こころの病気である『適応障害』とは?原因や症状、治療法について解説

  • 神戸医療福祉専門学校
    作業療法士科

  • 神戸医療福祉専門学校 三田校 作業療法士科は、兵庫県で唯一の4年制。
    じっくりと確実に、医療職としての専門性が身につけられます。また、作業療法士の国家試験とは別に、福祉住環境コーディネーター検定試験2級の資格獲得の機会もあります。

長い人生、誰だって一度は「明日仕事(学校)に行きたくないな」と思う日はあるでしょう。

しかし、その気持ちが強かったり、長く続いたりして、「不安でめまいがする」「食べ物が美味しく感じられない」などの症状があらわれている場合、もしかしたら適応障害というこころの病気かもしれません。

そこでこの記事では、適応障害の症状やうつ病との違い、原因や治療法などについて解説していきます。

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  • 神戸医療福祉専門学校 三田校 作業療法士科は、兵庫県で唯一の4年制。
    じっくりと確実に、医療職としての専門性が身につけられます。また、作業療法士の国家試験とは別に、福祉住環境コーディネーター検定試験2級の資格獲得の機会もあります。

適応障害とは

適応障害とは、心や体に不調が起きる精神疾患の一つです。

主に、学校や会社、家庭などの身の回りの環境にうまく適応することができないというストレスが原因で発症します。

不安感やいらだち、集中力の低下など、社会生活に支障をきたすようなさまざまな心身の症状があらわれるのが特徴です。

適応障害の症状

適応障害の症状は人によってさまざまですが、主にその症状は、精神症状、身体症状、問題行動の3つに分けられます。

精神症状では主に、不安や抑うつ、焦燥感などの情緒的な症状が、さらに身体症状としては主に、不眠や食欲不振、全身倦怠感、疲労感、頭痛、吐き気、摂食障害など本人が自覚できる症状があげられます。

また、問題行動とは、ストレスが心に及ぼす影響で本人の行動に変化が現れることです。
人によりますが、暴力的になったり、暴飲暴食がいきすぎたりします。

さらに適応障害は、集中力や決断力の低下、思考の遅延などの精神運動抑制も主な症状であることから、日常生活や社会生活、職業、学業面においても大きな支障をきたします。

うつ病との違い

うつ病との違い
抑うつや不安などが主症状となる適応障害は、よくうつ病と混同されがちです。

しかし、あくまでも両者は異なる病気で、その違いとしては主に、発症の原因ストレスから離れた時の症状、治療面などがあげられます。

まず、うつ病は基本的に慢性的なストレスにさらされたあとに発症するもので、具体的な引き金はないというケースも多いです。
それに対して適応障害は、発症の引き金となる特定のストレスが必ずあります。

また、うつ病の場合は一度うつ状態が始まると、たとえ元凶となっているストレスから離れてもすぐには症状が改善しません。
しかし、適応障害の場合はたとえうつ状態になっても、ストレスから離れれば、比較的すぐに症状が改善します。

このほか治療面においても、うつ病には抗うつ剤などの薬物療法が比較的有効であるのに対し、適応障害にはストレスの要因を解決する環境調整が有効であるなどの違いがあります。

病院は何科にかかるべき?受診の目安

もし、適応障害かもしれないと思ったら、心療内科精神科精神神経科を受診しましょう。

具体的には以下のような症状が1~2週間続く場合、一度専門家に診てもらうことをおすすめします。

  • 強い不安や緊張が高まると、動悸や汗、めまいなどが起こる
  • 学校や会社を頻繁に欠席するなど、正常な社会生活を送るのが難しい
  • 食欲があまりない
  • 食事を以前のようにおいしいと感じない
  • 不眠など睡眠状態の悪化

適応障害の原因

適応障害は、ストレスが本人の処理能力を超え、対処できなくなってしまうことによって発症する心理的な機能不全です。

主なストレス源としては、人間関係の悩みや、就職や転職、進学やクラス替えなどによる環境の変化などがあげられます。

こういった環境の変化の中には、結婚や出産、引っ越しなど喜ばしいと思われる出来事も含まれるのが特徴です。

つまり、生活上の大きな変化そのもの自体がストレスになり、適応障害の発症の引き金となりうるといえます。

適応障害の検査・診断方法

アメリカの診断基準(DSM-5)によると、適応障害は原因となるストレスの始まりから3ヶ月以内に発症し、そのストレスが終結してから6ヶ月以内に改善されるものとされています。

ただし、ストレスの原因が持続する場合はその症状も持続するものとし、診断基準において、ストレスの性質や強度は特定されていません。

このため診察では、どんな症状が発生しているか、原因と思われるストレスが出現した時期の因果関係などが注意深く聴取されます。

適応障害の治療法

適応障害の治療法
適応障害の主な治療法は、以下の3つです。

  • 環境調整
  • 認知行動療法
  • 薬物療法

それぞれの治療法について詳しく解説していきます。

環境調整

適応障害は、特定のストレスが原因で発症する病気です。
このため、原因となっているストレスが取り除ける、または離れられるものである場合、そのストレスを排除することが最も有効な治療法となります。

そのためにはまず、どんな環境に適応できなかったのか、病気の原因となっているストレスを見極めることが大切です。

原因を特定できたら「一度休職する」「周囲に助けを求める」など、なるべくストレスから離れられるよう対策します。
完全に離れられない場合でも、少しでも受けるストレスを減らせるよう環境調整を行うことで、症状の改善を目指すことが可能です。

認知行動療法

ストレスを受けやすい人は、ストレスの受け止め方にパターンがあります。
こういったストレスの受け止め方にアプローチするのが認知行動療法です。

具体的には、精神科医や心理療法士、作業療法士などによるカウンセリングを通じて自分の考え方や行動を変化させることで、ストレス耐性の向上を目指します。

特に、認知行動療法は、仕事上のストレスなど、避けることができないストレスが原因となっている場合に有効です。
環境は変えられなくとも自身が変わることで、「ストレスで受ける気持ちの負担が軽くなる」「ストレスに対して適切に対処できるようになる」などの効果が期待できます。

薬物療法

抑うつ気分や不安感、眠れないなどの症状によって、日常生活に支障をきたしている場合は、抗うつ薬などの薬物療法を行うこともあります。

しかし、薬物療法は症状に対しての対処的な治療なため、根本的な解決にはなりません。

このため適応障害の治療では、先に紹介したような環境調整や、カウンセリングなども合わせて行われるのが一般的です。

適応障害になりやすい人の特徴は?

適応障害は誰でも発症しうる病気ですが、その一方で、同じストレスを受けていても適応障害になる人とならない人がいるというのもまた事実です。

一般的に、適応障害になりやすいといわれている人には、以下のような特徴があります。

  • 真面目
  • 責任感が強い
  • 気持ちの切り替えが苦手
  • 心配性
  • 完璧主義
  • 他人の目を気にしすぎる
  • ストレス耐性が低い
  • 大きな挫折やトラブルを経験したことがあまりない

もちろん、これらの条件に当てはまるからといって、必ずしも適応障害になるというわけではありません。

しかし、こういった性格や性質を持っている方が強いストレスにさらされた場合、適応障害を発症する可能性は比較的高いといえるでしょう。

適応障害になりやすいケース

適応障害になりやすいケース
たとえ同じ環境下に置かれていても、個人の生まれ持った性格や性質によって、適応障害になりやすい人・なりにくい人というのは確かに存在します。

しかし、適応障害になる一番の問題は、ストレス環境です。

実際、ストレスがあまりにも強い環境では、個人の特性がどうであれ、誰でも適応障害を発症する可能性があります。

適応障害を発症しやすい状況としては主に、仕事や学校などの社会生活がきっかけで発症するケースと、プライベートなど日常生活がきっかけで発症するケースの2つがあります。

仕事・学校など社会生活で起こるケース

適応障害を引き起こす原因となるストレスは、人によってさまざまです。

しかし、その中でも学校や職場などの社会生活の場は、特に人間関係の悩みが発生しやすいため、よく適応障害の原因となりえます。

こういった社会生活に起因して適応障害を発症する場合、そのストレス要因としては主に以下のようなものが挙げられます。

  • クラス替えや転校、転職や異動などで、新しい環境に馴染めない
  • 仲間や先輩、同僚や上司などとの人間関係がうまくいかない
  • 責任のあるポジションでプレッシャーを感じている
  • パワハラやセクハラに苦しんでいる

プライベートなど日常生活で起こるケース

適応障害は、プライベートなど日常生活のストレスが原因となって発症することも多いです。

日常生活におけるストレスには家庭や恋愛だけでなく、病気や災害なども含まれます。

こういった日常生活に起因して適応障害を発症する場合、そのストレス要因としては主に以下のようなものが挙げられます。

  • 両親や配偶者、子など家庭内の不和
  • 義両親など親戚付き合いの悩み
  • 育児や教育の悩み
  • 引っ越しによる家庭環境の変化
  • 経済的不安がある
  • 失恋や離婚など、パートナーとの離別
  • 慢性疾患やがん治療、災害などによるストレス

まとめ

適応障害やうつ病などは、強いストレスに晒されることによって発症するため、誰でもなりうる病気です。

たとえ周囲から理解が得られにくくとも、症状が続く場合は一度専門家に診てもらうことをおすすめします。

また、こういったこころの病気を治療する仕事としては、精神科医や臨床心理士などが真っ先に思い浮かびますが、作業療法士もまた、精神疾患によって日常生活や社会生活が困難になった方を支援する職業のひとつです。

具体的には、キャッチボールなどの軽い運動や少人数でのレクリエーション、手芸や園芸などの「作業」を通じて他者と関わることへの不安や恐怖を軽減することで、社会に戻る準備を手伝います。

実際、神戸医療福祉専門学校 三田校 作業療法士科の卒業生の中には、「そんな精神障害に苦しむ方たちの力になりたい」と、精神科病院や精神保健福祉センター、精神障害者社会復帰施設などに就職した生徒もたくさんいます。

精神障害の領域で活躍する仕事に就きたいという方はぜひ、作業療法士もぜひ候補の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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