NEWS&TOPICS

【鍼灸科】鍼灸師が解説!! 身近な症状についてシリーズ⑥「誤嚥性肺炎」

鍼灸科

2020.2.7

皆さんこんにちは!神戸医療福祉専門学校鍼灸科教員の齊藤 浩吉です。

今回の鍼灸科が解説!! 身近な症状についてシリーズ第6弾は、
「誤嚥性肺炎」をご紹介します★

皆さんは「誤嚥性肺炎」という病気をご存知ですか?
高齢化社会の影響を受け、肺炎で亡くなる高齢者が増加し、2011年には日本人の
死因の第3位となりました。
高齢者の肺炎の原因の多くが「誤嚥性肺炎」で、2017年から死因分類の項目にも「誤嚥性肺炎」が追加されました。かかってからの治療ももちろん大事ですが、
かからないための予防が非常に重要なこの「誤嚥性肺炎」についてご紹介します。

○誤嚥性肺炎とは
食べ物や飲み物、唾液などを飲み込んだ際、口から食道に入るべきものが気管に入ってしまうことを「誤嚥」と言います。誤嚥したものと一緒に、細菌が気管から肺に入ることで生じる肺炎を「誤嚥性肺炎」といいます。 皆さんは、食事やお茶を飲んだ時などに、むせたことはありませんか?この「むせる」という行為は、誤嚥が起こった時に、肺から異物を出そうとして反射的に起こる反応です。
また、そもそも物を飲み込む時には気管の入口に“喉頭蓋”というふたがされます。このように、ヒトには気管や肺に異物が入らないようにする機能が備わっています。しかし、高齢であったり、脳梗塞などの病気があったりすると、こうした機能の低下をきたし、「誤嚥」を起こしやすくなります。

sick_seki_ojiisan

○誤嚥性肺炎の症状と治療
発熱、咳、痰が肺炎の典型的な症状ですが、こうした明確な症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない程度の症状がみられることも多いのが特徴です。治療は、抗箘薬の投与が基本になりますので、「いつもとちょっと様子がおかしいな」と感じられたら、病院受診を考えましょう。

○誤嚥性肺炎の予防
「誤嚥しにくくする予防」「感染しにくくする予防」の2つに分けられます。

*「誤嚥しにくくする予防」
・食事をする際の姿勢の改善
・飲食物にとろみをつける
・飲み込みの機能改善のリハビリなど「感染しにくくする予防」
・口腔ケア(口の中を清潔にして、肺炎の原因となる口の中の細菌を減らす)
・肺炎球菌ワクチンの接種 ・禁煙するなど

○誤嚥性肺炎予防と鍼灸
誤嚥性肺炎予防策の中で、「鍼灸」が効果を発揮するものを紹介します。
飲み込みの機能改善に関して、鍼を刺すことで、“嚥下反射潜時”が短くなるという研究結果がでています。つまり飲食物がのどに送られてから、飲み込みはじめるまでにかかる時間が短くなり、スムーズに食道へ移動するということです。この時
鍼を刺した場所は、「足三里(あしさんり)」というすねにあるツボと
「太渓(たいけい)」という内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボです。ここに鍼を15分間刺しただけで、最大7日間効果が持続したそうです。 唾液には、飲み込みをしやすくする作用や口の中を清浄に保つ作用、抗菌作用などがあります。唾液の分泌は自律神経によって調節されており、加齢に伴って分泌しにくくなります。「廉泉(れんせん)」という顎先とのどぼとけの間にあるツボや、「翳風(えいふう)」という耳の付け根の下の方にあるツボを軽く押し続けることで、唾液の分泌が促されます。

○まとめ
「鍼灸」と聞くと、肩こりや腰痛の治療などをイメージされるかと思いますが、
このように、本来持っている機能を高めることで、病気の予防に役立てることもできます。私は、地域のご高齢の方の飲み込む機能をチェックし、今回紹介したような予防のアドバイスをする活動を、学校の授業の中で行っております。 「最近飲み込みにくくなったな」とか「よくむせるようになったな」と感じることがあれば、鍼灸治療が改善策の1つになることを知っていただければ幸です。

IMG_3438

神戸医療福祉専門学校中央校 鍼灸科教員 齊藤 浩吉

関連記事

CAMPUS

キャンパス紹介

中央校

Kobeiryo Chuo

0120-480-294

〒650-0015 兵庫県神戸市中央区多聞通2-6-3
TEL:078-362-1294

学べる学科

公式SNS

三田校

Kobeiryo Sanda

0120-511-294

〒669-1313 兵庫県三田市福島501-85
TEL:079-563-1222

学べる学科

公式SNS