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「正しいケア」て何だろう?特別養護老人ホームでの出会いから学ぶ、社会福祉士の葛藤とやりがい

中央校/社会福祉士科

公開日:2026.6.21

更新日:2026.6.22

ルールを守ることと利用者の「想い」に寄り添うこと。現場で活きる相談援助の視点

授業をする下林先生

皆さん、こんにちは!社会福祉士科教員の下林です。

本校の社会福祉士科(一般養成施設)は、新しいキャリアを目指す大学卒の方や、さらなるステップアップを目指す福祉従事者など、多様な社会人学生が集まる温かい学校です。
福祉の現場では、「これが正解」と言い切れない複雑な局面にたくさん出会います。現役のプロである私たちが、日々抱える「社会福祉士としての葛藤」や、それを乗り越えた先にあるやりがい、そして当事者の方から学ぶ大切さについて、授業でもお伝えしています。

今回は、私がかつて特別養護老人ホームやデイサービスで、相談員や介護職員として働いていた頃に出会った、今でも忘れられないある利用者さんとのエピソードをご紹介します。
福祉の現場では、教科書通りにはいかない「正解のない問い」に直面することがたくさんあります。この記事を通じて、社会福祉士という仕事の「深さ」や「相手を理解することの大切さ」を少しでも感じていただけたら嬉しいです。

◆ デイサービスで出会った、あめを配るのが大好きな利用者さん

私が特別養護老人ホームで働いていた頃、今でも忘れられない利用者さんがいます。
その方と出会ったのは、デイサービスでした。さっぱりした性格で気前が良く、ときどき自分で持ってきたあめを、周りの人たちに配っていました。
たぶん「誰かに喜んでもらいたい」という気持ちからの行動だったのかと思います。

しかしその頃デイサービスには、糖尿病で食事に制限のある利用者さんがおられました。
ためデイサービスの職員としては、何かあってはいけないので、その方に「あめは配らないようにしてください」とお願いせざるを得ませんでした。
それでもその方は、テーブルの下などでこっそりとあめを配り続けていました。その方の気持ちはわかっていましたが、一方では食事制限のある方もいる。対応を「どうしたらいいのだろう」と考えさせられる出来事でした。

◆ 特養での思いがけない再会と、心に響いた「謝罪の言葉」

結局、解決しないまま私は特別養護老人ホーム(特養)へと異動になり、その方と会うこともなくなりました。ところがある日、あの時あめを配っていた利用者さんが特別養護老人ホームに入居してこられました。

久しぶりにお話しすると、その方は申し訳なさそうに、こうおっしゃったのです。
「デイサービスではすまんかったな。自分が病気になってみてわかったわ。目の前で自分が食べられへんもん食べてる人を見るのって、つらいもんやな。あの人にも悪いことしたなあ」

実はその方自身が糖尿病になり、食事に気をつけなければならない状態になっていました。
あのときには感じることのなかった気持ちを、今は自分の経験(当事者としての視点)として感じているのだと思いました。

◆ 「ルール」と「本人の優しさ」の狭間。支援者が抱く福祉現場の葛藤

特別養護老人ホームでその方と再び出会ってから、私はいろいろなことを考えました。
あめを配っていた行動には、「人に何かしてあげたい」という優しい気持ちがあったのだと思います。だからこそ、ただ禁止して止めるだけではなく、そのやさしさを活かせるような別の方法があったのではないか、と感じました。
人は自分がその立場になって初めて気づくこともある、ということです。

この一連の出来事は、福祉の現場における「利用者さんの思いの尊重」と「安全・健康管理(安全配慮)」の両立の難しさ、そしてその大切さを学ぶ機会となりました。
また、人は自分が当事者になることで初めて見える視点があるということを学び、支援者・相談援助のプロとして常に相手の立場に立って考える姿勢の重要性を改めて感じました。

◆答えのない問いに向き合い続けることが、社会福祉士の専門性

ルールや安全はもちろん大切です。でも、それだけでなく、その人の気持ちや背景にある「想い」に目を向けることも同じくらい大事なのだと思います。

あのときの「すまんかったな」という言葉は、今でも私の心に残っていますし、これからも残り続けると思います。
あの時の正解は何だったのか、どうすればよかったのか。これからも私は、社会福祉士として、誠実に考え続けるのではないかと思います。

【葛藤の先にある、社会福祉士の本当のやりがい】

教科書通りの「正解」がないからこそ、利用者さん一人ひとりの人生や想いに深く寄り添い、共に歩んでいく。それこそが、社会福祉士という仕事の難しさであり、何物にも代えがたい「やりがい」です。
あなたがこれまでの社会人経験、あるいは介護現場などで培ってきた「誰かの力になりたい」という想いや様々な経験は、すべて相談援助の現場で誰かを支える「強み」になります。

本校(一般養成施設)では、アットホームな雰囲気の中、お互いの経験を共有しながら、現場で役立つ対人援助技術の習得を目指しています。
「これまでの経験を活かして福祉の国家資格に挑戦したい」「まずは自分が実務経験や学歴などの入学資格を満たしているか確認してみたい」という方は、ぜひ一度オープンキャンパスや個別相談会にお越しください。

夜間やオンラインでの個別相談も承っていますので、お仕事やご家庭でお忙しい方も、ご自身のペースで気軽にお話ししてみませんか?

(※社会福祉士の仕事内容や制度についてさらに詳しく知りたい方は、厚生労働省:社会福祉士の概要 や、公益社団法人日本社会福祉士会 もあわせてご参照ください。)

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