
介護職は体力を使う上に、給料も低いというイメージがある方が多いのではないでしょうか?
そのようなイメージを取り払い、介護職を目指す人が一人でも増えるようにと国が立ち上げた制度が「介護職員処遇改善加算」です。この制度により、現在介護職に就いている多くの人の給料がアップしています。
名前を聞くと難しい制度のように思えますが、この記事ではわかりやすくシンプルに解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
介護職員処遇改善加算とは
介護職員処遇改善加算とは「要件を満たした介護施設や事業所に、従業員のお給料をアップするためのお金を報酬として支給する」というシステムのことです。
満たすべき要件とは、職場の環境や役職を整えたり、福利厚生を整備したりすることを指します。
介護が必要な高齢者の数や介護施設に対して介護職員が足りていない現状。この現状を打破するため、職場環境の整備と給料のアップを図って取り組まれたのが、介護職員処遇改善加算なのです。
この報酬は国から事業所に支給され、その報酬がさらに、事業所から従業員に支給されます。


介護職員処遇改善加算の対象事業所・対象職員
介護職員処遇改善加算をもらうことのできる対象は、直接介護に携わる事業所と従業員のみ。
事業所でいえば訪問看護や福祉用具貸与、業種でいえば看護師、ケアマネージャー、管理職などは対象外となります。
ただし、直接介護に携わる職員として兼任する場合は処遇改善加算をもらえる対象になります。
パートや派遣でも対象になる?
介護職員処遇改善加算は、パートや派遣などの雇用形態に関係なくもらうことができます。ただしこちらも、直接介護に携わる職員であることが条件です。
介護職員処遇改善加算をもらうための条件
介護職員処遇改善加算をもらうための要件はキャリアパス要件と職場環境等要件の2種類があり、キャリアパス要件はさらに3つに分かれるので、条件は全部で4つです。
キャリアパス要件
Ⅰ:職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
例として、「主任」「副主任」などの役職を用意し、それに伴った給料を明確にして、従業員全員に対して周知させることなどがあります。これらは、就業規則などの書面に記載する必要があります。
Ⅱ:資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
例として、介助方法についての研修やヒヤリハットについての研修など、現場で必要な技術や知識のための研修を用意することを指します。外部に研修を受けにいく際や資格を取得する際の費用も事業所が負担します。
Ⅲ:経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を
判定する仕組みを設けること
この条件が最も難易度が高いといわれていますが、例として、勤続年数5年で1万円の昇給、資格の取得で5,000円の昇給など、経験と資格に応じた昇給の仕組みを作ることを指します。また、人事の評価による昇給も含まれます。
職場環境等要件
この要件は、簡単にいうと従業員が働きやすい環境を作るということ。
効率アップのために書類の管理ツールを導入したり、従業員の負担軽減のために介護ロボット・リフトを導入したりすることがあります。
また、育児休暇の制度を設けるなどもこの要件に含まれます。


介護職員処遇改善加算でもらえる金額と計算方法
介護職員処遇改善加算は、先ほど説明した要件を多く満たせば満たすほど多くの金額がもらえます。
ただし、国から事業所に支給される金額と、事業所から従業員に支給される金額には違いがあるので、それぞれに分けて説明していきます。
事業所がもらえる金額と計算方法
事業所がもらえる介護職員処遇改善加算は、Ⅰ〜Ⅲまでの3つの区分に分かれます。2022年3月まではⅣ・Ⅴもありましたが、経過措置期間を経て完全廃止されました。
区分 | 条件 | 金額 (介護職員1人あたり) |
---|---|---|
処遇改善加算Ⅰ |
キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの全て + 職場環境等要件を満たす |
37,000円/月 相当 |
処遇改善加算Ⅱ |
キャリアパス要件Ⅰ及びⅡ + 職場環境等要件を満たす |
27,000円/月 相当 |
処遇改善加算Ⅲ |
キャリアパス要件ⅠまたはⅡ + 職場環境等要件を満たす |
15,000円/月 相当 |
実際の加算見込み額は「事業所の介護報酬×サービス別の加算率(下記の表参照)」で算定することができます。
サービス | 処遇改善加算Ⅰ | 処遇改善加算Ⅱ | 処遇改善加算Ⅲ |
---|---|---|---|
訪問介護 | 13.7% | 10.0% | 5.5% |
通所介護 | 5.8% | 4.2% | 2.3% |
認知症対応型共同生活介護 | 10.4% | 7.6% | 4.2% |
介護老人福祉施設 | 8.3% | 6.0% | 3.3% |
介護老人保健施設 | 2.6% | 1.9% | 1.0% |
※2019年度介護報酬改定について
~介護職員の更なる処遇改善~
これらの割合で計算され支給された金額を、従業員に支払います。そして、このお金を全額従業員に支給したことを報告するまでが事業所の作業です。つまり、いわゆるピンハネを防止する仕組みになっています。
従業員がもらえる金額と計算方法
事業所から従業員に支給される処遇改善加算の額は事業所によって異なります。
全額従業員に支給しなければならないという決まりはありますが、その金額や分配方法までは指定されていません。
また、対象の従業員全員に支給しなければならないという決まりもありません。事業所が役職やスキルに合わせて支給する場合もあるので、勤め先に事前に確認しておくのがいいでしょう。


介護職員処遇改善加算はいつから支給される?
事業所への支給のタイミング
事業所が介護職員処遇改善加算を受け取るには、自治体に計画書を提出し、申請を行わなければなりません。
この申請を4月15日までに行えば、年度初めの4月から支給を受けることができます。
5月以降、年度途中に申請する場合は、申請した月の翌々月から支給を受けることができます。
従業員への支給のタイミング
処遇改善加算を従業員に支給する際の分配方法や、時期の指定はありません。したがって、支給のタイミングは事業所によって決められます。
毎月の給料にいくらか上乗せされる場合もあれば、年数回に分けて別途で支給される場合もあります。
まとめ
以上、介護職員処遇改善加算についてでした。ここまでをわかりやすくまとめると以下のような内容になります。
・事業所が満たした条件とサービス内容によってもらえる金額が異なる
・直接介護に携わる人であれば雇用形態に関係なく受け取ることができる
・ただし、分配条件や時期は事業所によって決められる
高齢者が増え、一人でも多くの介護士が必要な昨今。このようなサポートは、介護職にポジティブな考えをもてるきっかけになりますね。
介護職に就こうか悩んでいる方は、ぜひこの記事をきっかけにさらに介護職やそのシステムについて理解を深めてみてくださいね。
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