「鍼を刺す」という言葉や「お灸を据える」なんて表現もあることから、何となく、痛そう、熱そう…というイメージがある鍼灸。
また、古くから伝承されている民間療法であることから、中には「本当に効果があるの?」と疑っているかもしれません。
しかし実は、鍼灸の施術は痛くありません。
そして、その病気に対する効果や有用性はWHO(世界保健機関)からも認められているほど、科学的根拠のある治療法なんです。
そこでこの記事ではそんな風に、名前は聞いたことあるけど実際にはよく知らない、という方のために、「鍼灸とは」について分かりやすく解説していきます。
目次
鍼灸とは
鍼灸とは、東洋医学の治療法の一つです。
東洋医学とはその名の通り、東アジア(中国)で発祥した伝統医学で、日本で用いられる治療法としては鍼灸のほかにも、あん摩や漢方などがあります。
現代医学の主流である西洋医学では、身体の悪い部分に投薬や手術などで直接アプローチする対症療法が中心です。
それに対して東洋医学には「患部だけでなく全身を診る」「身体の不調を根本的に治す」「病気を未然に防ぐ」という考え方に基づいて治療を行うという特徴があります。
ツボを刺激する治療法
それでは、東洋医学の一つである鍼灸とは、一体どのような治療法なのでしょうか?
まず東洋医学では、身体をひとつの小宇宙としてとらえ、そのバランスが崩れたときに「病」が発症するという考え方があります。
そしてそのバランスを保つのに重要だと考えられているのが、全身を巡る気(エネルギー)と血(体液)の循環です。
この気血の通り道は経絡(けいらく)と呼ばれ、何らかの作用でこの経絡の流れが滞ってしまうことで、病に至ると考えられています。
その経絡が交わるポイントである経穴(ツボ)を刺激するのが鍼灸の治療法です。
金属の細い鍼を皮膚に刺したり、お灸で熱を与えたりしてツボを刺激し、気血の流れをスムーズにして身体のバランスを整えます。
鍼灸の施術とは
東洋医学の一つである鍼灸には、約2,000年以上という長い歴史があります。
日本では奈良時代に伝えられたとされており、江戸時代になると庶民の間でもすでに広まっていたようです。
そんな深い歴史を持つ鍼灸治療では、主に鍼(はり)と灸(きゅう)の施術が行われます。
鍼(はり)
鍼(はり)治療とは、ステンレス製あるいは銀製などの金属の細い鍼を皮膚に刺してツボを刺激する鍼灸施術です。
こう聞くと痛そうですが、実際に治療で使われる鍼の直径は0.12~0.18mm程度。
髪の毛と同じくらいの太さなので、実際に痛みを感じることはありません。
また、痛みに弱い人や小児用の治療として、刺さずに鍼を皮膚に接触させたり、押圧したりする鍼治療も存在します。
灸(きゅう)
灸(きゅう)治療とは、艾(もぐさ)を皮膚に置いて燃やし、熱でツボを刺激する鍼灸施術です。
もぐさとは、乾燥させたヨモギの裏側にある柔毛と呼ばれる白い毛を精製したもので、
灸治療では主に、このもぐさを直接皮膚の上で着火させる直接灸と、しょうがやニンニクなど、もぐさと皮膚の間に他の物を挟んで熱さを和らげる間接灸があります。
きつく叱る、懲らしめるという意味で「灸を据える」という言葉があることから、これまた何だか痛そうなイメージがありますが、実はすごく熱いお灸というのは、やけどを作って膿を出す打膿灸と、イボをとるために使う熱灼灸くらい。
あとは心地よい温かさのものや、少しチクッと感じるもの、また人によっては何も感じない程度のものであることがほとんどです。
鍼灸治療にはどんな効果がある?
ツボを刺激することで、身体のバランスを整える力があるという鍼灸治療ですが、具体的には主に、以下のような効果があると考えられています。
- 鎮痛作用
- 血行促進作用
- 免疫力の活性化
鎮痛作用
わたしたちの身体の中には、エンドルフィンやセロトニンなど、痛みをおさえる鎮痛物質があります。
近年の研究では、鍼灸でツボを刺激すると、こういったエンドルフィンなどの鎮痛物質が分泌され、痛みを緩和してくれる働きがあることが分かっています。
血行促進作用
鍼によって小さな傷がつくと、身体は傷ついた組織を修復しようとして、患部周辺の血液量を増やし、細胞に栄養や酸素を多く運ぶようになります。
このような血行促進作用も、鍼灸治療が持っている効果の一つです。
血行が改善されると、細胞分裂が盛んとなって機能回復が促進されたり、痛みや疲労の原因となる物質が老廃物として排出されやすくなったりするなど、体に嬉しい効果がたくさんあります。
免疫力の活性化
血液に含まれている白血球には、侵入してきた異物に対し、からだを守る働きがあります。
鍼灸による刺激は、こういった免疫系の細胞に働きかけて活性化を促したり、ストレスによる免疫低下を予防したりする効果があるといわれています。
具体的にはこんな症状に効果がある
鍼灸治療といえば、肩こりや腰痛、ひざの痛みを抱える患者さんが多いイメージがありますね。
しかし、実は鍼灸治療はこういった運動器系の症状だけでなく、頭痛や風邪、胃腸や耳鼻科の病気、自律神経失調症などの精神的疾患、生理痛などの婦人科系疾患、そのほか冷え性や下痢・便秘などの体質改善などにも役立つものです。
さらに最近では、美容法として愛用するハリウッドスターや、スポーツ障害の予防・改善に役立てるプロのアスリートなども増えてきており、その活躍の幅はますます広がりつつあります。
まとめ
高齢化が進み、生活習慣病の患者が増加する近年では、東洋医学の「未病治」(病気になる前に養生して、病気を予防する)という考え方が注目されています。
鍼灸治療は、そんな2,000年以上の長い歴史を持つ東洋医学の中でも中核を成す治療法です。
鍼や灸でツボを刺激することで、鎮痛作用や血行促進作用、免疫系の活性化作用などをもたらします。
肩こりや腰痛の代替医療というイメージが強いかもしれませんが、実際にはそのほかにも、呼吸器系や消化器系、婦人科系などさまざまな疾患に有効であることが、NIH(米国 国立衛生研究所)やWHO(世界保健機関)などによって認められており、その活躍の幅はいまや医療に限らず、美容やスポーツ分野にまで広がっています。
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