アルツハイマー病と認知症の違いとは?原因や症状、認知症の種類を解説

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神戸医療福祉専門学校 中央校 介護福祉士科は13年連続で就職率100%!
文部科学大臣から、より実践的な職業教育に取り組んでいる専門学校として「職業実践専門課程」の認定を受けており、2年間で即戦力となる介護福祉士が目指せます。

「アルツハイマー」と「認知症」は、セットでよく聞く言葉ですが、その意味や違いはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

簡単に説明すると、認知症とはさまざまな病気や障害で脳の認知機能が低下し、社会生活に困難が生じている状態を指します。
そして、その認知症を引き起こす病気の一つがアルツハイマー病です。

今回はそんなアルツハイマー病が引き起こすアルツハイマー型認知症の原因や症状、そのほか代表的な認知症の種類を解説します。

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この記事の執筆者神戸医療専門学校 中央校 介護福祉士科

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認知症とアルツハイマー病の違い

認知症とは、病気や障害などさまざまな原因で、見当職(人・場所・時間などを認識する力)や、記憶力、判断力が低下し、社会生活に支障をきたしている状態のことです。

アルツハイマー病は、認知症を引き起こす病気の一つです。

アルツハイマー病によって発症した認知症は、アルツハイマー型認知症と呼ばれます。
認知症はそれ以外にもレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症など発症した原因によっていくつかの種類に分類されます。

アルツハイマー病は認知症のなかでも最も患者数が多い疾患で、認知症患者の約7割がこのアルツハイマー型認知症に該当します。

出典:都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応-p7

アルツハイマー型認知症の原因

認知症を引き起こすアルツハイマー病は、βアミロイドと呼ばれるタンパク質が原因だと考えられています。

何らかの理由によりこのβアミロイドが脳の中に蓄積すると、脳内にある健全な神経細胞が破壊され、認知機能の低下や脳の萎縮を招きます。

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の主な症状は、脳の細胞が失われたことを直接的な原因とする中核症状と、中核症状によって引き起こされる周辺症状に分かれます。

中核症状

アルツハイマー型認知症の一般的な中核症状としては、もの忘れなどの記憶障害が挙げられます。
アルツハイマー症では、記憶を司る器官である「海馬」を中心に脳が萎縮するためです。

記憶障害は発症早期から見られ、徐々に症状が進行すると見当識障害も発生します。
見当識障害とは、時間や季節、今いる場所や周囲の人間との関係性などがわからなくなることです。

さらに症状が進むと身体機能も低下し、動きが不自由になるケースもあります。
ただし進行の速度には個人差があり、発症から数年で寝たきりになる人もいれば、10年経過しても自立した暮らしを保てる人もいます。

周辺症状

アルツハイマー型認知症では、記憶障害や見当識障害のような中核症状を原因とする周辺症状もあらわれます。

周辺症状は別名「認知症の行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれ、具体的には不安や抑うつ、徘徊や幻覚、暴力や暴言などが挙げられます。

周辺症状としてあらわれる行動・心理症状は、患者の心理状態によってさまざまです。

アルツハイマー型認知症以外の代表的な認知症の種類

アルツハイマー型認知症以外の代表的な認知症の種類
認知症は、発症した原因によっていくつかの種類に分類されます。
アルツハイマー型認知症以外の代表的な認知症としては、主に以下の3種類が挙げられます。

  • 血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症

ここからは、これらの認知症の特徴についてそれぞれ説明します。

血管性認知症

アルツハイマー型認知症に次いで患者数の多い認知症です。
脳出血や脳梗塞など脳の血管障害によって、脳の神経細胞が圧迫されたり、脳の一部が壊死したりすることで発症します。

障害が起きた部位によって、歩行障害や手足のしびれ、排尿障害、言語障害、感情が不安定になるなど発生する症状はさまざまです。

認知症はその多くが原因不明ですが、血管性認知症の原因は脳出血や脳梗塞など明らかです。
そして脳出血や脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が原因で発症します。
このため血管性認知症は、食事や運動、喫煙などの生活習慣を改善することで予防が可能です。

血管障害の発作が起こるたびに症状が重くなるため、治療においても生活習慣の改善やリハビリで発作の再発を防ぐことが重要になります。

レビー小体型認知症

脳にレビー小体という異常なタンパク質が蓄積し、脳神経細胞を破壊することで発症する認知症です。

レビー小体はパーキンソン病を引き起こすタンパク質でもあるため、発症後は手足の筋肉が動かしにくくなる、手足が震えるなどのパーキンソン症状が見られるのが特徴です。

そのほか特徴的な症状としては、眠っているときに激しく手足を動かすなど
睡眠時の異常行動、幻覚・幻視
が挙げられます。

また、症状に波があり、一日の中でも認知機能や体調、気分が大きく変動するのもレビー小体型認知症の特徴です。

前頭側頭型認知症

脳にピック球やTDP-43などの異常物質が蓄積し、前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症する認知症です。

理性をつかさどる前頭葉の働きが低下するため、性格が極端に変わる、周囲に関係なくわがままを押し通そうとする、身だしなみに無頓着になるなど、社会性の低下が著しく見られます。

難病として国に指定されており、比較的若い40代〜60代に発症することが多い、記憶障害が見られることは少ないなど他の認知症にはない特徴があります。

症状が進行するにつれて、物の名前がわからない、言葉が出ないなどの言語障害意欲低下が顕著になります。

アルツハイマー型認知症と他の認知症の違い

アルツハイマー型認知症と他の認知症の違い
一口に認知症といっても、その症状や原因、発症率や進行スピードは種類によって異なります。

そこで、以下の項目に分けてアルツハイマー型認知症と他の認知症との違いを説明します。

  • 脳の変化と症状
  • 原因
  • 発症率
  • 進行の速度

脳の変化と症状

アルツハイマー型認知症では、記憶をつかさどる海馬を中心に脳全体が萎縮します。このため初期症状から記憶障害が見られるのが特徴で、症状の進行とともに見当識障害や身体機能の低下などもあらわれます。

血管性認知症では、大きな梗塞(血栓)や多数の小さな梗塞(血栓)によって、脳の血管が詰まることで発症します。前頭葉、側頭葉、海馬など、梗塞がある場所によってあらわれる症状はさまざまです。

レビー小体型認知症では、脳の萎縮は見られません。しかし、発症の原因となるレビー小体はパーキンソン病を引き起こす物質でもあるため、手足のこわばり、震えなどのパーキンソン症状が発現するのが特徴だといえるでしょう。

前頭側頭型認知症では、理性をつかさどる前頭葉、言語や感情をつかさどる側頭葉が徐々に萎縮していきます。このため症状においては、人格変貌や他者への配慮に欠ける言動など社会性の低下が目立ちます。

原因

アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症は、脳に異常物質が蓄積することで発症します。
しかし、脳に異常物質が発生する原因やメカニズムは不明であるため、現代医学では予防することは困難です。

それに対して血管性認知症は、生活習慣病によって引き起こされる脳出血や脳梗塞によって起こることがわかっているため、運動や食事などの生活習慣の改善により予防が可能です。

発症率・男女比

発症率・男女比
出典:都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応-p7

上記のグラフからわかるとおり、アルツハイマー型認知症は、認知症患者のなかで最も患者数が多い疾患です。
次点で、血管性認知症の患者数が多くなっています。

男女比は、アルツハイマー型認知症病は1:2と、男性より女性の発症率が高くなっています。その原因としては、平均寿命の違いや閉経に伴うホルモンバランスの乱れなどが考えられます。

一方、血管性認知症患者の男女比は、およそ2:1と、女性より男性の発症率が高いです。その原因としては、喫煙率や飲酒の機会、生活習慣の違いなどが考えられます。

レビー小体型認知症と前頭側頭型認知症では、大きな男女差は見られません。
ただし、前頭側頭型認知症は、40代~60代の比較的若い世代で発症するという特徴があります。

進行の速度

アルツハイマー病の進行はゆるやかで、徐々に認知機能が低下していくのが一般的です。
前頭側頭型認知症やレビー型認知症も、アルツハイマー型と同様ゆるやかに進行するのが一般的です。ただし、レビー小体型認知症は症状の良し悪しに波があるほか、他の認知症と比べて急激に悪化しやすいという特徴があります。

血管性認知症の場合は、脳卒中などの発作が起こるたび段階的に症状が進行していきます。

認知症の検査・診断方法

認知症は、本人・家族への問診や、医師から質問やテストを受ける神経心理検査、脳画像検査の結果などで診断されます。

問診では、受診のきっかけとなった言動や症状が現れたタイミング、持病の有無などが確認されます。

脳画像検査には、脳の断面図を撮影するMRI検査CT検査、脳の血流を調べるSPECT検査などがあります。

海馬周辺の萎縮がみられる場合はアルツハイマー型認知症、前頭葉や側頭葉に萎縮がみられる場合は前頭側頭型認知症、脳血管病変がある場合は血管性認知症など、脳画像検査の結果は鑑別において有力な判断材料となります。

また、SPECT検査で前頭葉に血流低下がみられる場合は、レビー小体型認知症の可能性が疑われます。

認知症の治療法

認知症の中には血管性認知症をはじめ、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症など予防や治療が可能な種類もあります。

しかし、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などに対する根本的な治療法はまだ確立されていません。

こういった認知症の治療では、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬やNMDA受容体拮抗薬などの抗認知症薬やリハビリテーションなどによる非薬物療法を用いて、症状の進行を遅らせるのが基本となります。

もしも家族が認知症になったら?

もしも家族が認知症になったら?
認知症は誰にでも起こりうる脳の病気です。

心の準備ができる前に突然やってくるものですから、家族が認知症と診断された場合「可能な限り一緒に暮らしたい」と考える人も多いでしょう。

認知症患者の方といっしょに暮らすには、服薬管理などの生活サポートのほか、火元や戸締りの管理など事故発生を防ぐために環境を整備することも重要です。

また、もの忘れや失敗を責めない、症状の進行を遅らせるために家事や料理を手伝ってもらうなど、向き合い方についても考える必要があります。

要介護認定を受ける

日本では公的介護保険制度といって、介護が必要な人を社会全体で支える制度があります。

その人がどれくらいの介護を必要としているか判定する要介護認定を受ければ、この介護保険制度によって、所定の介護サービスを利用した場合の自己負担金額を軽減することが可能です。

要介護認定は、要支援1・2、要介護1〜5の段階に分かれており、その区分によって利用できる介護サービスや自己負担額などは異なります。

このため家族が認知症の診断を受けたら、まずは市区町村の窓口に「介護保険要介護・要支援認定申請書を提出しましょう。
調査員の訪問調査など所定の手続きを経て、要介護認定の判定を受けることで、必要な介護保険サービスを受給できます。

施設への入居を検討するタイミング

認知症の症状が進行すると、徐々に家族だけでは対処できないことも増えてきます。

施設への入居を検討し始める一般的なタイミングは、認知症患者本人が60歳〜70歳のときです。しかし、介護者が介護を辛いと感じるかどうかも入居の検討を始める重要なポイントだといえるでしょう。

なかには「本人が施設入居に乗り気ではない」「自分ももっと頑張れるのではないか」などの想いから、施設への入居に罪悪感を覚える人もいるかもしれません。

しかし、施設への入居は介護者の精神的、肉体的な負担を軽減するだけでなく、介護のプロが適切なケアをおこなってくれるため、認知症患者本人も快適に過ごせます。

何よりいつの時代も、いくつ歳を重ねても、親にとって一番の幸せは我が子が元気に笑顔で暮らしていることです。
いつかその時がきたら、お互いが元気で、そして笑顔でいられるための選択肢として、決して悪いことと思わず前向きに検討してみてください。

介護のプロ「介護福祉士」ってどんな仕事?

アルツハイマー型認知症をはじめ、さまざまな高齢者介護の現場で働く介護のプロとしては、介護福祉士が挙げられます。

介護福祉士とは、介護業界で唯一の国家資格です。
介護に関する専門的な知識と技術があることを国から証明されているため、大切な家族を安心して預けられます。

また、「家族や将来のために介護を専門的に学びたい」という人や「介護業界でキャリアアップを目指したい」という人にもおすすめの資格だといえるでしょう。

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まとめ

認知症は、アルツハイマー病をはじめその原因となる病気や障害によってさまざまな種類に分けられます。

アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでももっとも患者数が多い疾患であり、早期からもの忘れなどの記憶障害がみとめられるのが特徴的です。

ただし、認知症の症状や進行の速度は種類によって異なります。
なかには記憶障害をともなわない認知症もあるため「少し様子がおかしいな?」と思ったら、精神科、脳神経内科、脳神経外科、老年科などを受診すると良いでしょう。
本人が受診に乗り気でない場合は、まずはかかりつけ医に相談するのも効果的です。

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