スクールソーシャルワーカーは、児童・生徒が抱えるいじめや不登校、暴力行為や虐待などの問題を解決するために、生徒を取り巻く環境に働きかけ、関係機関と連携して支援をおこなう専門職です。
その役割は多岐にわたり、直接的な支援と間接的な支援の両面から問題解決に貢献しています。
直接的支援としては、家庭訪問の実施や、児童・生徒の家庭を必要な福祉サービスや関係機関につなぐなどの援助が挙げられます。
例えば、経済的な困難を抱える家庭に対しては、公的な支援制度の紹介や申請手続きのサポートをおこなうことで、生活環境の改善を図ります。
一方で間接的支援としては、不登校の生徒が通学しやすいように支援学級を準備するなど、学校内外の環境調整、関係機関との連携や調整、学校内におけるチーム体制の構築などがあります。
具体的には、スクールカウンセラーや教員と協力し、生徒一人ひとりの状況に合わせた個別支援計画の策定に携わることもあります。
さらに、スクールソーシャルワーカーの支援対象は児童・生徒だけでなく、保護者や学校の教職員も含まれるため、保護者への相談援助や情報提供、教職員への研修活動なども重要な業務です。
これにより、学校全体で問題に対応できる体制を構築し、児童・生徒が安心して学習できる環境づくりをサポートしています。
目次
スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?
スクールソーシャルワーカー(以下SSW)とは、学校という教育現場において、子どもたちが抱える様々な生活課題の解決を支援する専門職です。
主な活動内容は、いじめや不登校、暴力行為、虐待といった問題に対し、子どもを取り巻く環境に働きかけたり、医療機関や児童相談所、学校以外の教育機関などの関係機関と連携してサポートしたりすることです。
2008年に文部科学省が「スクールソーシャルワーク活用事業」を導入したことを機に、SSWの配置が全国的に進められてきました。
子どもたちの問題が多様化・複雑化する現代において、教員だけでは解決が難しいケースが増加しており、SSWのような専門職の重要性が高まっています。
SSWは、単に問題を抱える子どもだけでなく、保護者や教職員に対しても相談援助や情報提供、研修活動を行うことで、学校全体で子どもたちを支える体制づくりに貢献しています。
スクールソーシャルワーカーの役割とは?
スクールソーシャルワーカーの役割は、いじめ、不登校、暴力行為、虐待など、子どもたちが抱えるさまざまな問題の解決を図ることです。
これらの問題の要因は学校や家庭など子どもを取り巻く環境にあり、複雑なケースが多く、教員だけでは解決が困難な状況が増えています。
不登校を例に挙げると、いじめや家庭内の不和、学力不振など、複数の要因が絡み合っている場合があります。
このような場合、スクールソーシャルワーカーは社会福祉の専門的な知識と視点から、子ども本人だけでなく、保護者や学校、関係機関など多方面に働きかけ、課題解決に向けた支援をおこないます。
スクールソーシャルワーカーの仕事内容
スクールソーシャルワーカーの仕事内容は、多岐にわたる児童生徒を取り巻く問題に対し、直接的支援と間接的支援の2つのアプローチで解決を図ることです。
直接的支援では、まず児童生徒やその家庭への訪問を通して、具体的な困りごとやニーズを把握することから始まります。
例えば、家庭内の問題を抱える児童生徒には、適切な福祉サービスや関係機関への橋渡しをおこない、生活の安定をサポートします。
また、不登校の児童生徒に対しては、学校復帰に向けた面談や、自宅学習の支援などもおこなう場合があります。
この支援は、児童生徒一人ひとりの状況に合わせた個別性の高い対応が求められるため、粘り強い関わりが不可欠です。
一方、間接的支援は、児童生徒を取り巻く環境そのものを調整することに重点を置きます。
例えば、不登校の児童生徒が学校に通いやすくなるよう、支援学級の設置を提案したり、学校内の居場所づくりを働きかけたりします。
また、医療機関や児童相談所、警察などの関係機関と連携し、情報の共有や合同でのケース会議を実施することで、より包括的な支援体制を構築します。
さらに、学校内の教職員と連携し、支援チームを編成する役割も担います。
これにより、教職員が抱える生徒指導上の課題に対する助言や、研修の実施を通じて、学校全体の支援能力の向上に貢献することも重要な業務の一つです。
スクールソーシャルワーカーの支援対象は児童生徒だけでなく、保護者や教職員も含まれるため、保護者に対する相談援助や情報提供、教職員への研修活動などもおこない、学校と家庭、地域が一体となって児童生徒を支える体制を築き上げることを目指します。
児童・生徒への働きかけ
スクールソーシャルワーカーは、問題を抱える児童・生徒に対し、個別の面談を通じて状況を把握し、寄り添いながら問題解決へと導きます。
時には、児童・生徒を取り巻く家族や友人、学校、また地域と連携し、より良い環境を構築できるよう多角的に支援をおこなうのが特徴です。
児童・生徒が抱える課題の要因は複雑化しているため、心理的な側面だけでなく、生活環境全体に目を向けたアプローチが求められます。
そのために、学校内外の多様な機関と連携し、包括的な支援体制を整えることも重要な役割です。
校内の体制づくり
スクールソーシャルワーカーは、学校の教職員がおこなう会議に参加し、福祉に関する専門知識を活かして、子どもたちが抱える問題に対してどのような支援が必要か提案します。
また、教職員が日頃おこなっている対応や問題解決の計画について、スクールカウンセラーの視点も取り入れながら指導や助言をおこない、学校内での協力体制を構築する支援をいたします。
必要に応じて、教職員を対象とした研修を実施するケースもあります。
関係機関との連携
スクールソーシャルワーカーの重要な役割の一つに、児童・生徒が抱える不登校などの問題解決のために、関係機関との連携が挙げられます。
連携する内容に応じて、児童相談所や福祉事務所などの福祉関係機関、病院などの保健医療機関、適応指導教室などの教育関係機関と協力体制を築きます。
例えば、不登校の背景に発達障がいがある場合は、医療機関との連携を通して適切な診断を促し、必要な福祉サービスを受けられるよう福祉窓口とつなぐといった支援です。
各専門機関や担当者が連携し、問題解決に向けて取り組めるよう、学校のスクールソーシャルワーカーが中心となって情報共有や行動連携をおこない、支援ネットワークを構築することが求められます。
スクールソーシャルワーカーの事例
スクールソーシャルワーカーの支援事例は多岐にわたり、問題の根底にある家庭や地域の状況を把握し、関係機関と連携することで課題解決に導いています。
例えば、不登校の生徒に対しては、家庭訪問を通じて生活状況を確認し、必要に応じて地域のフリースクールや学習支援施設を紹介するなど、学校以外の居場所作りを支援します。
また、経済的な困難を抱える家庭の生徒には、就学援助制度や生活保護などの福祉サービスの情報提供や申請手続きのサポートを行い、生活基盤の安定を図ることで、安心して学校生活を送れるよう支援します。
このようなきめ細やかなサポートによって、児童生徒が抱える複合的な問題に対応し、健全な成長を促しているのです。
不登校生徒とその保護者のための活用事例
不登校の生徒を支援する例として、中学生のBさんの事例が挙げられます。
Bさんが登校できなくなり、学校から保護者への連絡が難しい状況だった際に、スクールソーシャルワーカーが支援に入り、保護者やBさんとの関係構築に努めました。
その結果、保護者の就労状況や同居家族の介護状況など、Bさんが置かれている環境が明らかになり、関係機関との連携を通じて対応が進められました。
このように、スクールソーシャルワーカーの介入により、学校と保護者の関係改善や、生徒への多角的な教育支援が実現するケースは少なくありません。
文部科学省も、スクールソーシャルワーカーの活用を推進しており、支援が難しい状況においてその役割が非常に重要であると考えています。
児童虐待のための活用事例
高校生の例では、母親の単身赴任により父親との二人暮らしで、父親との関係性や母親からの成績へのプレッシャーから精神的虐待を受けており、不登校や希死念慮が見られました。
スクールソーシャルワーカーが面談で丁寧に思いを聴き取り、学校と情報共有を行いました。
家庭内の安定のため、医療機関の通院や児童相談所との連携強化が図られました。さらに、高校の進路担当者とも連携し、生徒の要望を反映した進路変更を実現した例も、文部科学省の事例として報告されています。
このように、スクールソーシャルワーカーは教育機関だけでなく、他機関とも連携し、児童生徒の生活と学習環境を包括的に支援しています。
貧困対策のための活用事例
不登校の子どもに対する支援例として、外国籍の母親と不登校の子どものケースがあります。
母親は日本語でのコミュニケーションに不安があり、必要な生活制度やサービスにつながれていない状況でした。
スクールソーシャルワーカーは、学校やスクールカウンセラーとの連携を通じて、就学援助や生活保護の申請、受診同行などの生活面をサポートしました。
また、担任の先生やスクールカウンセラーは、進路決定や不安に対するカウンセリングを継続的に行い、児童を支援しました。
それぞれの立場からの継続的な支援により、子どもの気持ちは安定し、生活保護受給も決まり、経済的な安定を得て安心して進路を決定することができました。
文部科学省の事例にも、スクールカウンセラーと病院の心理士などとの連携・情報共有が進み、継続的な支援によって良い結果が得られたとあります。
ヤングケアラー対策のための活用事例
精神疾患の保護者を持つヤングケアラーの例では、スクールソーシャルワーカーが保護者のケアやきょうだいのケアについて面談し、自治体担当課や児童相談所、きょうだいのスクールソーシャルワーカーと連携しました。
この事例では、ヤングケアラーへのレスパイトケアが重視され、学校がセーフティーネットとして機能する体制を構築しました。
教職員、NPO団体、スクールソーシャルワーカーの三者が連携し、学校内に子どもたちが気軽に利用できる居場所活動を実施しています。
これにより、子どもたちが安心して過ごせる場所が確保され、文部科学省も推奨する予防的な介入にもつながっています。
スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーの違い
スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーは、どちらも学校で児童・生徒や保護者、教職員を支援する専門職ですが、問題解決へのアプローチ方法に大きな違いがあります。
スクールカウンセラーは、主に心理学の専門家として、児童・生徒の行動観察やカウンセリングを通じて、心の側面からサポートをおこないます。
例えば、不登校の児童に対しては、その背景にある心理的な要因を探り、不安やストレスを軽減するためのカウンセリングを実施することが挙げられます。
これは、個人の内面にある問題に焦点を当て、心理的なアプローチで解決を目指すものです。
一方、スクールソーシャルワーカーは、社会福祉の専門家として、児童・生徒を取り巻く環境に焦点を当てた支援が特徴です。
具体的には、家庭環境の改善や、経済的な問題に対する福祉制度の紹介、または関連機関との連携を通じて、包括的なサポートを提供します。
例えば、虐待の疑いがある児童に対しては、児童相談所との連携を図り、安全な環境を確保するための調整をおこなったり、貧困家庭の児童には、生活保護などの社会保障制度の利用を促したりすることがあります。
このように、スクールカウンセラーが「心のケア」に重点を置くのに対し、スクールソーシャルワーカーは「環境への働きかけ」を通じて問題解決を目指す点が、両者の主な違いです。
それぞれの専門性を理解し、状況に応じて適切に連携することで、より効果的な支援が可能になります。
スクールソーシャルワーカー導入の背景
スクールソーシャルワーカーという言葉になじみがないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その普及は、文部科学省が2008年度に導入した「スクールソーシャルワーク活用事業」が大きなきっかけとなっています。
この事業が始まった背景には、いじめや不登校、暴力行為、児童虐待といった児童生徒を取り巻く問題が年々増加し、多様化・複雑化している現状がありました。
特に、文部科学省が発表した「令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学校の不登校児童生徒数は過去最多を更新しており、その増加傾向が顕著です。
このような問題の解決には、学校だけでなく家庭や地域といった多岐にわたる環境が複雑に絡み合っていることが指摘され、包括的な支援の必要性が認識されました。
そこで、児童生徒が抱える問題の根本的な解決を目指し、学校の内外の環境に総合的に働きかけるコーディネーター的な役割を担う専門職として、スクールソーシャルワーカーの配置が推進されることになったのです。
この事業により、スクールソーシャルワーカーは、福祉の視点から児童生徒や保護者を支援し、必要に応じて地域の関係機関との連携を強化する重要な役割を担っています。
スクールソーシャルワーカーが活躍している場所
スクールソーシャルワーカーの主な活動場所は、全国の公立小・中学校、高校、特別支援学校、さらには教育委員会や教育事務所など多岐にわたります。
文部科学省が2023年4月に公表した「スクールソーシャルワーカー活用事業に関するQ&A」によると、2020年度には全国で2,859人のスクールソーシャルワーカーが配置され、1万8,286校に対応していました。
このデータが示すように、すべての学校に必ずスクールソーシャルワーカーが配置されているわけではないのが現状です。
配置形態も自治体によって多様で、一つの学校に専属で配置されるケースもあれば、複数の学校を兼務するケースもあります。
特に、教育委員会などから派遣され、非常勤職員として地域の学校を巡回する働き方が多く見られます。
このような配置状況は、スクールソーシャルワーカーの支援が特定の地域や学校に集中する可能性を示しており、より広範な支援体制の構築が求められています。
スクールソーシャルワーカーになるには
スクールソーシャルワーカーになるためには、特定の資格試験があるわけではありませんが、多くの職場で社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、公認心理師のいずれかの資格が求められることが一般的です。
社会福祉士または精神保健福祉士の資格を保有している方は、日本ソーシャルワーク教育学校連盟が認定するスクールソーシャルワーク教育課程を修了する必要があります。
この課程では、学校現場におけるソーシャルワークの専門知識や技術を習得することが目的です。
一方、臨床心理士や公認心理師の資格を保有している方は、指定された保健福祉系の大学院への進学・卒業が求められます。
これらの大学院では、心理学に基づいた専門的な支援方法を深く学ぶことができます。
これらの資格取得と教育課程の修了後、最終的には各就職先が実施する採用試験や面接に合格することで、スクールソーシャルワーカーとして働くことが可能になります。
特に社会福祉士は、現在のスクールソーシャルワーカーの半数以上が保有しており、最も一般的な資格の一つです。
例えば、児童相談所や病院など、様々な福祉現場で活かせる汎用性の高い資格でもあります。
スクールソーシャルワーカーに必要な資格とは
スクールソーシャルワーカーを目指す際に役立つ主要な資格としては、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、公認心理師の4種類が挙げられます。
これらの資格は、スクールソーシャルワーカーとして働く上で採用に有利に働く可能性がありますが、「スクールソーシャルワーカー」という名称の資格は存在せず、これらの資格が必須というわけではありません。
それぞれの資格には特徴があり、取得方法も異なります。
社会福祉士は、福祉の相談援助に関する専門知識と技術を持つ国家資格です。
高齢者や障がい者、子どもなど、社会的に弱い立場にある人々の相談に応じ、必要な支援やサービスへと繋ぐ役割を担います。
社会福祉士の資格取得には、福祉系の大学で指定科目を履修するか、一般の大学を卒業後に養成施設で学ぶなど、複数のルートがあります。
年に一度実施される国家試験に合格することで資格が得られます。
精神保健福祉士も国家資格であり、精神障がいや心の病気を抱える人々の福祉を専門とする資格です。
精神障がいのある方が社会生活を送れるように、相談・助言や自立訓練の支援を行います。
この資格も、福祉系の大学での履修や養成施設での学びを経て、国家試験に合格することで取得できます。
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。
心理学に基づいた専門知識と技術を持ち、クライアントの心理的な問題解決を支援する「心の専門家」として活動します。
臨床心理士の資格は、指定された大学院の修了後に資格試験に合格することで取得できます。
公認心理師は、保健医療、福祉、教育などの分野で心理学の専門知識と技術を活用する国家資格です。
心理的な問題を抱える相談者に対して、心理学に基づいた助言や指導、援助を行います。
この資格も、大学での指定科目履修と大学院での指定科目履修、または指定施設での実務経験を経て、国家試験に合格することで取得が可能です。
社会福祉士(国家資格)
社会福祉士は、福祉や医療の分野で相談援助に必要な専門知識と技術を証明する国家資格です。
この資格を持つ専門家は、社会福祉制度に基づき、高齢者、障がい者、子どもなど、社会的に弱い立場にある人々の相談に応じ、必要な支援やサービスへとつなぐ重要な役割を担っています。
社会福祉士の資格取得には、年に1回実施される社会福祉士国家試験に合格する必要がありますが、その前に特定の受験資格を満たすことが求められます。
社会福祉士国家試験の受験資格には複数のルートが存在します。主に4つの大分類、あるいは詳細には12通りのルートがあると言われています。
主なルートは以下の通りです。
**福祉系大学等ルート:** 4年制の福祉系大学で指定科目を履修して卒業する場合や、福祉系短大等で指定科目を履修・卒業後、1年または2年以上の相談援助業務の実務経験を積むルートです。
**短期養成施設等ルート:** 福祉系大学や短大で基礎科目を履修後に6ヶ月以上の短期養成施設で学ぶ、あるいは児童福祉司などの実務経験が4年以上ある人が短期養成施設等で6ヶ月以上学ぶなどのルートがあります。
**一般養成施設等ルート:** 一般の4年制大学を卒業後、1年以上の一般養成施設での学習が必要となるルートや、相談援助の実務経験が4年以上ある人が一般養成施設で1年以上学ぶルートなどが含まれます。
これらの多様なルートを通じて、社会福祉士は多岐にわたる分野で活躍できる専門家として社会に貢献しています。
精神保健福祉士(国家資格)
精神保健福祉士は、精神障がいやこころの病気を抱えている方々が、地域社会で安心して生活できるよう支援する国家資格を持つ専門職です。
精神科病院などの医療機関を利用している方や、社会復帰を目指す方々に対して、相談援助、助言、指導、日常生活への適応訓練などを通して、社会復帰を促進する役割を担っています。
精神保健福祉士は、医療・保健・福祉といった幅広い分野で活躍しており、近年では教育や司法、産業・労働分野にも活動の場を広げています。
精神保健福祉士の資格を取得するためには、年に1回実施される国家試験に合格する必要があります。
この国家試験を受験するには、いくつかのルートがあり、例えば4年制の福祉系大学で指定科目を履修・卒業する方法や、短期大学や専門学校で基礎科目を履修した後に実務経験を積み、短期養成施設や一般養成施設で必要な知識を学ぶ方法などがあります。
精神保健福祉士は、スクールソーシャルワーカーとして教育現場で活躍することも可能です。
子どもたちの心の健康に関する問題に対して、学校や家庭、地域と連携しながら多角的にサポートし、児童生徒が自分らしい生活を送れるよう支援しています。
社会福祉士・精神保健福祉士資格の取得方法
社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらも厚生労働省が指定する国家試験に合格することで資格を取得できます。
これらの資格は、福祉の分野で専門的な知識と技能を活かし、社会的に困難を抱える人々を支援するために不可欠です。
社会福祉士国家試験と精神保健福祉士国家試験は、どちらも公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施しています。
試験に挑戦するためには、まず受験資格を満たす必要があります。
具体的には、福祉系大学で指定科目を履修して卒業するか、福祉系短大で指定科目を履修し、さらに相談援助の実務経験を積んだ上で、短期養成施設で6ヶ月以上、または一般養成施設で1年以上学ぶといったルートがあります。
例えば、4年制の福祉系大学で指定科目を履修して卒業するルートが最も一般的です。
また、日本における福祉の専門職として社会福祉士を目指すためには、福祉に関する幅広い知識を習得し、実践的なスキルを磨く養成課程を経ることが求められます。
福祉の専門家になるためには、これらの資格取得が大きな一歩となるでしょう。
社会福祉士や精神保健福祉士の資格は、スクールソーシャルワーカーとして活躍する上でも重要な基盤となります。
臨床心理士(民間資格)
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。社会福祉士や精神保健福祉士、公認心理師のような国家資格ではありませんが、1988年から資格認定試験が実施されており、2024年4月1日時点で41,883人が認定されている歴史と実績のある資格です。
臨床心理士の仕事は、臨床心理学に基づいた専門知識や技術を持つ心の専門家として、クライエントの心理的な問題解決を図ることです。
具体的には、面接や観察、心理検査を通してクライエントの心を知り、援助方針を判断します。
必要に応じて臨床心理学的な技法を用いて精神の回復援助を行うとともに、他の専門家と協力して、クライエントを取り巻く環境へ働きかけることも重要な役割です。
臨床心理士の資格を取得するには、原則として臨床心理士養成に関する指定大学院(1種・2種)または専門職大学院を修了し、日本臨床心理士資格認定協会が開催する資格試験に合格する必要があります。
ただし、諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後に日本国内で2年以上の心理臨床経験がある場合や、医師免許取得後2年以上の心理臨床経験がある場合も受験資格が認められます。
臨床心理士は、医療、福祉、教育、司法、産業など多岐にわたる分野で活躍しており、スクールカウンセラーとして学校現場で活動している人も多くいます。
公認心理師(国家資格)
公認心理師は、2017年に施行された公認心理師法に基づく国家資格であり、保健医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働などの幅広い分野で心理的な支援を必要とする人々に対し、専門的な知識と技術をもって助言、指導、援助を行う専門職です。
この資格は、心理職初の国家資格として誕生し、国民の心の健康保持増進に寄与することを目的としています。
公認心理師の主な業務としては、心理状態の観察と分析、心理に関する相談、助言、指導、その他の援助、心理に関する知識の普及や教育などが挙げられます。
公認心理師の資格を取得するためには、主に二つのルートがあります。
一つは、4年制大学で指定された科目を履修し、さらに大学院で指定された科目を履修して卒業する方法です。
もう一つは、4年制大学で指定科目を履修し、卒業後、厚生労働省・文部科学省が指定する施設で2年以上の実務経験を積む方法です。
いずれのルートにおいても、年に1回実施される公認心理師国家試験に合格する必要があります。
この試験は、心理学に関する幅広い知識と、それらを実践的に活用する能力が問われるため、綿密な学習計画と継続的な努力が求められます。
公認心理師は、その専門性から、スクールソーシャルワーカーの活動においても、児童生徒の心理状態を深く理解し、適切な心理的アプローチを提案する上で重要な役割を担うことができます。
スクールソーシャルワーカーの需要
現在、全国でスクールソーシャルワーカーの需要は高まっています。
少子高齢化によって子どもの数は減少傾向にありますが、スクールソーシャルワーカーを配置する学校は年々増えているのが現状です。
文部科学省のデータによると、小学校や中学校でのスクールソーシャルワーカー配置校は増加しており、支援件数も大幅に伸びています。
このため、今後も全国の小学校、中学校、高校への配置拡充が進むと予想され、将来性が高い職業と言えるでしょう。
全国にどれくらいいる?
スクールカウンセラーが全国の学校で活動を開始したのは1995年ですが、スクールソーシャルワーカーの始まりは1986年とされています。
文部科学省のデータによると、2020年度には全国に2,859人のスクールソーシャルワーカーが配置されており、1万8,286校に対応していました。
しかし、これはすべての学校に配置されているわけではなく、地域によってはスクールソーシャルワーカーがいない学校も存在します。
多くの自治体では、複数の学校を兼務する形で配置されているのが現状です。
スクールソーシャルワーカーの平均年収
スクールソーシャルワーカーの年収は、その雇用形態によって大きく異なります。
日本では正規職員として働く社会福祉士有資格者の平均年収が約464万円と比較的高い水準ですが、契約社員やパートタイム職員の場合、年収は200万円台から300万円台に留まる傾向があります。
しかし、文部科学省が教育現場におけるスクールソーシャルワーカーの配置拡大方針を掲げているため、今後は正規雇用が増加する可能性もあります。
この仕事は、児童や生徒の成長を支援するという大きなやりがいを感じられる点が魅力です。
スクールソーシャルワーカーの将来性
スクールソーシャルワーカーは、現代社会における子どもの問題が多様化・複雑化している背景から、その需要は今後も高まると予想されます。不登校やいじめ、虐待といった問題への対応が喫緊の課題とされているため、専門的な知識とスキルを持つスクールソーシャルワーカーの存在は不可欠です。実際に、配置数は年々増加傾向にあります。年収については、雇用形態や地域によって異なりますが、経験を積むことで専門職としての評価が高まり、安定した収入を得ることも期待できるでしょう。
まとめ~スクールソーシャルワーカーとは?~
スクールソーシャルワーカーは、2008年に文部科学省が導入を進めた専門職であり、全国の公立小・中学校、高校、特別支援学校などで、児童・生徒が抱えるいじめや不登校、暴力行為といった問題の解決を目指します。彼らは、教員だけでは対応が難しい問題に対して、社会福祉の専門知識と技術を活かして、子どもたちが置かれている環境に働きかけ、関係機関と連携しながら支援を行います。
スクールソーシャルワーカーになるために必須の資格はありませんが、多くの職場では社会福祉士や精神保健福祉士、臨床心理士、公認心理師などの資格が求められます。特に、現在活躍しているスクールソーシャルワーカーの半数以上が社会福祉士の資格を保有しているため、この職を目指す方には社会福祉士の資格取得が最も一般的なルートです。
社会福祉士は、社会福祉制度の専門家として、福祉・医療の相談や支援に必要な専門知識と技術を証明する国家資格です。この資格を持つことで、学校現場だけでなく、介護施設での生活相談員や医療機関での医療ソーシャルワーカーなど、多様な現場でソーシャルワーカーとして活躍できます。 神戸医療福祉専門学校中央校の社会福祉士科では、夜間1年で社会福祉士を目指すことが可能です。また、スクールソーシャルワーカーが目指せるもう一つの福祉系国家資格である精神保健福祉士科も併設されているため、両者の違いに興味がある方は、ぜひ学校のパンフレットやオープンキャンパスで詳細を確認してみてはいかがでしょうか。
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「利用者さんの役に立てるよう学び続けていきたい。」(2013年度卒業)
「患者さんの暮らし全般を支えることができる。」(2011年度卒業)
「自分自身の成長を実感できる仕事。」(2010年度卒業)
「国家資格の取得を通して仕事の幅を広げる。」(2009年度卒業)
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