自閉スペクトラム症(ASD)の特徴とは??0〜6歳の年齢別に子どもの行動特性を紹介

自閉スペクトラム症(ASD)の特徴とは??0〜6歳の年齢別に子どもの行動特性を紹介
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自閉スペクトラム症(ASD)は先天的な発達障害のため、幼少期からその特徴が現れ始めるのが一般的です。
そこで今回は、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる子どもの特徴を0〜1歳、1〜2歳、3〜4歳と年齢別に紹介します。

また、自閉スペクトラム症(ASD)は一般的に3歳までに診断されますが、なかには本人も周囲も気付きにくい特性のため、幼少期はいわゆるグレーゾーンとして見逃されている人もいます。
そこで、社会人になってから違和感や生きづらさを抱えている人のために、大人の自閉スペクトラム症(ASD)の特徴もあわせて紹介しますので、受診の目安として活用してご活用ください。

気になる症状がある場合は専門機関への相談を検討しましょう。

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自閉スペクトラム症(ASD)とは

自閉スペクトラム症とは、生まれつきの脳機能障害により社会生活に困難が発生する発達障害の1つです。

従来は、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群など診断名が分かれていましたが、2013年に米国精神医学会(APA)が発表した「DSM-5」以降は、統一して「自閉スペクトラム症」という診断名が採用されるようになりました。

自閉スペクトラム症(ASD)の3つの特徴

自閉スペクトラム症(ASD)は、従来は知的障害の有無や症状によって細かく診断名がわかれていました。

しかし、現在はそれらによる境界はなく、以下3つを基本特性とする発達障害は同じ「自閉スペクトラム症」として診断されるようになっています。

  • 対人関係・社会的コミュニケーションの困難
  • こだわり行動
  • 感覚過敏あるいは鈍麻

米国精神医学会(APA)が発表した「DSM-5」の基準では、発達早期から上記の症状がみとめられ社会生活に支障が出ている場合、そしてこれらの障害が知的障害などではうまく説明されない場合に、自閉スペクトラム症(ASD)として診断します。

参照::ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について | e-ヘルスネット(厚生労働省)

対人関係・社会的コミュニケーションの困難

「人との関わりが苦手」「コミュニケーションがうまくとれない」など、対人関係や社会的なやりとりに困難が生じるのが、自閉スペクトラム症(ASD)の基本特性の1つです。

相手の気持ちを察することが苦手なため、場の空気を読む、比喩や皮肉、暗黙のルールなど明文化されていないことを理解するのが難しく、言われたことを文字通りに受け取ってしまうなどして、さまざまな場面で困りごとを引き起こすことがあります。

「DSM-5」の基準では、これらの特性によって社会生活が障害されており、なおかつ後述するこだわり行動、感覚の過敏さまたは鈍麻さなどの特性が2つ以上みられる場合、自閉スペクトラム症(ASD)として診断されます。

こだわり行動

特定のものや行動に強いこだわりや反復性があるのも、自閉スペクトラム症(ASD)の基本特性の1つです。

一度決めたルールは必ず守る、物の配置や順番が同じでないと気が済まない、決まったものしか着ない、食べないなどのこだわりが強くみられます。

感覚の過敏さまたは鈍麻さ

自閉スペクトラム症(ASD)の人は、脳の特性上感覚が過度に偏っていることも多いです。

例えば、光や音、においなどの刺激に対して過敏である、その一方で痛みに鈍い、手先が不器用などの触角鈍麻がみられるなどします。

すべての感覚が過敏であったり、一部の感覚のみが過敏であったりと人によって問題が生じる感覚や程度はさまざまです。
国立障害者リハビリセンターの研究結果によると、発達障害のある人において最も問題が生じやすいのは聴覚であり、次いで視覚、触覚、嗅覚なども多いことがわかっています。

自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる子どもの特徴

自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる子どもの特徴
自閉スペクトラム症(ASD)の原因は、生まれつきの脳機能障害であるという説が有力です。
このためその特性は幼少期から現れるのも、自閉スペクトラム症(ASD)の1つの特徴といえます。

そこで、ここからは0〜1歳、2〜3歳、4〜6歳の年齢別に自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる子どもの特徴を紹介します。

0〜1歳

自閉スペクトラム症(ASD)で現れる特性やその程度には個人差があります。
一般的には幼児期に発覚することが多いですが、なかには0〜1歳という乳児期の段階でその特性があらわれはじめる子どももいます。

0〜1歳にみられる、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる主な特徴は以下のとおりです。

目が合わない 自閉スペクトラム症(ASD)は人に対する関心が弱いため、アイコンコンタクトが少ないのが特徴です。しかし、目が合うようになるのはおよそ生後6ヵ月〜であり、乳児期は発達の個人差も大きいです。あくまでも傾向の1つととらえ、この時点で心配しすぎる必要はないといえるでしょう。
抱っこを嫌がる 抱っこは、子どもがある特定の人と密接な関係を求めるアタッチメント行動(愛着)の1つです。自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは感覚が過敏であったり対人関係が苦手だったりするため、抱っこを嫌がって体を反らす「反り返り」を頻繁にすることがあります。
あやしても笑わない 他者との関わりによる笑顔がみられない場合、社交的なスキルの発達に遅れがある可能性があります。
人見知りをしない
後追いをしない
見慣れない人に対して不安や恥ずかしさを感じる人見知りや、保護者がいなくなると不安になって探し回る後追いは、他人の認識や愛着形成が発達している途中段階です。自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは人に対する関心が弱いため、これらの発達段階が見られないことがあります。
寝つきが悪い 自閉スペクトラム症(ASD)があると、睡眠と覚醒リズムが不規則になる傾向があり、赤ちゃんの頃から寝つきが良くないことが多いです。また、感覚過敏による症状が睡眠妨害の原因となることもあります。

また、子どもが1歳半頃になると、母子健康法という法律に基づいて、各自治体で1歳6ヵ月児健康診査(1歳半検診)が実施されます。
1歳半検診では心身の健康だけでなく発達の確認もおこなわれるため、著しい発達の遅れやこれらの行動特性によって、自閉スペクトラム症(ASD)の可能性が指摘されることもあります。

2〜3歳

自閉スペクトラム症(ADD)が診断される年齢が最も多いのは3歳頃だといわれています。
2〜3歳になると言葉の発達や周囲の働きかけに反応することが増え、行動特性に気付きやすくなるためです。

2〜3歳にみられる、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる主な特徴は以下のとおりです。

名前を呼んでも反応しない
視線が合わない
指差した方向をなかなか見ない
抱っこや触られるのを嫌がる
自閉スペクトラム症(ASD)は人に対する関心が弱いため、他者の働きかけへの反応が鈍かったり、アタッチメント行動(愛着)が苦手だったりします。
言葉の発達が遅い
人の言ったことをオウム返しする(反響言語)
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、言葉の発達に遅れがあったり、相手から質問されてもその質問をそのまま返してしまったりとコミュニケーションが取りにくいことがよくあります。
食べ物の好き嫌いが激しい 感覚の過敏さやこだわり行動により、決まったものしか食べない、着ないなどの執着がみられることがあります。
欲しいものを自分の言葉や身ぶりではなく、親
の手をつかんで指し示す(クレーン現象)
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、指差しや言葉で自分の気持ちを伝えることが苦手な傾向にあるため、親の手をつかんで欲しいものを指したり、とらせようとしたりするクレーン現象がみられることがあります。

3歳頃になると、1歳半健診同様、法律に基づいて3歳児健康診査(3歳健診)が実施されます。
3歳健診は、一般的にも自閉スペクトラム症(ASD)が発覚するきっかけとなることが多いタイミングといえます。

4〜6歳

4〜6歳になると、他の子どもたちと関わりながら遊ぶ機会が増えるため、特性による対人関係やコミュニケーションにおける困難が目立つようになります。

4〜6歳にみられる、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われる主な特徴は以下のとおりです。

同じ遊びを繰り返す
特定のものごとやルールに強いこだわりがある
車のおもちゃを必ず一列に並べる、何度もドアを開け閉めするなど、日常生活の行動や遊びに強いこだわりやパターン化が現れます思いどおりにいかないと、大きな声をあげる、手足をバタバタさせるなどかんしゃくを起こすこともあります。
ごっこ遊びが苦手 自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは人の気持ちを考えたり、他の人と感情を共有したりすることが難しいため、ごっこ遊びが苦手な傾向にあります。
集団行動が苦手
同年齢の友達をうまく遊ぶことができない
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは一人遊びが好き、集団行動は苦手という子が多い傾向にあります。また、相手の気持ちを考えることが難しいため、自分が喋りたいことだけ喋るなど、他の子との関わり方が一方的になってしまうことがあります。

自閉スペクトラム症(ASD)はすべての人が同じような特徴を持っているわけではないため、素人が判断するのは難しく、診断には小児神経科・児童精神科・小児科医師などの専門家による医学的評価が必要です。

気になる症状が複数ある場合、当てはまる症状は少ないが程度が強く困っているという場合は、一度
医師や自治体の発達窓口などに相談してみるとよいでしょう。

大人の自閉スペクトラム症(ASD)の特徴

自閉スペクトラム症(ASD)は、通常3歳までに診断されることが多いです。

しかし、本人や周囲が気付きにくい特性や程度の場合、小学校入学後や成人後に自閉スペクトラム症(ASD)であると診断される場合もあります。

また、なかには診断基準に満たないものの、自閉スペクトラム症(ASD)特有の症状がみられるいわゆるグレーゾーンに該当する人もいるでしょう。

断言できませんが、大人で以下の項目に多く当てはまる場合は、自閉スペクトラム症(ASD)が疑われます。

  • あいまいな質問に答えることが苦手
  • 人と話しているときに、自分が話をする番か話を聞く番なのかわからないことが多い
  • 人と話しているときに、相手の表情や仕草の意味を理解することが難しい
  • 言葉を文字通りに受け取ってしまい、相手の意図に気付かないことが多い
  • 他の人が気にならないような肌触りのものが非常に不快に感じることがある
  • どのように友達を作ったり人付き合いをするのかよくわからない
  • 自分の決まったやり方でなくなるとひどく動揺する

これらは一例にすぎず、何個当てはまったから自閉スペクトラム症(ASD)というものではありません。
しかし、思い当たることが多い、これらの理由で社会生活に困難を抱えているなどの場合は、医療機関を受診するなど専門家に相談してみるとよいでしょう。

自閉スペクトラム症(ASD)の治療方法

自閉スペクトラム症(ASD)の治療方法
自閉スペクトラム症(ASD)は、生まれつきの脳機能障害が原因だと考えられています。
病気というよりも持って生まれた特性であるため、薬などで治療することはできません。

しかし、医療と教育をかけ合わせた療育によって、障害による生きづらさを軽減することは可能です。

療育では、障害を抱える子どもたちの発達を促し、自立して生活できるよう一人ひとりに合わせた支援をおこないます。

療育における作業療法士の役割

療育には、医師や保育士、そして言語聴覚士、理学療法士などそれぞれのリハビリテーションの専門職が関わります。

そのなかでもわたしたち作業療法士は、作業活動を通じて食事や着替えなど日常生活に必要な動作を獲得し、こころとからだの健康を取り戻すリハビリテーションをおこなうことが仕事です。
作業活動とは、食事やトイレ、着替えなど日常生活を送るために必要な動作だけでなく、料理や陶芸など人間がおこなうすべての活動を指します。

療育では、積み木やお絵描き、工作などの遊びを通じて、人との関わり方や感覚の調整を担うことが作業療法士の役割です。
例えば、粘土遊びや砂場遊び、ボールプール、などで過敏または鈍麻な感覚を刺激、統合します。

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まとめ

自閉スペクトラム症(ASD)は幼少期からその特性が現れ始め、3歳頃に診断されるのが一般的です。
しかし、自閉スペクトラム症(ASD)の症状は人それぞれで、具体的にどの症状がいくつあれば自閉症という明確な定義があるわけではないため、素人には判断が難しいです。
今回紹介したチェック項目に複数当てはまる場合や、数は少ないものの気になる症状があるという場合は、子どもの場合は自治体の発達窓口や小児科、大人の場合は精神科・心療内科などに一度相談してみるとよいでしょう。

作業療法士は作業活動を通じてこころとからだのリハビリテーションをおこなう職業です。
リハビリというと高齢者介護のイメージがありますが、自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとする発達障害領域でも活躍しています。

子どもたちの可能性を引き出す仕事がしたい。一人ひとりがその人らしく生活するのを支えたい。

そんな思いがある方はぜひ、職業選択の候補として作業療法士を検討してみてはいかがでしょうか。
まずは無料パンフレットの請求やオープンキャンパスへの参加で職業理解を深めてみてください。

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