
介護の現場ではよく介護と介助という言葉がつかわれます。
どちらも似たような言葉ですが、それぞれの意味を明確に理解し、その違いを説明できるという人は少ないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、介護と介助の意味や目的、仕事内容の違いなどについて解説します。
目次
介助と介護の違いとは?
介護とは、高齢者や障がい者など身体の不自由な方に対して、身体的・精神的・社会的なサポートを行うことです。
それに対して介助とは、日常生活で必要な動作(ADL)をサポートする行為を指します。
簡単に説明すると、日常生活を一人で送ることが困難な人に対して、生きていくために必要な支援全般を行うのが介護。
そして介護の中でも、歩行などの基本動作や、食事やお風呂などの日常生活動作に付き添って、手助けすることを介助といいます。
つまり、介助は介護に含まれるということです。
①介助とは?
介助とは、高齢者や障がいなどにより身体が不自由な方に対し、日常生活の動作における支援やサポートを行う行為のことです。
具体的には、立ち上がりや歩行といった基本的な動作、食事や入浴などの日常生活動作における手助けや声かけなどが含まれます。
介助の大きな目的は、支援を受ける方の生活の質の向上を目指すことです。
介助者は、生活全般をサポートするのではなく、できないことに焦点を当てて支援し、可能な限り自分で生活できるように見守りつつ介助を行います。
②介護とは?
介護とは、加齢や心身の障害により日常生活に支障がある方に対し、身の回りの基本的なことや生活全般をサポートすることです。
排泄や食事、入浴、着替えなどの生活に必要な内容を支援するだけでなく、精神的なサポートも含まれます。
歩行や寝返りといった基本動作が難しい方への支援や、洗濯や掃除などの家事のサポートも介護の重要な内容です。
しかし、単に身の回りの世話をするだけでなく、可能な範囲で自立を支援することも介護の基本となります。
過剰なサポートは、本人が自分でできることを減らしてしまう可能性があるため、適切なサポートを行うことが重要です。
介助と介護、目的の違い
介護と介助は言葉の意味だけでなく、その目的にも違いがあります。
介助は介護を実現する手段の一つであり、あくまでもその時々の行動を補助することが目的です。
このため食事や入浴、着替えなど一つの行動が完了すると、介助の目的は達成されたことになります。
それに対して介護は、身体機能の低下を防ぐ現状維持や自立した生活への回復を目的とするものです。
このため、あらかじめどのような目標のもと、どのような支援を、どのくらいの期間行うのかなどの介護計画に沿って、中長期的に提供されます。
介護の種類
介護の仕事内容は主に、入浴・食事・排泄などの介助を含む身体介護と、洗濯や掃除などの家事全般をサポートする生活援助にわかれます。
①身体介護
身体介護とは、要介護者に直接触れて支援を行うことです。
主に食事や入浴、排泄、着替えなどの介助行為や口腔ケアなどが該当します。
②生活援助
掃除や洗濯など、要介護者の日常生活におけるサポートを行うことです。
料理などの炊事や買い出しなど、本人や家族が行えない日常生活の家事を代行します。
③その他の支援
要介護者の抱える悩みやストレスのケアなど精神的なサポートを行うのも介護支援の一つです。
孤独感を感じさせないよう、あいさつや声かけなどでコミュニケーションをとったり、レクリエーションの実施で介護サービス利用者同士の交流を促したりします。
介助の仕事内容
介助には、歩行介助、移動介助、食事介助、更衣介助、入浴介助、排泄介助の6種類があります。
①歩行介助
歩行が困難な方のサポートを行うことです。
体を支えながら介助する寄り添い歩行介助や、介護者と手を取り合う手引き歩行介助など、体の状態に応じて介助の内容が変わります。
また、杖や歩行器、シルバーカーなど補助具の利用や、階段などの場面によっても介助する方法は異なります。
A.見守り歩行
見守り歩行は、杖などを使用して基本的には自力で歩けるものの、不安定さがある方を対象とした介助方法です。
介助者は利用者の斜め後ろに立ち、つまずいたりふらついたりした際にすぐに支えられるように見守ります。
麻痺がある場合は麻痺側に立つことが基本です。
階段の上り下りでは立つ位置が異なるため、状況に応じた適切な介助方法が必要です。
B.寄り添い歩行
寄り添い歩行は、名前の通り、介助者が対象者の横に寄り添い、一緒に歩行する方法です。
この歩行介助は、歩行がやや不安定な方や麻痺がある方に適しています。
介助者は対象者の横に立ち、体を支えながら歩きます。万が一バランスを崩した場合でも、すぐに支えられるのが特徴です。
介助者は基本的に対象者の利き手と反対側に立ちますが、麻痺がある場合は麻痺側に立ち、腰や脇の下を支えるようにします。
この方法はお互いが前を向いて歩けるため、周囲の状況を確認しやすく、比較的長い距離の歩行にも向いています。
C.手引き歩行
手引き歩行は、介助する側が介助者と向き合って行う歩行介助方法です。
介助者が前方を直接確認しづらいため、短距離の移動に適しています。
まずは相手と向かい合うように立ち、肘を下から支えるように両手を取ります。
手先だけでなく肘から支えることで、より安定した歩行を介助できます。
介助者は後ろ向きに進むことになるため、足元に十分に注意しながらゆっくりと歩行しましょう。
☆歩行介助のポイント
安全な歩行介助のためには、介助者の立ち位置が重要です。
基本は対象者の斜め後ろに立ち、体の状態に合わせて麻痺がある方の場合は麻痺側に、杖を使用している場合は杖を持っていない側に立つのが効果的です。
無理に体を密着させると、かえって歩行の妨げになることがあります。
また、介助を受ける方の歩行ペースや歩幅に合わせ、「いち、に」などと声をかけながら一緒に動くことで、リズム良く歩くことができます。
通路の障害物を確認し、滑りにくい靴下や靴を選ぶことも転倒予防に繋がります。
②移乗介助
介助を受ける人を乗り物から別の場所へ移す介助です。
例えば、ベッドから車椅子への移動や車椅子から椅子への移動、車椅子からトイレへの移動などがあげられます。
ベッドから車いすへの移乗介助
ベッドから車いすへの移乗介助は、介助者と本人の双方にとって安全かつスムーズに行うことが重要です。
まず、ベッドと車いすの位置を調整し、ベッドの高さを車いすよりやや高く設定します。
本人の足を床につけ、浅く座ってもらいます。
介助者は腰を低くしてこの原理を活用して本人の体を支えながら、持ち上げるのではなく重心移動で移乗させます。この際、介助者の足の位置も重要です。
☆移乗介助のポイント
移乗介助を行う際は、まず車いすにしっかりとブレーキがかかっているか確認することが大切です。
また、介助者自身の安全のため、腰を落として低い姿勢で行うように注意しましょう。
急な動作は転倒につながる可能性があるため、ゆっくりとした動作を心がけ、次にどのような動きをするかなど、対象者への声かけも重要です。
ご本人の協力も得ながら、無理なく安全な移乗を目指しましょう。
③食事介助
加齢や認知症、麻痺などで、食事がうまく摂取できなくなった方のサポートを行うことです。
咀嚼や嚥下機能、筋力の低下など食事が難しくなる理由は人によってさまざまです。
介助を受ける方の状態に合わせて食器や補助具、姿勢の調整などを行い、満足感を得るためにもなるべく自力で食べてもらえるよう工夫します。
A.食事介助前の準備
食事介助を安全に行うためには、事前の準備が大切です。
まず、利用者の体調を確認し、必要に応じて排泄を済ませておきます。
次に、感染予防のため介助者と利用者の双方で手を洗い清潔にします。
食前に口腔ケアや嚥下体操を行うことで、誤嚥の予防につながります。食事しやすい環境を整えることも重要で、テーブルを拭き、エプロンを着用します。
誤嚥防止のために適切な姿勢を整え、安心して食事を楽しめるように献立の説明など声かけを行います。
B.食事介助の手順
食事介助の具体的な手順としては、まず食事前に声かけを行い、食事が始まることを伝えます。
次に、誤嚥を防ぐために適切な姿勢を整え、必要であれば口腔ケアを行い、口の中を清潔にします。
食事の際は、一口量を調節し、対象者のペースに合わせて提供することが重要です。一口ずつ確実に飲み込んだことを確認しながら進めます。
食事の進み具合や量、むせの有無などを観察し、必要に応じて食事の内容や介助方法を調整します。
食事が終わったら再度口腔ケアを行い、口の中をきれいにします。 摂取した食事の量は記録し、健康管理に役立てます。
☆食事介助のポイント
食事介助の際は、介助する方が威圧感を与えないよう、本人の横や斜め前に座り同じ目線の高さで行うことに注意が必要です。
食事を急かすと誤嚥のリスクを高めるため、本人のペースに合わせましょう。
介助者はスプーンを口の斜め下から差し出し、一口の量は軽く一杯程度にするなど、スプーンの使い方に注意して介助することが大切です。
:④更衣介助
衣服の着替えをサポートすることです。
着脱しやすい衣服の選択や室温調整、着替えやすい手順のサポートなどを行い、できるだけ自力で行えるよう支援します。
更衣介助の手順
更衣介助は、衣類の脱着をサポートする行為です。
麻痺のある方の場合は、「脱健着患」という原則を意識し、脱ぐ時は麻痺のない健側から、着る時は麻痺のある患側から行うようにします。
着脱の際は、利用者の方に声かけを行い、協力してもらいながら進めることが大切です。
無理に腕や足を引っ張ることはせず、関節の動きに注意しながら行いましょう。
衣服をたくし上げたり、袖や裾をしっかりと引き上げたりすると、よりスムーズな介助につながります。
☆更衣介助のポイント
更衣介助は、加齢や麻痺などで着替えが難しい方のサポートを行う基本的な介護技術です。
安全に行うためにはいくつかのポイントがあります。
まず、着脱しやすい伸縮性のあるゆったりとした衣服を選ぶことが大切です。
また、片麻痺のある方の更衣介助の基本として「脱健着患(だっけんちゃっかん)」を覚えておきましょう。
これは、脱ぐときは麻痺のない健側から、着るときは麻痺のある患側から行うという原則です。
この方法により、麻痺側に負担をかけずにスムーズな着替えが可能になります。
声かけで不安を和らげ、可能な範囲で自身で行ってもらうことも重要です。
⑤入浴介助
自力での入浴が困難な人の入浴をサポートすることです。
シャワー浴や湯船、蒸しタオルなどで全身を拭き取る清拭などの中から、体の状態や状況に合わせて最適な方法を選択します。
入浴には要介護者の身体の清潔を保つほか、関節の痛みを和らげたり、心身をリラックスさせたりする効果もあります。
A.入浴介助前の準備
入浴介助を行う前にはいくつかの準備が必要です。
まず、介助を受ける方のその日の体調を確認し、入浴が可能か判断します。
また、入浴前に排泄を済ませておくことも重要です。
脱衣所と浴室をあらかじめ温めておき、急激な温度変化によるヒートショックを防ぎます。
お湯の温度は利用者の方にとって快適な温度か確認し、必要に応じて調整します。
入浴に必要なタオルや着替えなども忘れずに準備しておきましょう。
B.入浴介助の手順
入浴介助の手順は、まずシャワーチェアに座ってもらうことから始まります。
床や椅子が冷たかったり滑りやすかったりしないよう注意し、安全に座るサポートを行います。
次に、介助者がお湯の温度を確認し、本人にも確認してもらいます。
お湯は足元からゆっくりかけ始め、徐々に全身へとかけていきます。
体を洗う際は、髪から始めて顔、上半身、下半身の順に丁寧に洗いましょう。
浴槽に入る際は、シャワーチェアを浴槽に横付けし、手すりなどを使いながらゆっくりと立ち上がり、浴槽を跨いで入ります。
この時、介助者は後ろに倒れないよう支え、片足ずつ浴槽に入れてもらうようにします。
☆入浴介助のポイント
入浴介助を行う上での注意点として、まず浴室は滑りやすく転倒しやすい場所であることに注意が必要です。
また、入浴前に体調を確認し、空腹時や食後すぐの入浴は避けるようにしましょう。
介助について、全身の状態や体調に異変がないか常に注意しながら行い、入浴時間は短めに設定し、入浴後の水分補給も忘れずに行うことが大切です。
⑥排泄介助
排泄介助は、介助を受ける方の状態に合わせて方法が変わります。
自力で歩行が可能な方にはトイレまで誘導するトイレ介助、トイレまでの歩行が困難な方には、持ち運びが可能なポータブルトイレやオムツ、便器・尿器を使用した介助などが行われます。
トイレ介助の手順
トイレでの排泄介助は、対象者の排泄のタイミングやサイクルを把握することから始まります。
排泄のパターンは人それぞれ違いがあるため、普段の様子を観察することが重要です。
トイレへの移動は、転倒のリスクを減らすために手すりなどを活用し、介助者はバランスを崩してもすぐに支えられる位置で見守りを行います。
便座に座る際は、手すりを持ってもらったり、介助者が体を支えたりして、足がしっかりと床につき安定しているか確認します。
排泄中はプライバシーに配慮し、見守りが必要な場合も、バスタオルを使うなどして直接視線が合わないように配慮します。
排泄後は、前から後ろにきれいに拭き取り、再び手すりなどを使用して安全に立ち上がり、ズボンと下着を整えます。
●トイレまで移動できる方の介助
トイレまで移動できる方の排泄介助は、転倒しないよう介助者が適切にサポートすることが重要です。
声かけや手すりの活用、歩行のペースに合わせた介助など、安全な移動を心がけましょう。
また、便座への座り立ちの際は、介助者の体への負担も大きいため、無理のない姿勢で介助することが大切です。
●ポータブルトイレをご使用の方の介助
ポータブルトイレは、持ち運びが可能な簡易的なトイレで、主に歩行が難しい方の排泄介助に用いられます。
介助者は、衣類の着脱や排泄後の処理に加え、使用後のポータブルトイレ内の清掃も行います。
介助される方のプライバシーに配慮し、周囲から見えないようにすることが重要です。
また、ポータブルトイレはトイレまでの移動が困難な方や、夜間にトイレに行く回数が多い方にも有効な手段です。
●尿器・差込便器を使用の方の排泄介助
ベッド上での排泄が難しい方には、尿器や差込便器を使用します。
排泄はデリケートな行為であるため、介助を受ける方が安心して排泄できるようプライバシーに十分な注意が必要です。
介助者は、部屋から出るなど、リラックスできる環境を作りましょう。
排泄の失敗は、介助を受ける方の精神的な負担となるため、防水シーツを使用するなど、あらかじめ準備しておくことが大切です。
使用後は、排泄物を速やかに処理し、清潔を保つようにします。
●おむつをされている方の介助
排泄の介助において、おむつを使用する方の介助は適切な頻度での交換が重要です。
排泄物が長時間肌に触れていると、皮膚トラブルや感染症の原因となるため注意が必要になります。
介助者は、おむつの種類や交換方法を理解し、対象者の状態に合わせた介助を行う必要があります。
☆排泄介助のポイント
排泄介助は、介助を受ける方にとって非常にデリケートなケアであり、注意が必要です。
自尊心を傷つけないよう、プライバシーに配慮し、声かけや態度に十分注意することが大切です。
また、排泄介助については、できることは本人に任せ、難しい部分だけをサポートすることで、自立を支援することができます。
排泄物の状態や皮膚の変化にもさりげなく注意し、健康状態を把握することも重要なポイントです。
⑦寝返りの介助方法
寝返りは、自力で体位を変えられない方の床ずれ予防や、身体の緊張を和らげるために重要な介助です。
特に全介助の方の場合、適切な介助方法で行うことが介助を受ける方と介助者の双方にとって安全です。
スムーズな寝返りをサポートするために、以下の手順やポイントを押さえましょう。
寝返り介助の手順
寝返り介助は、自力での寝返りが難しい方に対して、介助者が安全かつスムーズに行えるようにサポートすることです。
まず、寝返りたい方向に顔を向け、両ひざを立てます。
次に、寝返りする側にひざを倒し、肩と腰に手を添え、介助者の方に寄せるようにして体を横向きにします。
最後に、体が「く」の字になるように腰を引き、姿勢を安定させます。
☆寝返り介助のポイント
自分で寝返りをすることが難しい方への介助は、介護や福祉の現場で重要な介助方法の一つです。
無理な介助は介助者と介助を受ける方の双方に負担をかけるため、正しい介助方法を理解することが大切です。
安全で楽な介助のためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
これからご紹介するポイントを参考に、介助について学んでいきましょう。
介助に関する4段階
介助を行う際は過介助や介助不足を防ぐためにも、介助を受ける方の段階に注意する必要があります。
介助の段階は、介助が必要とされるレベルに応じて主に以下の4つにわかれます。
①自立
基本的に自分一人で特定の行動が可能な状態です。
②一部介助
基本的には自分一人で行動できるものの、特定の動作に不安があり、見守りや誘導、支援などが一部必要な状態です。
③半介助
一部援助が必要なものの、自分での行動もできる状態です。
具体的には、支えてもらえば歩行できる、衣服に袖を通す時だけ手助けが必要などの状態があげられます。
④全介助
特定の動作に対して全面的に介助が必要な状態です。
例えば更衣の場合、衣服を被る・袖を通す・ボタンを留めるなどの一連の動作をすべて介助者に行ってもらう形となります。
介助・介護に必要な道具
介助を行う際には、様々な福祉用具が役立ちます。
これらの道具は、介護を受ける方の安全と快適性を高め、介助する側の負担を軽減する上で非常に重要です。
介護ベッド、手すり、スロープ、車いす、入浴介助用品など、介助する内容や体の状態に合わせた適切な道具を選ぶことが大切です。
①介護ベッド
介護ベッドは、介護を必要とする方の生活を支援するための重要なサポートツールです。
ベッドの高さを簡単に調整できるだけでなく、寝返りや立ち上がりをサポートする機能が付いているものもあります。
これにより、介助者の負担を減らし、介護を受ける方の快適性を高めることができます。
最近では、部屋のインテリアに馴染むデザインの介護ベッドも増えています。
②手すり
手すりは介護において、様々な場所での移動や動作をサポートする重要な役割を果たします。
特に、足腰の筋力が低下した方の立ち上がりや歩行を助け、転倒を防ぐために有効です。
手すりには、壁に設置する工事が必要なタイプや、置くだけで使える工事不要のタイプなど、様々な種類があります。
玄関や廊下、トイレ、浴室など、体のバランスを崩しやすい場所に適切に設置することで、安全で自立した生活を支援することにつながります。
③スロープ
スロープは、段差を解消し、介護を必要とする方が安全に移動するために役立ちます。
特に車いすを利用する場合、小さな段差でも移動の妨げとなり、介助者の負担も大きくなります。
スロープを設置することで、車いすでの移動がスムーズになり、転倒のリスクも軽減できます。
軽量で持ち運び可能なタイプもあり、必要な場所に一時的に設置することも可能です。
④車いす
歩行が難しい方にとって、車いすは移動手段として役立ちます。
車いすには様々な種類がありますが、大きく分けて自分で操作する自走式と、介助者が押す介助用があります。
介助用車いすは、特に介助者がいる場合に便利です。
最近では、リクライニング機能や座面角度を変えられるティルト機能などが付いたものもあり、身体状況に合わせて選ぶことが重要です。
適切な車いすを選ぶことで、介助者の負担軽減にもつながります。
⑤入浴介助用品
入浴介助時には、安全に介護を行うための福祉用具が役立ちます。
浴室は滑りやすく転倒のリスクが高いため、洗い場に滑り止めマットを敷いたり、背もたれ付きのシャワーチェアを設置したりすることで、転倒を防止できます。
特に浴槽の出入りは大変な動作ですが、浴槽の縁にバスボードを設置すると、座った状態で安定して移動できます。
これらの介助用具を適切に活用することで、介護を受ける方だけでなく、介助する側の負担も軽減されます。
介助で失敗しないためのポイントとは?
初めて介助を行う際には、失敗への不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
良かれと思って行った介助がかえって負担になってしまうこともあります。
ここでは、安全に介助を行うための重要なポイントをご紹介します。
これらのポイントを参考に、不安なく介助に取り組んでいただければと思います。
①自然な動きに沿って介助する
介助を行う上で大切なのは、相手の自然な体の動きに沿ってサポートすることです。
関節の動きや体重移動には、無理のない自然な動作があります。
それに逆らうような介助方法では、相手に負担をかけ、怪我を招く可能性もあります。
介助者は自分のやりやすさだけでなく、相手にとって自然な動きを考慮し、適切な介助を行う注意が必要です。
体を密着させて介助を行うと、お互いの体勢が安定し、介助を受ける側は無理な動きをせずに済みます。
介助者も強い力を使う必要がなくなり、双方にとってメリットのある介助方法と言えます。
自然な動きに沿った介助は、介助を受ける方の身体的負担や介助者の負担軽減につながります。
②ゆっくりとした動作を心がける
介助を行う際は、動作をゆっくりと進めることが重要です。
立ち上がりや移乗、歩行など、どのような場面でも急な動きは介助を受ける方に不安を与えます。
自身の体を思い通りに動かせない状況では、介助者のサポートが頼りとなります。
迅速な介助は、転倒や体の痛みへの心配につながる可能性があるため、注意が必要です。
特に、関節に痛みがある方や筋力に不安がある方への介助はより慎重なサポートが求められます。
ペースを合わせ「怖くなったら教えてください」といった声かけをすることで、相手に安心感を持ってもらえます。
③介助する前に声をかける
介助を行う際には、まず介助を受ける方に声をかけることが大切です。
体を動かす前や触れる前に、「少し失礼します」「少しだけ持ち上げますね」などと具体的に伝えることで、相手は心の準備ができ、安心して介助を受けることができます。
突然体に触れると驚かせてしまい、転倒や怪我につながるリスクがあります。安全に介助するためにも、事前の声かけを心がけましょう。
④ゆっくりとした動作を心がける
介助する際には、動作をゆっくり行うことが重要です。
特に、立ち上がりや移乗、歩行といった動きは、介助を受ける方にとって不安を感じやすいものです。
素早い動きは、転倒や痛みのリスクを高める可能性もあるため注意が必要です。
介助者は、介助を受ける方のペースに合わせてサポートし、安心感を提供することが大切です。
⑤介助する前に声をかける
介助を行う際は、事前に必ず声をかけることが重要です。
突然体に触れたり、予告なく持ち上げたりすると、介助を受ける方が驚き、不安を感じてしまう可能性があります。
安全な介助のためには、「少し体を動かしますね」「立ち上がりますよ」のように、具体的にこれから行う動作を伝え、相手に心の準備をしてもらうことが大切です。
声かけによって信頼関係を築き、安心して介助を受けてもらうことができます。
⑥介助する範囲は最小限にする
介助を行う上で重要なのは、過剰な介助を避けることです。
良かれと思って、必要以上に介助してしまうと、これまで自分でできていたことまで徐々にできなくなってしまう可能性があります。
介助者は、本人ができることは自分で行ってもらい、できない部分のみをサポートすることを心がけましょう。
これにより、介助を受ける方の自立に繋がり、身体機能の維持・向上にも繋がります。ただし、本当に困難な状況では適切な介助が必要です。
介助における注意点は?
最後の項では、介助を行う上での注意点を解説していきます。
安全に介助を行うため、介助を受ける方と介助者自身の両方にとって、どのような注意点に気を付けてサポートするべきか、参考にしてみてください。
①過剰な介助にならないようにする
介助を行う上での注意点の一つに、過剰な介助にならないようにすることが挙げられます。
必要以上のサポートは、介助される方の自立を妨げ、身体機能の低下につながる可能性があります。
できることはご自身で行ってもらい、必要な部分のみを介助者がサポートすることが大切です。
例えば、時間がかかっても一人で歩行できる場合は、見守りや補助に留め、できる限り自力での歩行を促します。
これは、介助を受ける方の身体機能の維持・向上だけでなく、介助者の負担軽減にも繋がるメリットがあります。
介助者は、常に相手の状況を観察し、適切なサポートを心がけましょう。
②無理にひっぱったり、背中を押したりしない
介助を行う際は、介助を受ける方の体力や状態に合わせてサポートすることが非常に重要です。
介助者のペースで無理に引っ張ったり、歩行時に背中を押したりすると、バランスを崩して転倒する危険性があります。
これは介助を受ける方の怪我につながるだけでなく、介助者自身の負担も大きくなります。
常に相手の歩行ペースや動作に注意を払い、ゆっくりと丁寧な介助を心がけましょう。
③介助者自身の怪我に気をつける
介助を行う際には、介助を受ける方だけでなく、介助者自身の身体への負担も考慮することが大切です。
特に、移乗介助や歩行のサポートなど、体を支える動作は介助者に大きな負荷をかける可能性があります。
これらの動作を繰り返すことで、腰痛や関節痛といった怪我につながるケースも少なくありません。
介助の際は、無理のない体勢でサポートする、福祉用具を適切に活用するなど、介助者自身の安全にも十分に気を配る必要があります。
安全な介助をするために
安全な介助を行うためには、いくつかの注意点があります。
まず、介助を受ける方の心身の状態を正確に把握することが重要です。
日々の体調や、排泄、食事、入浴などの状況、そして認知症の有無や症状の程度などをしっかりと観察し、把握した内容に基づいて介助方法を検討します。
例えば、移乗介助や車椅子での移動時には、転倒のリスクを減らすために声かけや適切な介助方法が必要です。
介助者自身の安全も考慮し、無理のない体勢で行うなど注意点を守りながら基本に沿ったサポートを行うことが、安全な介護につながります。
利用者の心身状態の把握が重要!
介助を行う上で基本となるのは、利用者の心身の状態を正確に把握することです。
これにより、適切なレベルの支援やサポートを提供することができます。
介助レベルは主に「自立」「一部介助」「半介助」「全介助」の4段階に分けられ、それぞれの段階で必要な介助の範囲が異なります。
利用者ができることまで手伝ってしまう過介助や、必要な介助が行われない介助不足は、利用者の自立を妨げたり、事故につながる可能性があるため、利用者の能力を活かしながら見守り、適切な介助をすることが大切です。
自立支援に必要な「引き算の介護」とは?
冒頭でも触れた通り、介護の本来の目的は利用者の自立支援です。
過剰介助は、介助を受ける方の主体性を損なったり、身体機能を低下させたりと、介助を受ける方の自立を妨げる可能性があります。
そこで近年広まりつつあるのが、引き算の介護という考え方です。
要介護者ができることまでやってしまうことで、必要以上の介助がどんどん増えていってしまう「足し算の介護」とは逆で、介助される方の主体性を尊重し、できないことだけを介助するというものです。
生活のサポートやリハビリ、自助具などを通してできることが増えることは、身体機能の低下を防ぐだけでなく、自立した生活が送れる喜びや生きる意欲につながります。
まとめ~介助と介護の違いとは?~
介護とは、高齢者や障がい者の方に対して身体介護や生活援助などを行うことです。
その中でも介助は、日常生活で必要な動作(ALD)をサポートする行為を指し、具体的には歩行介助・移動介助・食事介助・更衣介助・入浴介助・排泄介助の6つがあります。
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