療育(発達支援)とは?目的や効果、受けられる施設やタイミングの目安を解説

療育(発達支援)とは?目的や効果、受けられる施設やタイミングの目安を解説

発達障害という言葉が広く知られるようになった近年、お子さんの発達に敏感になっている方も多いでしょう。

そこで今回は、発達障害とセットで紹介されることが多い「療育」について、その目的や効果、受けられる施設や開始するタイミングの目安などを解説します。

また、記事の後半では療育の現場で活躍している職業も紹介しますので、「そもそも療育って何?」「子どもに療育を受けさせるか迷っている」という方はもちろん、「将来は発達支援に関わる職業に就きたい」と考えている方もぜひ参考にしてください。

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この記事の執筆者神戸医療福祉専門学校 言語聴覚士科

神戸医療福祉専門学校 三田校 言語聴覚士科は、関西初の4年制。
基礎から段階的に学べるカリキュラムと豊富な実習により、確実な力が身につきます。また、各専門分野に通じる専任教員のサポートにより、小児領域から成人領域まで、自分の目指す分野で活躍できる言語聴覚士像が目指せます。

療育とは

厚生労働省の「児童発達支援ガイドライン」における療育の定義は以下のとおりです。

児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。

内容を噛み砕いて説明すると、療育(発達支援)とは、身体障害や精神障害、発達障害や知的障害がある子ども、またはその疑いがある子どもが自分らしく、自立した生活が送れるよう支援することです。

療育=発達障害の子のサポートというイメージがありますが、発達に課題がある子だけでなく、さまざまな障害を抱える子、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる子も、療育の支援の対象となります。

療育と発達支援の違い

療育と発達支援はよく同義として扱われますが、厳密には定義に少し違いがあります。

療育は、治療と教育を掛け合わせた言葉で、主に障がい児本人の機能向上を目指す取り組みを指します。
それに対して発達支援は障がい児本人だけでなく、その家族や保育所などの関係機関も支援の対象に含めるというより広義な意味でのサポートを指します。

療育と保育の違い

療育と同様に、子どもたちの発達や成長を支援する取り組みとしては保育が挙げられます。
保育と療育の違いは、対象となる子どもと指導の目的です。

療育は、障がい児やその疑いがある子どもたちを対象に、身体機能や運動機能、社会性の向上を目的とした支援を行います。
それに対して保育は、幼児期から就学前の子どもたちを対象に、日常生活の補助や生活習慣を身につけるサポートを行うという違いがあります。

>>幼稚園の先生(幼稚園教諭)ってどんな仕事?保育士との違いや資格の取得方法など

療育の対象

療育は、もともと身体障害を抱える子どもへのアプローチを指す言葉として使われてきました。

しかし現在では、身体障害だけでなく知的障害や精神障害、発達障害がある子どもやその疑いがある子どもを対象に、個々の発達を促す取り組みが行われています。

療育の目的や効果

療育の目的は、障がい児またはその可能性のある子どもが、将来的に自立し、社会参加できるよう支援することです。

具体的には、一人ひとりの発達の状態や障害特性に応じて、今の困りごとの解決や、身体機能や運動能力、社会性の向上を目指します。

例えば、食事や着脱、排泄などの日常生活で必要な動作がなるべく自分でできるよう支援するほか、言葉でのコミュニケーションが難しい子には、発音の仕方や他のコミュニケーション方法を考案するなど、その子が身につけづらい領域に合わせた支援をすることで少しずつできることを増やしていきます。

療育が受けられる施設

療育が受けられる施設
療育が受けられる施設としては、自宅から通って療育を受ける通所支援と、自宅での生活が困難な子どもが利用する入所支援の2つがあります。

通所支援

通所支援としては、通称療育センターとも呼ばれる児童発達事業所児童発達支援センターが一般的です。小学校入学前の障がい児のための施設で、保育園や幼稚園のように生活の場を提供しながら、一人ひとりの特性に合わせた訓練を行います。

小学生から高校生の療育は、放課後などデイサービスで行われ、放課後や土日、夏休みなどの長期休暇を利用して通うことになります。

入所支援

入所支援としては、主に福祉型障害児入所施設医療型障害児入所施設があります。

どちらも障害がある18歳未満の子どもを対象とする施設で、家庭での養育が困難な子どもの保護や食事・入浴、排泄の介助、日常生活の指導や技能訓練を行います。

医療型障害児入所施設では上記の機能にくわえて、治療や看護などの医療が提供されます。

療育の方法

療育では、子どもの特性に合わせてさまざまな支援が行われますが、その方法としては主に子どもと支援員が1対1で行う個別療育と、子どもが複数名集まって行われる集団療育があります。

個別療育

子どもと支援員1対1で行われる支援です。
集団療育が難しい場合や、支援の内容的に個別指導が適していると判断された場合に選択されます。

障害特性に合わせて、問題行動が起こる前後の環境を分析して改善へと導く応用行動分析学(ABA)や自閉症の人を支援するTEACCH、紙カードを使ってコミュニケーションを支援するPECSなどさまざまなプログラムや治療法が用いられます。

集団療育

支援員1人に対して5〜6人前後の子どもが集まって行われる支援です。
集団行動をとるため、社会生活で抱いている困りごとにアプローチしやすい、言葉の選び方や行動、感情のコントロールなどを同年代の子どもから学びやすいというメリットがあります。

プログラム内容は施設によってさまざまですが、鬼ごっこなどのゲームやスポーツ、ものづくりなどがメインです。小学校高学年以上になると、グループディスカッションやロールプレイングが行われることもあります。

療育を開始するタイミング

療育を開始するタイミング
療育の適切な開始時期は子どもの発達によって異なりますが、可能な限り早期が好ましいといわれています。

施設自体はおおむね3歳前後から利用可能なものがほとんどです。きっかけとしては、日常生活で普段の行動、言動が気になったタイミングや、市町村で実施が義務付けられている1歳6ヵ月健診3歳児健診で発達の遅れや障害の可能性を指摘されたときなどが挙げられます。

ただし、1〜2歳の発達は個人差が大きいため、療育の必要性を判断するのは難しいです。療育はあくまでも子ども自身が抱える生きづらさを解消するためのものですから、本人が楽しく社会生活を送れているようなら、あまり焦らず少し様子を見守ってもよいかもしれません。

療育を受ける流れ

療育を受ける必要があるか迷ったら、まずは子育て・発達支援室や療育センター、児童相談所などで相談するか医療機関を受診し、検査機関を紹介してもらいましょう。

検査機関では、新版K式発達検査乳幼児精神発達診断法など、年齢に応じた検査が受けられます。1度の診察で診断が難しい場合は、定期的な通院が必要となることも多いです。

療育施設は、行政が運営している公的なものから民間の施設までさまざまです。療育が必要と判断されたら、年齢や特性、サービス内容や通いやすさなどを考慮したうえで、自身とお子さんに合った療育施設を選定しましょう。市町村の役所の障害福祉課などでも施設を紹介してもらえます。

療育などの障害福祉サービスを受けるために必要な受給者証は、地域によって交付方法が違います。診断書などの必要書類を事前に確認しておくと安心です。審査の結果、サービスの利用が妥当だと判断されると受給者証が支給されます。

障害児支援利用計画案を提出し、利用予定の施設に通所受給者証を提示したら、利用契約を締結。受給者証と契約書に定められた範囲のサービスが利用可能にあります。

療育に関わるリハビリの職業を紹介

療育に関わるリハビリの職業を紹介
療育施設のサービス内容は、対象とする年齢や障害に応じてさまざまです。
療育施設で児童発達支援に関わる主なリハビリテーションの専門家としては、以下の3つが挙げられます。

  • 言語聴覚士(ST)
  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)

言語聴覚士(ST)

言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)とは、「話す」「聞く」などのコミュニケーションや、食べ物や飲み物を飲み込む(嚥下)の能力に関するリハビリテーションを専門とする職業です。

療育の現場では、ことばの発達の遅れや聴覚障害、コミュニケーションに困難を抱える子どもたちに対して、主に言語聴覚療法(ST)を用いた訓練を実践します。

>>言語聴覚療法とは?|STの仕事

理学療法士(PT)

理学療法士(Physical Therapist:PT)とは、「立つ」「起きる」「歩く」など、基本的な身体機能や運動機能に関するリハビリテーションを専門とする職業です。

発達障害がある子どもは生まれつき筋力が弱かったり、運動発達に遅れがあったり、身体の動きをコントロールする協調運動が苦手だったりすることは珍しくありません。

理学療法士はこういった身体障害や発達障害を抱える子どもに対して、身体を使った遊びなどを通じて、運動発達や筋肉面からアプローチします。

>>リハビリテーション(理学療法)とは?理学療法士の役割とは

作業療法士(OT)

作業療法士(Occupational Therapist:OT)とは、食事や入浴、着替えなど日常生活に必要な動作の習得をめざす「からだ」のリハビリテーションと、精神的な健康を取り戻す「こころ」のリハビリテーションを専門とする職業です。

発達障害領域では、子どもたちが自立した生活を送れるよう、日常生活における動作のサポートを行うほか、認知・学習面のサポートや社会に適応できるようコミュニケーション力を育むサポートを行います。

また、発達障害のある子どものなかには、「手をつなぐのが苦痛」「落ち着きがなくその場でぐるぐる回る」など、刺激に対して過度に敏感であったり、逆に鈍感であったりする子もいます。
こういった刺激に対して適切な反応ができるよう、感触遊びなどを通して感覚の調整をサポートするのも作業療法士が行うリハビリテーションの1つです。

>>子どもたちの発達を楽しく支援!遊びを取り入れたオーダーメイドの作業療法とは?

まとめ

療育とは、治療と教育をかけ合わせた言葉で、身体障害や精神障害、発達障害や知的障害がある子どもが自分らしく、自立した生活が送れるよう支援することです。

その子の年齢や障害の特性、困りごとに合わせて、日常生活を送るのに必要な機能獲得や社会性の向上をめざす訓練を行います。

療育の現場で活躍するリハビリテーションの専門職としては、言語聴覚士(ST)
理学療法士(PT)作業療法士(OT)などが挙げられます。

これらはすべて、療育や発達支援の分野で活躍できる国家資格です。一定の受験を満たし、それぞれの国家試験に合格することで取得できます。

神戸医療福祉専門学校 三田校は、これらのリハビリ系職種が目指せる専門学校です。
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「担当したお子さんが少しずつ上手く話せるようになり、その場面をご家族とも一緒に共有できてとてもやりがいを感じた」(2018年度卒業)

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