鍼灸科コラム 『鍼灸師になるには』 by齊藤先生

鍼灸師になるために必要な資格

深水さん1

鍼灸師になるためには、国家資格である「はり師」と「きゅう師」の免許を取得する必要があります。
この「はり師」「きゅう師」の免許を取得するためには、鍼灸の学校(大学や専門学校など)で、
必要な知識と技能を3年以上の期間で修得(※)し、かつ毎年1回しか行われない、国家試験に合格しなければなりません。
この辺の情報は、様々な進学情報サイトや情報誌にも載っているので、知っている人も多いかと思います。
なので、今回は、専門学校に入学してから3年間の学修をスムーズに進め、国家試験をクリアしていくために、
高校生のあなたが!これから何をすべきかについて、アドバイスしたいと思います!!
※「3年以上の期間で修得」というのは、学校は最短でも3年制課程なければならず(もちろん大学は4年間必要)、その学校を卒業するということです。

鍼灸師の国家資格を取得するために必要な勉強とは

米田さん1

○高校の「生物」は取ったほうが良い?

座学3

ここからは、3年制課程(専門学校)の流れに沿って話を進めます。
1年生では、その後の学びの基礎となる「解剖学(かいぼうがく)」と「生理学(せいりがく)」を学び始めます。
骨や筋肉、内臓、神経といったヒトの身体の構造を勉強するのが「解剖学」、
呼吸や消化などヒトの身体の正常な働きを勉強するのが「生理学」です。
難しそうに感じるかもしれませんが、
実はみなさんの年代では小・中学校の理科の授業でも、骨や筋肉、内臓とその簡単な働きについては学んでいます。
覚えていますか?
本校の1年生の中にも、生理学の授業を受けていて、「あっ!これ中学で聞いたことある!」という反応を示す学生がいます。
なので、何が何でも高校で「生物」を選択しないといけないわけではありません。
もちろん、高校の方が、小・中学校よりも詳しく(解剖学や生理学の内容に近いぐらいです・・・)学べるので、
もし選択できるのであれば「生物基礎」を取りましょう。

○読解力も必要ですが、まずは“読書体力”をつけよう!

座学1

勉強面で苦戦する1年生からよく聞かれる言葉。
それは「授業で先生が何言っているか分からない!」です。
授業では、医療の専門用語が飛び交うわけですから、何言っているか分からなくて当然!
知識として身につくまでは、分からないことは質問したらよいのですが、
続いてよく聞かれる言葉が、「何が分からないかが分からない」です。
そういう学生に私はいつも「教科書読んでみた?」と聞くのですが、
大抵の場合「読んでいません」、「ちょっとは見たけど最後まで読めなかった」という答えが返ってきます。
それぞれの専門科目には教科書や参考書があります。
高校までの教科書に比べると、難しい表現で書いてあるものもあるかもしれません。
しかし、初めて見聞きする専門用語でも、日本語で書いてあるわけですからまったく読めないことはありません。
また、先生の説明を音として聴くのと違い、文字情報ですので何度も読み返すことができます。
難しいと感じても、まずは最後まで読み切る。
そうすれば何となく分かる部分も出てくるし、
「ここの説明が分からない」と、分からない部分がはっきりしてきて、質問がしやすくなります。
新聞やニュースなどで、読解力の低下も問題視されてはいますが、
教科書でも小説でも、新聞、ネットのニューステキストでも良いので、
文章を読むトレーニングを積み、文章を読み切るという“読書体力”をつけましょう!

○暗記も大事!「なぜそうなるか?」を考える論理的思考はもっと大事!!

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2年生になると、病気やケガについての授業が始まります。
病気やケガの何を覚えないといけないかというと、名前、原因と成り立ち、症状、診断方法、治療方法などです。
これをとにかく覚える!全部暗記する!となると・・・大変です。
病気やケガというのは、ヒトの身体の構造や働きに、何らかの原因によって異常をきたした結果です。
なので、1年生で学び始めた解剖学と生理学の知識を活用して、
「どこどこがこうなってしまうと、こんな症状が現れる」という因果関係を考え、理解しながら覚えていくことが大切です。
診断方法や治療方法も同様で、異常が起こっている場所や働きを確認する方法(=診断方法)はこれ。
異常を取り除くあるいは正す方法(=治療方法)はこれといったように、関連付けながら覚えていくことが大切です。
こうした原因と結果の理屈を捉える論理的思考は、実際に患者さんを治療していく場面でも必要になってきます。
この思考の仕方、高校生の皆さんにとっては、数学の証明問題や物理や化学の様々な現象の説明などでトレーニングできるものです。
物理や化学は選択していないという方でも、日々の暮らしの中で起こる出来事に対して、
「なぜ?」と考えることでもトレーニングできますので、ぜひ実践してみてください。

○鍼灸師の国家試験に合格するための準備

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もちろん国家試験に必要な準備は1年生から始まっていますが、
3年生になると、模擬試験を受けたり、過去問を解きまくったりといよいよ対策が本格化してきます。
国家試験であれ、学校の定期試験であれ、試験に合格するために必要なのは「適切な準備」をして試験に臨むことです。
「適切な準備」の方法と言っても色々ありますが、ここでは1つだけアドバイスさせていただきます。
それは「相手(試験自体や出題者)を知る」ということです。

○出題形式に合わせた解答方法のテクニックを磨く

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はり師、きゅう師の国家試験の出題形式は、現状四肢択一式、
つまり4つの選択肢から正しいもの(誤っているもの)を1つ選ぶ形式となっています。
この四肢択一式の問題は、覚えた知識を使うだけでなく、解答方法のテクニックを駆使することでも解くことができます。
詳しい説明は省きますが、試験にはその出題形式によって解答方法のテクニックがあるので、
「試験慣れ」していく必要があります。
皆さんは、これまで受けてきた試験で、解答の仕方について考えたり、工夫したりした経験はありますか?
ただ漠然と、問題番号順に答えていくのではなく、
答を導き出すための工夫をするトレーニングを積むことで、解答する力は身についていきます。

○出題の意図、傾向をつかむ

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学校の試験であれば、それぞれの科目を担当した先生が試験を作りますよね。
ということは、その先生が授業で皆さんに伝えたかったこと(分かって欲しいと思っていたこと)は何かを把握することが試験準備の第1歩になります。
試験とはそれを確認する手段だからです。
問題の出し方は、先生によって個性が出ますので、先生の出題傾向をつかむことも必要ですね。
国家試験では、出題者のことまで理解するのは難しいですが、
鍼灸師になる上で知っておかなければならないことを確認するのが目的ですので、
過去の問題からどういうポイントが出されやすいかを把握することが大事です。
こうした「ポイントをつかむ力」、高校生の皆さんであれば、日々の授業で、「今日の授業は○○について教わった」と、
その授業のテーマが言えるようにする。
そして、「その中でキーワードになるのがこれ」と、ポイントになる言葉を3つ位言えるようにする。
これを繰り返すことでトレーニングできます。ぜひ試してください。

鍼灸師になるためのまとめ

殿本さん1

国家試験の受験は3年先とはいえ、どの学校でも各科目の試験があり、
その結果によって2年生、3年生へ進級できるかどうかが決まります。
3年先を見据えつつも、1年1年が勝負になります。
学ぶ内容は変わっても、学ぶという行為には変わりありません。
いくつかアドバイスをしてきましたが、
皆さんが小学生から高校生までの12年間の学校生活で身に付けられないほど難しいものではなかったかと思います。
ちょっと自信がないなというあなたも、残りの高校生活で、意識して行動していけば十分トレーニングできるはずです。
今回のブログが、鍼灸師を目指すみなさんにとって少しでも参考になれば幸です。