歯科技工士になるには?歯科医療を支えるオーダーメイドのものづくり
目次
歯科技工士の仕事内容
患者さんの歯に合わせて、歯科技工物を製作するのが歯科技工士の仕事です。
歯科技工物とは、入れ歯などの義歯や、差し歯・銀歯などの補綴物のことで、失われた歯の形や機能を回復することを目的として作られます。
虫歯を削った後、歯科医師や歯科衛生士は入れ歯を入れる箇所の歯形をとって、歯科技工士に必要な歯科技工物をオーダー。
歯科技工士は受け取った患者さんのデータを参考に、医師の指示書にしたがって、歯科技工物を製作します。
そのほかにも被せ物、歯の矯正装置やマウスピースなど口腔環境にまつわるさまざまなものを製作するのが歯科技工士の仕事です。
歯科技工士の1日の流れ
次に歯科技工士の仕事の1日の流れについて解説します。
歯科技工士が働く主な場所は、歯科技工所(ラボ)や歯科医院です。
勤務先によってタイムスケジュールは異なりますが、朝の出勤後はその日のスケジュールを確認し、製作作業に入ります。
午前中は歯科医師からの指示書に従い、石膏模型の製作や被せ物などの作製に集中します。
昼休憩を挟み、午後も引き続き細かな加工や調整作業を行います。
夕方には納品準備や翌日の作業の確認、清掃を行い、一日の業務が終了となります。
締め切り前などは残業が発生することもあります。
歯科技工士の魅力ややりがい
歯科技工士になりたいと思う理由は人それぞれですが、最も大きな魅力は自分の技術で患者さんの健康を取り戻せることです。
食事を美味しく食べられるようになるなど、生活の質に直結する技工物を作るため、社会貢献度の高い仕事といえます。
また、技術を磨けば磨くほど精密なものが作れるようになる職人的な喜びがあります。
さらに、自分が製作した技工物によって患者さんの笑顔を引き出せたときの達成感は格別です。
歯科医療を陰から支えるプロフェッショナルとして、常に高いモチベーションを保ちながら働き続けることができます。
歯科技工士の仕事における苦労
やりがいが大きい反面、苦労を伴う場面も存在します。
患者さんごとに異なるオーダーメイドの技工物を作るため、ミクロン単位の精密さが求められ、常に高い集中力が必要です。
また、納期を守らなければならないため、依頼が重なったり納品が迫ったりしている時期には残業が多くなる傾向があります。
さらに、医療技術や使用する素材は日々進歩しています。
そのため、働きながら新しい知識や技術を学び続ける姿勢が常に求められる点も大変な部分です。
長時間の精密作業による目や肩への負担への対策も欠かせません。
歯科技工士になる方法
歯科技工士になるには、国家資格である歯科技工士免許を取得する必要があります。
歯科技工士になるためには高校を卒業後、歯科技工士の養成所などを卒業して、歯科技工士国家試験に合格。
その後、保健所に申請して歯科技工士名簿に登録されると歯科技工士免許証が交付され、歯科技工士として働くことが可能になります。
歯科技工士の国家試験について
歯科技工士の国家試験は年に1回、例年2月に行われます。直近では、令和8年2月15日(日曜日)に実施されました。試験地は、北海道、宮城県、東京都、大阪府および福岡県で、受験手数料は30,000円です。
受験資格
歯科技工士国家試験を受験するには、受験資格を満たす必要があります。
受験資格は、文部科学大臣が指定する歯科技工士学校や、厚生労働大臣が指定する歯科技工士養成所などに入学し、所定の学科を修了することで取得可能です。
歯科技工士の養成機関としては主に、4年制の大学、2年制の短期大学、2年制・3年制の専門学校などがあげられます。
現在、受験資格を得るルートとしては2年制の専門学校がもっとも一般的となっていますが、じっくり歯科技工技術を身につけたいという人は、3年制の専門学校に進学するのもおすすめです。
また、専門学校より数は少ないですが、4年制大学や短大に進学しておくと、将来、歯科技工士以外にも選択肢の幅が広がります。
専門学校と大学の特徴と選び方
専門学校と大学では、カリキュラムの目的や習得できるスキルに違いがあります。
専門学校は実践的な技術の習得に特化しており、豊富な実習を通じて即戦力としての力を養うことが可能です。
早く現場で活躍したい人や、最新のデジタル技工などを集中的に学びたい人に向いています。
対して大学の特徴は、歯科技工学の専門知識に加えて一般教養も広く学べる点にあります。
将来的に生体工学などの研究活動に携わりたい場合や、医療機器メーカーなどへの就職を視野に入れている場合において、メーカーからの求人が多いなどのメリットをもたらします。
歯科技工士を目指すための費用
学校に通うために必要な費用(初年度納入金)は、進学先によって異なります。
4年制大学の場合はおよそ150万円程度が目安となります。
一方、専門学校の場合は、約90万円から180万円程度と学校によって幅があります。
夜間部を設けている学校もあり、社会人が働きながら資格取得を目指すことも可能です。
学費以外にも実習費や教材費がかかる場合があります。
事前にオープンキャンパスなどに参加し、詳細な費用や利用できる奨学金制度を確認しておくことが推奨されます。
試験概要
歯科技工士国家試験は、学説試験(筆記試験)と実地試験(実技試験)にて行われます。
学説試験
歯科技工士国家試験の学説試験の科目は以下の通りです。
「歯科理工学」「歯の解剖学」「顎口腔機能学」「有床義歯技工学」「歯冠修復技工学」「矯正歯科技工学」「小児歯科技工学及び関係法規」
配点は1問1点の合計80点満点で、合格基準は48点以上。
ただし、基礎科目群及び専門科目群別得点のいずれかが、その科目群の総得点の30%未満である場合は、不合格となります。
実地試験
歯科技工士国家試験では、歯科技工士として基礎的なスキルがあることを確認するために実地試験も行われます。
実地試験では、30点満点の課題が3つ出題されます。
合計90点満点中、合格基準は54点以上です。
3つの課題は、全部床義歯の人工歯配列および歯肉形成とカービングなどの必修試験や、歯冠修復物のワックス形成など、受験する年度によって内容が異なる任意問題によって構成されています。
直近の受験者数、合格率など
歯科技工士国家試験の合格率は、例年高い水準で推移しています。例えば、近年では、2024年が95.7%、2025年が93.3%、2026年が91.2%でした。以上を難易度の参考にしてください。養成学校でしっかりと知識と技術を身につければ、十分に合格が目指せる試験だと言えるでしょう。
歯科技工士に向いている人
歯科技工物は、医療に関する技術職です。
患者さん一人一人に合わせて、オーダーメイドの歯科技工物を製作する仕事のため、ものづくりが好きな人が向いています。
また、歯科技工物は人体の一部となるものですから、少しのズレも許されません。
どの工程でも繊細な作業が求められるため、ある程度の手先の器用さや、コツコツ頑張る根気強さも必要となります。
歯科技工士の給与・年収
歯科技工士の給与は勤務先によって異なりますが、厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、平均年収は約454.5万円、平均月収は約27.4万円です。これは一般的な会社員と比較して安定した水準と言えるでしょう。また、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均給与は460万円です。
歯科技工士が活躍している場所
近年では毎年約800人の歯科技工士が誕生しています。
そのうちの約7割が、歯科クリニックや病院からオーダーを受けて歯科技工物を製作・納品する歯科技工所に就職。
次に多いのは歯科クリニックで、歯科医師や歯科衛生士と協力し、チーム医療に貢献しています。
そのほか、採用数はあまり多くありませんが、大学病院や大きな病院の歯科技工室で、最先端の技術を駆使している歯科技工士もいます。
現在、歯科技工士業界は就職希望者の減少や離職率の高さから、若手不足といわれてる状況です。
このため歯科技工士の免許を取得した後、就職先が見つからないという心配はほとんどないといっていいでしょう。
また、このような職場で一定の経験を積んだ後は、歯科技工所として独立・開業することも可能です。
歯科技工士の現状と将来性
続いて、歯科技工士の現在と未来についてです。
現在、若手不足が叫ばれている歯科技工士業界は、売り手市場の傾向にあります。
今後は高齢社会の到来とともに、そのニーズはさらに高まることが予想されますから、じゅうぶん将来性のある職業だといえるでしょう。
また、歯科業界はコンピューターを使って設計・製造ができるCAD/CAMの導入など、急速にデジタル化が進んでいる最中です。
これからさらにその技術を発展へと導く次世代の担い手としても、今、若い歯科技工士の存在が求められています。
義肢装具士もおすすめ
歯科技工士のように人の体の一部分を設計・製造する仕事の1つに義肢装具士という職業があります。
義肢装具士は、ケガや病気などによって失われた身体能力を「医学」「科学」「工学」の観点から、義肢や装具を製作し、適合を行う医療職です。
パラリンピックで、体の不自由な方が活躍するための義足や義手を作成するのも技師装具士の仕事です。
技術の発達により医療器具としてだけでなく、患者さんのQOLを高めるためのさまざまな工夫が義肢装具に施されるようになってきており、国内だけでなく世界でも需要は今後増え続ることが予想されます。
義肢装具士を目指すなら神戸医療福祉専門学校の義肢装具士科がおすすめです。
国家資格である義肢装具士の合格率が96.7%(2019年度実績)と非常に高く、医学や工学の基礎知識から海外から特別講師を招き、世界基準の知識と技術を学べます。
まずは、神戸医療福祉専門学校の義肢装具士科をチェックしてみてください。
まとめ~歯科技工士になるには~
歯科技工士は、入れ歯や銀歯などの歯科技工物のほか、歯の矯正装置やマウスピースなど、口腔環境を整えるためにさまざまなものを製作する医療の技術職です。
歯科技工士業界は、これから高齢社会を迎えるにあたってさらなるニーズの増加が予想されている分野です。
それと同時に、近年急速に進んでいるデジタル化を牽引するという意味でも、若い世代の活躍が期待されています。
「細かい作業をするのが得意」「ものづくりが好き」という方はぜひ、自分の『好き』を活かして医療に貢献してみませんか?
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