近年、スマートフォンやタブレットの普及により目を酷使する機会が増え、多くの人が目の疲れを感じやすくなっています。
眼精疲労とは、こういった日々の負担によって目に疲労が蓄積した状態です。目の疲れや痛みを感じるほか、肩こりや頭痛などさまざまなトラブルを引き起こし、現代病といっても過言ではありません。
そこで今回は、眼精疲労の症状緩和におすすめのツボを7つ紹介します。
どれも気軽に実践できるものばかりなので、ぜひ休憩中や目に疲れを感じたときに試してみてください。
目次
眼精疲労とは
眼精疲労とは、目の使いすぎによる一時的な症状である「疲れ目」が慢性化した状態です。
慢性的な目の疲労により、目の疲れや痛みを感じるだけでなく、目以外にも頭痛や肩こりなどの全身症状が現れます。
疲れ目との違い
疲れ目は、パソコンやスマートフォンの画面の見過ぎなど、目の使いすぎによって以下のような症状が現れることです。
- 目の疲れや痛みを感じる
- 目の充血
- 視界がかすむ、ぼやけて見える
- まぶしく感じる
- 視力が落ちたように感じる
疲れ目と眼精疲労の大きな違いは、症状が一時的であるかどうかです。
疲れ目は、十分に休息や睡眠をとることで回復しますが、眼精疲労は疲れ目が慢性化した状態であるため、休息をとってもなかなか回復しない、症状を繰り返すなどの特徴があります。
眼精疲労の症状
疲れ目が慢性的に続く眼精疲労は、目以外にもさまざまな症状が現れます。
眼精疲労の主な症状は以下のとおりです。
- 目の疲れや痛みを感じる
- 目が充血している
- 目の奥の方が痛む
- 目の乾きをよく感じる(ドライアイ)
- よく目がかすむ
- まぶたがよく痙攣する
- 視力が低下した
- 頭痛、肩こりがある
- めまいや耳鳴りがする
- 倦怠感がある
- よく気分が悪くなったり、吐き気がしたりする
眼精疲労の原因
眼精疲労を引き起こす主な原因は以下のとおりです。
- 目の使いすぎ(テレビやスマートフォンの長時間視聴など)
- 眼科疾患(白内障、緑内障、ドライアイなど)
- 不適切なメガネやコンタクトの使用(遠視や近視・乱視)
- 睡眠不足やストレス
目は何かを見ている間、対象にピントを合わせるために目のレンズである「水晶体」の屈折を「毛様体筋」という筋肉で調節し続けています。
この毛様体筋の緊張状態が続く「疲れ目」であり、眼精疲労は、上記のように目の酷使や眼科疾患、そして遠視や近視・乱視などの屈折異常に対し、適切な視力矯正がおこなわれていないなどの原因で、それが慢性化した状態です。
また、毛様体筋の働きは自律神経がコントロールしています。このため、睡眠不足やストレスで自律神経のバランスが崩れることでも、眼精疲労があらわれると考えられています。
眼精疲労にはツボ押しが効く?
眼精疲労や疲れ目は、東洋医学の治療法の一つである「ツボ押し」が有効だといわれています。
東洋医学では、人間の体では生命活動の根源的なエネルギーである「気」が全身に巡っており、その「気」が流れる通路のことを経絡(けいらく)といいます。
そして、その経絡に沿って全身に点在し、「気」の出入り口となっているのが経穴(けいけつ)、いわゆるツボです。
東洋医学では、このツボを刺激することで「気」の流れが良くなり、さまざまな症状が改善されると考えられています。
東洋医学に馴染みがない方は「根拠がないのでは?」と思うかもしれませんが、西洋医学でいうトリガーポイント(循環不良により痛みを感じやすくなってしまった部位)とも高い一致率を示しており、現在ではWHO(世界保健機構)でもその治療効果が認められています。
眼精疲労におすすめのツボを紹介
ツボはWHOで認められているものでも361種類あり、頭痛に効くツボ、腰痛に効くツボというように、不調に応じたツボがあります。
ここからは、そのなかでも眼精疲労に効果があるツボを7つ紹介します。
- 晴明(せいめい)
- 攅竹(さんちく)
- 太陽(たいよう)
- 魚腰(ぎょよう)
- 天柱(てんちゅう)
- 風池(ふうち)
- 光明(こうみょう)
目の疲れや痛みに…晴明(せいめい)
左右の目頭と鼻の付け根にあるくぼみの部分にあるツボです。
目の疲れや痛み、充血など目に現れるさまざまな症状に効果があるとされており、目が疲れた時に自然と親指や人差し指でここを押している人も多いでしょう。
目を閉じ、親指と人差し指でつまむようにしてやや内側上方向に押すか、ゆっくりと円を描くように押すのを1分間ほど続けると、目の疲れや痛みが軽減します。
目の疲れや痛み、かすみ、頭痛に…攅竹(さんちく)
眉頭の少し下、骨のキワにあるツボです。
ちょうど晴明(せいめい)から眉方向に上がっていったあたりの小さなくぼみにあります。
親指で下から上に押し上げるように刺激することで、目の疲れや痛み、視界のかすみや頭痛が軽減されます。
人は集中すると、ついグーッと眉間に力が入ってしまいがちです。攅竹(さんちく)を刺激することで、凝ってしまいがちな眉間近くの筋肉もほぐすことができます。
目の疲れ、頭痛に…太陽(たいよう)
眉尻と目尻の中央から少し後ろに位置した、こめかみのくぼみ部分にあるツボです。
親指の腹で、左右同時に外側にむかって刺激しましょう。
目の周辺の血流を促進できるため、眼精疲労による頭痛にとくに効果が期待できます。
目の充血や腫れ、乾きに…魚腰(ぎょよう)
黒目の真上、眉の中央あたりの小さなくぼみにあるツボです。
長時間パソコンで作業したり、スマホを見ていたりするとここがジンジンするという人も多いでしょう。
上に向けて押す、または小さな円を描くように刺激することで、目の充血や腫れ、乾き(ドライアイ)などの改善に効果が期待できます。
目の疲れ、頭痛、首・肩こりに…天柱(てんちゅう)・風池(ふうち)
首の後ろ、髪の生え際にあるツボです。
首の中央のくぼみの両サイドにある僧帽筋という筋肉の外側にあります。
髪の生え際にある筋肉は目の動きと関係するため、その筋肉上にある天柱の(てんちゅう)を刺激することで、目の疲れによる頭痛や首、肩こりの改善につながります。
他の指で頭を包み込むようにして両手の親指を当て、斜め上方向に押し上げると良いでしょう。
また、風池(ふうち)は、天柱(てんちゅう)から指1本外側、やや上方にあるツボです。
耳の後ろにある出っぱった骨から少し中央に寄ったくぼみの部分にあり、天柱(てんちゅう)と同様の刺激方法で、同じく眼精疲労による頭痛や首、肩こりへの効果が期待できます。
光がまぶしく感じるときに…光明(こうみょう)
足の外側のくるぶしから10cm(親指の横幅5本分)くらい上にあるツボです。親指でゆっくり押す・離すを繰り返しましょう。
光がまぶしく感じられるときに、光に対する感度を和らげる効果が期待できます。
また、腰や脚にかけての疲れもとれるため、ドライブ休憩などにもおすすめのツボ押しです。
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鍼灸とは、経穴(ツボ)に金属の細い針を刺したり、艾(もぐさ)を置いて燃焼させたりと身体に刺激を与えることで、体調不良の予防や改善に役立てる施術方法です。
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眼精疲労を予防する方法
眼精疲労を予防するには、主に以下3つのポイントを日常生活で心がけることが大切です。
- 目にやさしい生活を心がける
- 目の疲れをこまめにケアする
- 日々の食事に目に良い食品を取り入れる
目にやさしい生活を心がける
眼精疲労を予防するには、極力目に負担をかけないことが重要になります。
パソコンで作業する際の画面との距離は40cm以上、スマートフォンを見る場合も、目から30㎝以上離すように心がけてください。
また、これらの機器で長時間作業する場合は、こまめに休憩をとり、目の疲れを溜めないようにしましょう。
目の疲れをこまめにケアする
眼精疲労は、目の疲労が蓄積し、疲れ目が慢性化した状態です。
このため予防には、その日の目の疲れをその日のうちにリセットすることが重要になります。
目が疲れたら、じゅうぶんな休息や睡眠をとりましょう。休憩中に、眼球体操や目の周辺をマッサージすると、筋肉の疲れがよくほぐれます。
また、疲れ目の緩和には、目を温めて血行を促進するのもおすすめです。水で濡らして絞ったタオルをラップで包み、電子レンジ(500W~600W)で30~60秒加熱すれば、簡単に蒸しタオルをつくることができます。
反対に目が充血しているときは、炎症を抑えるために冷やすのがおすすめです。水で濡らして絞ったタオルをビニール袋に入れて冷凍庫で1時間、冷蔵庫なら半日置いておけば、冷やしタオルが完成します。
日々の食事に目に良い食品を取り入れる
眼精疲労を予防するには、目に良いとされている食品を普段の食事に取り入れるのもおすすめです。
ブルーベリーや黒豆、赤じそなどに含まれているアントシアニンという色素は、目の機能向上に関係しているとされています。
また、豚肉や豆類に多く含まれるビタミンB1、レバーや納豆、サンマ・サバなどの青魚に多く含まれるビタミンB2も、疲れ目に効果的だといわれている栄養素です。
まとめ
通常、目の使いすぎなどによって目の痛みや充血、視界のかすみなどが発生する疲れ目は、じゅうぶんな休息や睡眠をとることで回復します。
眼精疲労とは、疲労の蓄積により、この疲れ目が慢性化した状態です。
目の疲れや痛みを感じるほか、目以外にも頭痛や肩こりなど全身症状が現れ、じゅうぶんな休息をとってもなかなか疲れがとれなかったり、症状を繰り返したりします。
鍼灸の技術の一つであるツボ押しは、こういった症状緩和はもちろん、効率的に目の疲れがとれるため眼精疲労の予防にも役立ちます。
今回紹介した7つのツボ押しで目の疲れをこまめにケアして、快適な視生活を送ってくださいね。
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