皆さんこんにちは。神戸医療福祉専門学校中央校の介護福祉士科教員の藤木です。今回は私が現場で活躍していた時に思い出に残っているエピソードを紹介したいと思います。

Aさんは70歳の男性で、病気の後遺症で右腕・右足を動かすことができず、移動やトイレ、着替えで介護の必要でした。うまく言葉も出てこないので、会話も難しい方でした。
施設で働き始めて1か月頃、初めてAさんの介護をしました。
私が就職をする前から施設で生活されている方で、とても気難しく、特に新人職員に対しては厳しい方でした。朝起きてから着替えや洗面などの介護をするのですが、手順が違うとよく怒られました。
出勤して最初の仕事がAさんの朝のお手伝いなので、当時は今日は怒られないかなと、どきどきしながら出勤していました。
そして数か月経ち、少し介護に慣れてきた頃、いつものようにAさんの介護に入った時、「うまくなったな!」とAさんに言われました。
病気のために言葉がうまく出てこない上、それまで怒られることしかなかったので、まさか褒められるとは思いませんでしたが、とても嬉しかったのを覚えています。
それからAさんについて、ご家族や先輩職員からお話を聞いていくうちに、Aさんは若い頃から仕事熱心で、たくさんの部下を育ててきた方だと知りました。もしかしたら、私に対して厳しかったのも、仕事をされていた時の経験からくるものなのかもしれないなと思いました。Aさんともっと話したり関わりたいと思うようになってからは、私自身もAさんの介護をすることにどきどきすることもなくなり、Aさんから怒られることもなくなりました。顔を合わせると言葉数は少ないですが、手を振ってこたえてくださるようになりました。
Aさんは施設で生活されながら、同窓会にも行かれました。残念ながら私は同行できなかったのですが、同行した職員からは、多くの人に慕われていた様子が分かったとのことでした。
私たち介護福祉職は、施設に入所されてからしかその方の人生に関わることができません。しかし、ご家族やご本人から聞くことでそれまでの人生について知ることができ、それを元に支援していくことができます。Aさんから馴染みの職員として話していただけるようになった時、初めて介護福祉職として受け入れてもらえた気がしました。そして、そんな関係がたくさんの利用者の方と築けることが、私にとって介護福祉職をしていて良かったと感じる瞬間です。
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