廃用症候群とは?寝たきりにならないために。原因や症状、予防法を解説

廃用症候群とは?寝たきりにならないために。原因や症状、予防法を解説
神戸医療専門学校ロゴ
この記事の執筆者

神戸医療専門学校

神戸医療専門学校

神戸医療福祉専門学校 中央校 介護福祉士科は13年連続で就職率100%!
文部科学大臣から、より実践的な職業教育に取り組んでいる専門学校として「職業実践専門課程」の認定を受けており、2年間で即戦力となる介護福祉士が目指せます。

横になって寝ている状態だと、体がとても楽に感じますよね。
それはほとんど筋肉を使っていないためです。

しかし、寝たきり状態などそのように身体を動かさない期間が長く続くと、筋肉や骨がおとろえたり、臓器の働きが低下したりする廃用症候群が発症し、心身の機能にさまざまな障害が起きてしまいます。

そこで今回は、そんな廃用症候群の主な症状や原因、治療法や予防法などを解説します。

神戸医療専門学校ロゴ 神戸医療専門学校

この記事の執筆者神戸医療専門学校 中央校 介護福祉士科

神戸医療福祉専門学校 中央校 介護福祉士科は16年連続で就職率100%!
文部科学大臣から、より実践的な職業教育に取り組んでいる専門学校として「職業実践専門課程」の認定を受けており、2年間で即戦力となる介護福祉士が目指せます。

廃用症候群とは

体を動かさない状態が続くと、筋肉が衰える筋萎縮や、心機能など内臓機能の低下、うつ状態などを引き起こしやすくなります。

このように過度な安静や運動量の減少により、心身のさまざまな機能が低下した状態を、廃用症候群といいます。

サルコペニアとの違い

廃用症候群と混同されがちな現象としてはサルコペニアが挙げられます。
サルコペニアとは、加齢や病気などにより筋力や骨格筋量が低下した状態です。

主に筋肉と筋力が減少するサルコペニアに対して、廃用症候群では身体機能だけでなく、臓器や精神状態など全身のさまざまな機能が低下するという違いがあります。

廃用症候群の症状

廃用症候群の症状
廃用症候群の代表的な症状は主に以下のとおりです。

  • 運動器障害
  • 循環・呼吸器障害
  • 神経・精神障害
  • その他

運動器障害

骨や筋肉など、体を動かす運動器が障害されている状態です。
廃用症候群によって引き起こされる運動器障害の具体例としては、主に以下のような症状が挙げられます。

筋萎縮…筋肉がやせ衰える
筋力低下…筋肉の力が弱くなる
関節拘縮…関節が硬くなり、動きが悪くなる
骨萎縮…骨密度が低下し、骨がもろくなる

循環・呼吸器障害

過度に安静な状態が続くと、心臓から血液が全身に運ばれにくくなる、呼吸するための筋肉が衰えるなどの理由から、体内の循環や呼吸器も障害されることがあります。
廃用症候群によって起きる循環・呼吸器障害の主な症状は以下のとおりです。

誤嚥性肺炎…食べ物や唾液などが誤って気管に入ることで肺炎が起きる
心機能の低下…心臓の働きが低下する
血栓塞栓症…血管に血の塊が詰まる
起立性低血圧…急に立ち上がるとめまい、ふらつきが起きる

自律神経・精神障害

身体を長期間動かさずにいることは、自律神経や精神状態にも悪影響を及ぼします。
廃用症候群によって起きる自律神経・精神障害の具体的な症状は以下のとおりです。

うつ状態…気分が落ち込む
せん妄…意識がもうろうとし、幻覚や幻聴、錯覚などがみられる
見当識障害…場所や時間、人物を認識する力が低下する
睡眠障害…不眠症や過眠症など睡眠に支障をきたす

その他

廃用症候群では上記以外にも、人によって以下のような排尿器障害、皮膚障害、消化器系障害などがあらわれることがあります。

尿路結石…尿路に石のように固い塊が生じる
排尿障害…頻尿や尿失禁など尿を溜めて排出するまでの過程に支障をきたす
褥瘡…床ずれによって赤みや水ぶくれ、内出血などが起きる
逆流性食道炎…食べ物や胃液が食道に逆流する

廃用症候群の原因

廃用症候群の原因
廃用症候群は、身体を長期間動かさずにいることによる筋肉量の減少、筋力・運動能力の低下によって発症します。
具体的な原因やきっかけとしては、主に以下が考えられます。

  • 過度な安静状態
  • 運動量の減少
  • 生活環境に問題がある

過度な安静状態


起き上がるのが困難なことから一日の大半をベッドの上で過ごす寝たきり状態は、廃用症候群の代表的な原因です。

また、病気やケガなどで過度な安静状態が長期間続くことも、廃用症候群の原因となります。

とくに高齢者は症状の進行が早く、1週間寝たきり状態だと、10~15%程度の筋力低下がみられることもあります。

運動量の減少

関節痛や麻痺、意欲低下などによる運動量の減少も、廃用症候群の原因となります。

外出する機会が減るとしだいに筋力は低下していき、筋力が低下すると思うように動けなくなるためますます運動が億劫になるという悪循環に陥りがちです。

生活環境に問題がある

高齢者になると、過度な安静状態でなくても、加齢や運動量の減少などにより身体機能が低下しやすくなります。

このため、階段を通らなければ外出できない場所に住んでいる、必要以上の介護が行なわれているなど、体を動かす機会が奪われるような生活環境にあると、廃用症候群の発症および症状の進行を招く原因となります。

廃用症候群の検査・診断

廃用症候群の診断に、決まった検査はありません。

寝たきり状態などになり、今までできていたことができなくなった場合は廃用性筋萎縮、関節の可動域が少なくなった場合は関節萎縮など、情報提供や症状に応じた検査により、具体的な症状や障害レベルを判断していきます。

このため廃用症候群は医師だけでなく、家族や看護師、リハビリ関係者などによってその兆候や症状が発見される場合も多いです。

気付いた時点で可能な範囲で詳しく情報提供をすることが、適切な検査や正確な診断につながります。

廃用症候群の治療法

廃用症候群は体を長期間動かさずにいることが原因で発症するため、治療法は非薬物療法(リハビリテーション)がメインです。
寝たきりの場合はベッドの上でできる運動など、身体の状態に合わせて適切な運動を指導します。

ただし、心機能の低下や誤嚥性肺炎などの症状には薬物療法を行ないます。せん妄や睡眠障害などの精神症状がある場合も、必要に応じて適切な薬を投与します。

廃用症候群の予防法

廃用症候群の予防法
高齢者の場合はとくに、一度廃用症候群になってしまうと元の状態に戻るのは困難です。
このため廃用症候群では、早期のリハビリテーションおよび予防が重要となります。

廃用症候群を予防するには主に以下の2点に注意する必要があります。

  • 身体を動かす機会をつくる
  • 栄養バランスの良い食事を心がける

身体を動かす機会をつくる

廃用症候群の予防には、なるべく身体を動かすことが重要です。
病気や怪我でやむを得ず長期臥床が必要となった場合は、回復を妨げない範囲で早期からリハビリテーションを開始しましょう。

寝たきり状態の場合も、ベッドやマットレスの種類を工夫してなるべく座位の時間を増やす、ベッド上で手足を動かす運動を行なうなど、可能な限り身体を動かします。

また、車椅子など身体の一部だけを使う生活も、全身の動きが少ないことから身体機能の低下につながる可能性が高いため、意識的に普段使っていない部分の運動を取り入れる必要があります。

栄養バランスの良い食事を心がける

活動量が少ないと食欲不振になり、栄養不足に陥りやすくなります。
そして、低栄養状態だと筋肉量の減少や骨の衰え、身体機能の低下が進みやすくなるため注意が必要です。

栄養バランスの整った食事をとって、体を動かすためのエネルギーをしっかり補給しましょう。

必要な介護を見極める

介護をしていると、つい身の回りの世話をすべてしてあげたくなってしまいますが、必要以上の介護は本人の体を動かす機会を奪ってしまいます。
適切なケアをするには、どのような介護がどの程度必要かを見極めるのも重要です。そして、それは専門的な知識がないと難しいでしょう。
たとえば、まだ自力で動けるうちに車椅子やおむつを使用することは体を動かす機会の減少につながり、かえって身体機能の低下や体力の減少を招く可能性があります。

このように介護は、廃用症候群の予防や治療に関わる重要な要素であるため、介護する側も正しい知識と技術を身につける必要があります。

介護のプロを目指すなら:介護福祉士の資格を取得しませんか?

介護のプロを目指すなら:介護福祉士の資格を取得しませんか?
加齢や病気、障害などさまざまな理由で思うように体を動かせない人の手助けをするには、正しい介護の知識と技術が必要です。

もし「家族や将来のために介護の専門的な知識と技術を身に付けたい」「介護業界で働きたい」という方は、介護福祉士の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

介護の資格にはさまざまな種類がありますが、そのなかで介護福祉士は唯一の国家資格です。
介護について専門的な知識と技術があることを国から認められるため、より高度なスキルが身に付けられるだけでなく、対外的にもそれを証明できることから介護業界での就職にも大いに役立ちます。

神戸医療福祉専門学校 中央校 介護福祉士学科は、2年間でそんな介護福祉士の資格取得が目指せる専門学校です。
「介護福祉士という職業や仕事内容に興味がある」「資格取得のメリットを知りたい」という方はぜひ、無料のパンフレットやオープンキャンパスへの参加でまずは職業理解を深めることから始めてみてください。

>>資料請求はこちら
>>オープンキャンパス情報はこちら

まとめ

廃用症候群とは、身体を長期間動かさないことにより、心身のさまざまな機能が低下した状態です。
具体的には、筋肉が衰える筋萎縮や、心機能など内臓機能の低下、うつ状態などを引き起こします。

一度廃用症候群に陥ってしまうと、元の状態に戻るのは困難です。
病気や怪我の回復を妨げない範囲で運動をする、安静にしている場合も体位交換やマッサージをするなどして、全身運動を心がけ予防につとめましょう。

また、必要以上の介護は本人が体を動かす機会を奪うことになるため注意が必要です。
本人が自力でできることと手を貸すべきこと、この2つを見極めることが廃用症候群の予防および症状の進行抑制につながります。

介護福祉士を目指すなら神戸医療福祉専門学校で学びませんか?

神戸医療福祉専門学校介護福祉士科では、国家試験全員合格と就職全員内定に向けて取り組んでいるので、開校以来の国家試験の合格率は、99%!(※2017〜2023年度実績) 高い合格率に裏付けられ、希望者の就職率も16年連続で100%に達しています。(※2008~2023年度実績)

学内でじっくりと学んだ後、自信をもって学外実習にのぞめ、2年間の多彩な実習で即戦力となる介護福祉士を目指します。

ご興味がある方は、ぜひ以下のオープンキャンパスや介護福祉士科の詳細情報をご覧ください。 また、介護福祉士科の学科の詳細を知りたい方は「介護福祉士を目指す専門学校」でご紹介していますので、こちらも併せてチェックしてみてください。

在校生の声

「先生と相談がしやすい距離感!」(兵庫県立神戸商業高等学校出身)

「国家試験に向けてのサポートが充実!」(私立神戸常盤女子高等学校出身)

「一緒に実技を練習したり、なんでも相談しあえる仲間ができた!」(姫路市立飾磨高等学校出身)

>>在校生の声の詳細はこちら

ご興味がある方はぜひ以下のリンクより学校の詳細をご覧ください!

監修・運営者情報

監修・運営者<神戸医療福祉専門学校 中央校>
鍼灸・介護・精神
住所〒650-0015 兵庫県神戸市中央区多聞通2-6-3
お問い合わせ078-362-1294
詳しくはこちらhttps://www.kmw.ac.jp/