「人の心の助ける仕事がしたい。」
そう考えている人にとって、将来の選択肢の一つとなるのが精神科ソーシャルワーカーです。
臨床心理士(心理カウンセラー)とちがって、あまり聞きなじみがないかもしれませんが、精神に病気や障がいを抱えた人たちの日常生活や社会復帰を病院や福祉施設で支援しています。
そこで今回は、そんな精神疾患を抱える方々を必要な医療や福祉サービス、社会とつなげる精神科ソーシャルワーカーとは?について解説します。
具体的な仕事内容や活躍している場所、目指し方についても紹介しますので、「こころを救う職業に就きたい」「話や悩みを聞いて人を助ける仕事がしたい」と考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
精神科ソーシャルワーカーとは
精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)とは、精神障がい者がその人に適した日常生活を送れるよう支援する専門職です。
総合病院の精神科や精神科クリニックなど精神科医療機関を中心に活躍しており、1997年からは精神保健福祉士法の施行により、その国家資格として精神保健福祉士が新設されました。
令和5年11月時点でその登録者数は10万3,891人となっており、年間3000人~4000人ほどのペースで増え続けています。
(引用:社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の都道府県別登録者数 )
精神科ソーシャルワーカーの仕事内容
精神科ソーシャルワーカーの主な仕事内容は、精神障がいや心の病気を抱えている人の日常生活や社会復帰を支援することです。
本人やその家族の相談にのって助言や指導を行なったり、利用可能な福祉サービスの紹介やその手続きをサポートしたりします。
また、一般企業への就職に必要なスキルを身に付けるための就労移行支援や、一般企業での就職が困難な人へ働く場を提供する就労継続支援などの就労支援も、精神科ソーシャルワーカーの仕事の一つです。
そもそもソーシャルワーカーとは
精神科ソーシャルワーカーは、ソーシャルワーカーの一つです。
ソーシャルワーカーとは、広義ではさまざまな福祉現場で支援を行う人の総称として使われる言葉、具体的には小学校や中学校、高校などの教育機関で活躍するスクールソーシャルワーカー、病院で活躍する医療ソーシャルワーカーなど、働く場所に応じてさまざまな名称で呼ばれています。
また、近年では社会福祉士・精神保健福祉士などの国家資格取得者の総称として使われることも多くなっています。
>>ソーシャルワーカーとは|その役割や資格、年収などについて解説
>>スクールソーシャルワーカー(SSW)とは?仕事内容や目指せる資格を紹介
>>医療ソーシャルワーカーとは?仕事内容や目指せる資格を紹介
ケースワーカーとの違い
ソーシャルワーカーと似ている言葉として、よくケースワーカーも挙げられます。
どちらも日常生活で困りごとを抱える人の相談援助職を指す言葉であり、両者に厳密な定義はありません。
しかし、ケースワーカーは、ソーシャルワーカーのなかでも福祉事務所で働く社会福祉主事や、児童相談所で働く児童福祉司を指す場合に使われることが多いようです。
>>ケースワーカーとは?ソーシャルワーカーとの違いやなるために必要な資格を解説
精神科ソーシャルワーカーが活躍している場所
福祉や介護、医療などあらゆる現場で、問題や悩みを抱えている人の相談援助を行う精神科ソーシャルワーカー。
その国家資格である精神保健福祉士の資格取得者の主な勤務先は、以下のとおりです。
参照:令和2年度精神保健福祉士就労状況調査-公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
※その他内訳-就業支援関係1.4%、学校教育関係1.1%、生活保護関係0.9%、生活困窮者自立支援関係0.6%、司法関係0.5%、その他1.8%、無回答0.7%
こうしてみると、約8割の精神保健福祉士が医療関係と福祉関係の施設に勤務していることがわかります。
そこでここからは、精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)の主な勤務先である以下の施設について、それぞれの特徴や仕事内容について紹介していきます。
- 医療関係
- 障がい者福祉関係
- 高齢者福祉関係
- 行政機関
医療関係
医療機関では主に、総合病院の精神科や精神科病院、精神科の診療所などで活躍しています。
精神科には統合失調症やうつ病、認知症やメンタルヘルスの課題を抱えた患者が多く来院します。
こういった患者さんとその家族の相談にのり、受診や入院、退院後の生活をサポートするのが医療機関で働く精神保健福祉士の仕事です。
障がい者福祉関係
精神障がい者福祉関係は、精神科ソーシャルワーカーの勤務先のなかでも最も大きな割合を占めている分野です。
具体的には、障がい者の方が地域での生活・福祉に関する困りごとを相談できる相談支援事業所や、地域の障がい者支援の中心である基幹相談支援センター、障がい者の方が必要な支援を受けながら共同生活を送るグループホーム、障がい者の方が自立した生活を営むために必要な訓練、助言を行う自立訓練(生活訓練)事業所などが挙げられます。
地域生活に関する相談支援の場では主に、電話や対面、訪問による相談援助業務や、日常生活にかかわる各種サービスや情報を提供。
生活訓練をする場では、家事など基本動作の訓練や就労前のトレーニング、作業を通した社会参加へに向けての支援などを行います。
高齢者福祉関係
高齢者福祉関係の分野でも精神科ソーシャルワーカーは活躍しています。
要介護度の高い高齢者が介護を受けながら日常生活を送る特別養護老人ホームや、リハビリが必要な要介護の高齢者が入居する介護老人保健施設などの介護施設で、認知症の高齢者のケアや相談業務などを行います。
行政機関
保健所や児童相談所、福祉事務所や都道府県庁の障害福祉担当課などの行政分野も、精神科ソーシャルワーカーが活躍している場所です。
それぞれの業務内容は所属機関によって異なりますが、地域の方への相談援助業務や講習会、啓蒙活動の企画運営など、より地域に密着した業務を行っているのが特徴です。
また、精神保健福祉法によって、各都道府県に設置が定められている精神保健福祉センターでは、
心の病気に関する相談支援や情報提供を行なっています。
精神科ソーシャルワーカーになる方法
精神科ソーシャルワーカーとして働くには、精神保健福祉士の資格が必要です。
精神保健福祉士の資格を取得するには、一定の受験資格を満たし、1年に1回実施される精神保健福祉士国家試験に合格する必要があります。
精神保健福祉士の受験資格を取得するためのルートは、主に以下の3通りにわかれます。
- 福祉系の学校で指定科目を履修するルート
- 福祉系の学校で基礎科目を履修するルート
- その他の学校を卒業した人のルート
高校卒業後から精神保健福祉士を目指す場合は、4年制大学に進学して指定科目を履修するのが最短ルート。
すでに社会人の方は、大卒であれば一般養成施設に1年以上通うことで精神保健福祉士国家試験の受験資格が得られます。
専門学校や短大を卒業した人は、養成施設への通学にくわえ、修業年数に応じた相談援助の実務経験が必要です。
ソーシャルワーカーを目指すなら:社会福祉士の資格取得もおすすめ
ソーシャルワーカーを目指したいなら、精神保健福祉士だけでなく社会福祉士の資格取得もおすすめです。
社会福祉士とは、社会福祉や医療に関する相談援助に必要な専門知識とスキルがあることを証明する資格です。
精神科ソーシャルワーカーに限らず、医療の現場で活躍する医療ソーシャルワーカー、教育現場で活躍するスクールソーシャルワーカー、福祉・介護などの現場で活躍する相談員など、ソーシャルワーカーとして幅広く活躍できます。
社会福祉士の資格を取得する流れは、精神保健福祉士とほぼ同じです。
- 福祉系の学校で指定科目を履修するルート
- 福祉系の学校で基礎科目を履修するルート
- その他の学校を卒業した人のルート
上記いずれかの方法で受験資格を満たした後、1年に1回実施される社会福祉士国家試験に合格する必要があります。
どちらも福祉の専門家資格であり、資格取得にかかる期間にも違いはないため、将来自分がどのように活躍したいか、どんな人の力になりたいかが方向性を決める一つのポイントです。
精神疾患やこころの病気を抱えている人の力になりたいなら、精神科ソーシャルワーカーに直結する精神保健福祉士を。
そして「まだ進むべき道は決まっていないけど、相談援助の仕事に就きたい」「子どもから高齢者まで幅広く困っている人たちを助けたい」という場合は、社会福祉士の資格取得を検討するとよいでしょう。
>>社会福祉士になるには|資格取得までのステップ、合格率や難易度について
まとめ
日常生活で困難や悩み、問題を抱えている人の支援や援助を行うソーシャルワーカー。
そのなかでも精神科ソーシャルワーカー(PSW:Psychiatric Social Worker)は、精神障がい者や心の病気を抱えている人がその人に適した日常生活や社会生活を送れるよう支援する職業です。
精神科ソーシャルワーカーを目指すには、精神保健福祉士の資格が必要です。
また、精神保健福祉士と同様に社会福祉職の国家資格である社会福祉士も、福祉や介護、医療、教育などの現場で幅広くソーシャルワーカーとして活躍できます。
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