的な地位も高くなることが期待されます。

まとめ

ケアマネジャー(介護支援専門員)になるためには介護支援専門員の試験に合格し、定められた研修を修了する必要があります。

さらにケアマネジャーの試験を受けるには、以下いずれかの条件を満たさなければなりません。

・医師や看護師、介護福祉士など定められた国家資格を有し、指定された業務で5年以上経験を積む
・生活相談員などとして、5年以上相談業務に従事する

ケアマネジャーは取得まで最低5年以上はかかる資格ですが、そのぶん介護業界でキャリアアップを目指す上で役立ちます。

介護事業所や介護施設で一定以上の人数の配置が定められているほか、ケアマネジャーの資格がその応募要件となっている求人も多いです。

介護福祉士をはじめ、業界でキャリアを重ねたいという介護職種の方や、長く働き続けたいという人は、ぜひ取得を目指しておきたい資格だといえるでしょう。

監修・運営者情報

監修・運営者<神戸医療福祉専門学校 中央校>
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