皆さんは「鍼(はり)治療」や「灸(きゅう)治療」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これらは東洋医学に由来する治療法で、身体に刺激を与えることで様々な症状の治療と体質の改善などをすることができます。この治療法を扱っているのは鍼灸師と呼ばれる医療職で、「はり師」「きゅう師」の資格を持つ人が鍼灸師として働くことができます。ここでは、はり師・きゅう師の資格についてお話ししていきます。
目次
「はり師」「きゅう師」は鍼灸師の資格
はり師・きゅう師の資格は鍼灸師になるために取得が必要な資格であり、これらの資格を持った鍼灸師が鍼治療や灸治療を施すことができます。それぞれが業務独占資格の形を取っていて、はり師であればはり業、きゅう師であればきゅう業を行うことができるということになります。
鍼(はり)とは
鍼治療とは、古代中国において「鍼術」として発祥した治療技術です。極細の針を身体に刺し、微小の刺激を与えることによって痛みの緩和や血行の改善などの効果を得るという治療法です。
数千年という長い歴史があるものの、近年まで、なぜ効果があるのかという医学的根拠は分かっていませんでした。
しかし最近になって鍼治療に関する様々な研究が進められ、効果の根拠が徐々に分かってきています。
鍼による刺激で、神経系や内分泌系、免疫系などにあらゆる作用が働き、結果として血行の促進や免疫力の向上、内臓機能の調整、鎮痛作用などの効果が見られるようです。効果があると考えられている疾患としては、頭痛や片麻痺など神経系の疾患、関節症や関節リウマチなど運動器系の疾患、高血圧など循環器系の疾患、気管支喘息など呼吸器系の疾患、胃炎や便秘など消化器系の疾患、神経因性膀胱やEDなど泌尿・生殖器系の疾患、生理痛や不妊など婦人科系の疾患、めまいや耳鳴りなど耳鼻咽喉科系の疾患などが挙げられます。
灸(きゅう)とは
灸治療とは、鍼治療と同じく古代中国で発祥したもので、中国北部の地方で興ったと言われています。一般的に「もぐさ」と呼ばれるものを皮膚の上に直接または間接物を噛ませて置き、それを燃やすことによって熱刺激を加えて免疫力の向上や代謝の改善などの効果を得るという治療法です。
「もぐさ」とはヨモギの葉の絨毛を乾燥させて精製したものです。原料のヨモギには健胃作用、利尿作用、解熱作用、止血作用などのある様々な薬効成分が含まれており、その昔から日本人は様々な用途に使用してきました。
お灸の効果は複雑な構造で作用するものとされ、いまだそのメカニズムは解明されていない部分が多いです。しかしながら免疫機能や代謝機能などに効果があることは知られていて、女性の方であれば冷え性や生理痛、不妊症などといった婦人科系の疾患にも効果が望めます。高齢者の方でも、健康と長生きのための予防医学として灸治療を受ける方が多くいます。
薬を用いた治療と比べると副作用が少なく、安心して治療を受けられることも魅力のようです。
鍼灸師の養成学校に通って資格を取る
鍼灸師に必要なはり師・きゅう師の資格試験の受験資格には、「養成学校を卒業していること」という条件が含まれています。つまり、どこかしらの養成学校に通わないことには鍼灸師になることができないのです。
養成学校では、鍼治療や灸治療に関しての知識とスキルを身につけることができます。これは資格取得後、実際に鍼灸師として業務にあたる際に非常に活きてきます。
もちろん就職後に働きながら身につけていく知識やスキルもありますが、いかに即戦力として活躍できるかということがその後のステップアップにも関わってくるため、養成学校での学習には積極的に取り組みましょう。
まとめ
「はり師」「きゅう師」は鍼灸師になるために必要な資格で、現在どちらも業務独占資格という形になっています。
鍼と灸にはそれぞれ独自のメカニズムとそれによる効果があり、身体への悪影響が少なく体質から改善をすることができます。
養成学校に通って学ぶことで資格試験の受験資格が得られ、鍼灸治療の知識とスキルも身につくため、まずは養成学校に通うことから始めましょう。
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監修・運営者 | <神戸医療福祉専門学校 中央校> 鍼灸・介護・精神 |
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