歯科技工士になるには?歯科医療を支えるオーダーメイドのものづくり

歯医者さんで虫歯の治療をしてもらったことはありますか?

虫歯を削った後、その歯形に合わせて入れる銀歯などの被せ物はすべて、歯科技工士の手によって製作されています。

そこでこの記事では、入れ歯や被せもの、歯の詰めものなどの製作・加工を行う歯科技工士について紹介。

その仕事内容はもちろん、一体どうやったらなれるのかなど、医療系の専門職である歯科技工士を目指す方法について詳しく解説していきます。

歯科技工士の仕事内容

患者さんの歯に合わせて、歯科技工物を製作するのが歯科技工士の仕事です。

歯科技工物とは、入れ歯などの義歯や、差し歯・銀歯などの補綴物のことで、失われた歯の形や機能を回復することを目的として作られます。

虫歯を削った後、歯科医師や歯科衛生士は入れ歯を入れる箇所の歯形をとって、歯科技工士に必要な歯科技工物をオーダー。

歯科技工士は受け取った患者さんのデータを参考に、医師の指示書にしたがって、歯科技工物を製作します。

そのほかにも被せ物、歯の矯正装置やマウスピースなど口腔環境にまつわるさまざまなものを製作するのが歯科技工士の仕事です。

歯科技工士になる方法

歯科技工士になるには、国家資格である歯科技工士免許を取得する必要があります。

高校を卒業後、歯科技工士の養成所などを卒業して、歯科技工士国家試験に合格。

その後、保健所に申請して歯科技工士名簿に登録されると歯科技工士免許証が交付され、歯科技工士として働くことが可能になります。

歯科技工士の国家試験について

歯科技工士の国家試験は、毎年1回、2月に行われます。

2014年度までは各都道府県で行われていましたが、平成27年度からは全国統一での実施へと変更されました。

試験地は、北海道、宮城県、東京都、大阪府および福岡県で、受験手数料は30,000円となっています。

受験資格

歯科技工士国家試験を受験するには、受験資格を満たす必要があります。

受験資格は、文部科学大臣が指定する歯科技工士学校や、厚生労働大臣が指定する歯科技工士養成所などに入学し、所定の学科を修了することで取得可能です。

歯科技工士の養成機関としては主に、4年制の大学、2年制の短期大学、2年制・3年制の専門学校などがあげられます。

現在、受験資格を得るルートとしては2年制の専門学校がもっとも一般的となっていますが、じっくり歯科技工技術を身につけたいという人は、3年制の専門学校に進学するのもおすすめです。

また、専門学校より数は少ないですが、4年制大学や短大に進学しておくと、将来、歯科技工士以外にも選択肢の幅が広がります。

試験概要

歯科技工士国家試験は、学説試験(筆記試験)と実地試験(実技試験)にて行われます。

学説試験

歯科技工士国家試験の学説試験の科目は以下の通りです。

「歯科理工学」「歯の解剖学」「顎口腔機能学」「有床義歯技工学」「歯冠修復技工学」「矯正歯科技工学」「小児歯科技工学及び関係法規」

配点は1問1点の合計80点満点で、合格基準は48点以上。

ただし、基礎科目群及び専門科目群別得点のいずれかが、その科目群の総得点の30%未満である場合は、不合格となります。

実地試験

歯科技工士国家試験では、歯科技工士として基礎的なスキルがあることを確認するために実地試験も行われます。

実地試験では、30点満点の課題が3つ出題されます。
合計90点満点中、合格基準は54点以上です。

3つの課題は、全部床義歯の人工歯配列および歯肉形成とカービングなどの必修試験や、歯冠修復物のワックス形成など、受験する年度によって内容が異なる任意問題によって構成されています。

直近の受験者数、合格率など

歯科技工士国家試験の受験者数や合格者数、合格率などの直近過去5年間のデータは以下の通りです。

受験者数 合格者数 合格率
平成28年度 1,012名 987名 97.5%
平成29年度 952名 902名 94.7%
平成30年度 839名 798名 95.1%
令和元年度 882名 838名 95.0%
令和2年度 859名 823名 95.8%

直近過去5年間の合格率は、最も低い年でも94.7%と、非常に高い合格率となっています。

養成学校でしっかり知識と技術を身につければ、じゅうぶん合格が目指せる試験だといえるでしょう。

歯科技工士に向いている人

歯科技工物は、医療に関する技術職です。

患者さん一人一人に合わせて、オーダーメイドの歯科技工物を製作する仕事のため、ものづくりが好きな人が向いています。

また、歯科技工物は人体の一部となるものですから、少しのズレも許されません。

どの工程でも繊細な作業が求められるため、ある程度の手先の器用さや、コツコツ頑張る根気強さも必要となります。

>>ものづくりの医療職に興味があるなら:義足や義手を製作する義肢装具士

歯科技工士の給与・年収

歯科技工士の給料は就職先によって異なりますが、月給は平均32万600円
これに賞与などを加えた平均年収は426万円となります。

同じ医療系の国家資格である歯科医師、医師、看護師などと比べるとやや少ない給与であることは否めません。

しかし、日本人の平均年収である433万円とほぼ同水準ですので、決して低くはない金額だといえるでしょう。

歯科技工士が活躍している場所

近年では毎年約800人の歯科技工士が誕生しています。

そのうちの約7割が、歯科クリニックや病院からオーダーを受けて歯科技工物を製作・納品する歯科技工所に就職。

次に多いのは歯科クリニックで、歯科医師や歯科衛生士と協力し、チーム医療に貢献しています。

そのほか、採用数はあまり多くありませんが、大学病院や大きな病院の歯科技工室で、最先端の技術を駆使している歯科技工士もいます。

現在、歯科技工士業界は就職希望者の減少や離職率の高さから、若手不足といわれてる状況です。

このため歯科技工士の免許を取得した後、就職先が見つからないという心配はほとんどないといっていいでしょう。

また、このような職場で一定の経験を積んだ後は、歯科技工所として独立・開業することも可能です。

歯科技工士の現状と将来性

現在、若手不足が叫ばれている歯科技工士業界は、売り手市場の傾向にあります。

今後は高齢社会の到来とともに、そのニーズはさらに高まることが予想されますから、じゅうぶん将来性のある職業だといえるでしょう。

また、歯科業界はコンピューターを使って設計・製造ができるCAD/CAMの導入など、急速にデジタル化が進んでいる最中です。

これからさらにその技術を発展へと導く次世代の担い手としても、今、若い歯科技工士の存在が求められています。

義肢装具士もおすすめ

歯科技工士のように人の体の一部分を設計・製造する仕事の1つに義肢装具士という職業があります。

義肢装具士は、ケガや病気などによって失われた身体能力を「医学」「科学」「工学」の観点から、義肢や装具を製作し、適合を行う医療職です。

パラリンピックで、体の不自由な方が活躍するための義足や義手を作成するのも技師装具士の仕事です。

技術の発達により医療器具としてだけでなく、患者さんのQOLを高めるためのさまざまな工夫が義肢装具に施されるようになってきており、国内だけでなく世界でも需要は今後増え続ることが予想されます。

義肢装具士を目指すなら神戸医療福祉専門学校の義肢装具士科がおすすめです。

国家資格である義肢装具士の合格率が96.7%(2019年度実績)と非常に高く、医学や工学の基礎知識から海外から特別講師を招き、世界基準の知識と技術を学べます。

まずは、神戸医療福祉専門学校の義肢装具士科をチェックしてみてください。

まとめ

歯科技工士は、入れ歯や銀歯などの歯科技工物のほか、歯の矯正装置やマウスピースなど、口腔環境を整えるためにさまざまなものを製作する医療の技術職です。

歯科技工士業界は、これから高齢社会を迎えるにあたってさらなるニーズの増加が予想されている分野です。
それと同時に、近年急速に進んでいるデジタル化を牽引するという意味でも、若い世代の活躍が期待されています。

「細かい作業をするのが得意」「ものづくりが好き」という方はぜひ、自分の『好き』を活かして医療に貢献してみませんか?

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