では、次に痰湿を作らないようにする体質づくりをご紹介します。
痰湿をつくる原因は、水分代謝に関わっている「脾」「肺」「腎」の働きが低下するからです。
ですから、これらの内臓をパワーアップさせることが「痰湿」をつくらせない身体づくりには重要になります。
1.脾をパワーアップさせよう!
脾は東洋医学でいう「消化器系」の働き全般のことを現します。
消化器系は自律神経という神経によって支配されていますが、
ストレスを受けるとこの自律神経の働きが乱れ、消化器系の働きを低下させます。
脾の異常は「食欲」に現れやすいため、ストレスによる過食、緊張による便秘などは
これらが原因でおこる現象なのです。
ですから、精神的なリラックスはもちろんのこと、定期的なリフレッシュが大切です。
酸味のある食べものはストレスを緩和させリフレッシュさせてくれます。
甘みのある食べものは疲労を回復し、脳の栄養になります。
ですから、甘酸っぱい食べ物はストレスでダウンしている消化器にとっては何よりのご馳走なのです。
また逆に、くよくよ悩みすぎたり、小さなことが気になってしょうがないという人は
消化器系を改善することで、悩みを抱え込まなくなったり、
小さなことにとらわれなくなることがあります。
これは「心(精神)」と「身体」が一つのものと考える東洋医学では
ごくごく当たり前のことなのです。
2.肺をパワーアップさせよう!
肺は東洋医学でいう「呼吸器系」の働き全般のことを現します。
肺呼吸だけでなく皮膚呼吸も含まれますから、肺は皮膚の潤いやなめらかさを保つうえでも大変重要な内臓です。
ただし、肺は五臓の中でも一番弱いためきちんと守ることが肺のパワーを維持するポイントです。
鼻や口は外界と呼吸器をつなぐ穴ですから、
なるべく清潔で潤いのある状態に保つことが大切です。
口の中や鼻の中が乾燥している人は肺からのSOS!!
マスクで保湿する、うがいをする、鼻うがいをするなどで早めに対処しましょう。
また呼吸法を学ぶことも肺のパワーを増幅させることにつながります。
肺のパワーをアップさせる呼吸法の一つとしてヨガで行われるカパラバティという呼吸法をご紹介します。
1.まず下腹部に意識を集中させます。
2.右の鼻を右の親指で押さえて左の鼻の穴だけ通るようにしておきます。
3.口を閉じ、腹筋に力を入れて瞬間的に引き締め、強く短く鼻息を吐きます。
※鼻から「シュッ」と音が出るくらいがベスト。鼻水が出てもOK
4.すばやくお腹をゆるめ自然に入ってくる息を吸います。
吸う呼吸は腹筋を緩めることで自然に入ってきますからそれほど意識する必要はありません。
5.この吐いて・吸うパターンを1、2秒で1回行う速さで8~10回繰り返します。
6.次に左を右の中指で押さえて右の鼻の穴だけ通るようにしておきます。
7.右の鼻の時、同様に鼻から強く短く鼻息を吐き吸います。
3.腎をパワーアップさせよう!
腎は東洋医学では「泌尿器系」や「生殖器系」の働きと深い関係があります。
また「成長や発育」にも関与します。
この腎のパワーをアップさせる方法は足腰を鍛え、汗をかくことが大切です。
運動や散歩で意識的に足腰を鍛え、汗をかきましょう。
また立つときには、おへその下の丹田と呼ばれる部分を意識して、
体重をできるだけ足のスネのほうにのせ、おしりの穴をキュッとしめるようにして立つだけでもトレーニングになります。
頭脳労働が多い現代社会では、どうしても気(エネルギー)が頭ばかりにまわって、
下半身の気が少なくなりがちですので、
立っているときや歩いているときはなるべく下腹部に手をあて
ゆっくりと深く呼吸をしながら気を身体の奥までとりこむようにして下さい。
食べ物では黒い粘り気のある食べ物が腎を補うには効果的といわれています。
黒豆や黒ゴマ、わかめ、ひじき、いか、たこ、ヤマイモなどが腎を養うには最適です。
日常生活の中で少し意識するだけで変わることはたくさんあります。
無理な食事制限、無理な運動で身体を余計に壊すより、
自分の身体の声にしっかり耳をかたむけて身体が心地良いと感じることを積極的にしてあげてください。
そうすることで身体もあなたの願いを叶えてくれます。
健康で美しい身体を手に入れる一歩は「自分に優しくすること」から始まるんですよ。
以上、全4回でお伝えしました『海やプールに行く前に、ウエストの「くびれ」を取り戻せっ!』如何でしたか?
また皆さんに役立つ情報を提供していきますね★
以上、鍼灸科教員 330(ササオ)でした!