言語聴覚士は英語で「Speech-Language-Hearing-Therapist」となり、略して「ST」と呼ばれています。
「理学療法士」「作業療法士」と並ぶリハビリテーションの国家資格で、病気や生まれつきの障害などによって、話す・聞く・食べる・飲み込むことに不自由がある人に対して、言語能力や聴覚能力などを回復させるリハビリを行う仕事です。
今回はそんな言語聴覚士となる方法について、その資格の取得方法や詳しい仕事内容などについて解説していきます。
目次
言語聴覚士とは
言語聴覚士とは、1997年に国家資格となったリハビリテーションの専門職です。
生まれつきや事故の後遺症などによる障がいで言語機能や摂食・嚥下機能に困難を抱える人たちに対して、言語聴覚療法(Speech and language Therapy」)を用いたリハビリテーションを行います。
具体的には、小さなお子さまから高齢者の方まで幅広い年代の患者さんに対して、発声、発音、聴覚、認知、嚥下(飲み込み)などの機能回復を支援します。
言語聴覚士の仕事内容
「話す」「聞く」「食べる」「飲み込む」といった分野の訓練を行うのが、言語聴覚士の仕事です。
まず言語聴覚士は、患者さんにさまざまなテストを行い、脳や耳、口やのどなど、言葉をあやつるために必要な部分のどこに問題があるのか、障がいの程度を測定。
障がいの状態が分かったら、今度はその機能を回復するためのリハビリテーションの計画を立て、実行します。
言語聴覚士が行うリハビリテーションは、主に以下の通りです。
- ・発声のリハビリテーション
- ・聞こえのリハビリテーション
- ・後天的な言語障がいへのリハビリテーション
- ・飲み込み(嚥下)のリハビリテーション
- ・ことばの遅れへのリハビリテーション
発声のリハビリテーション
まず、脳卒中による顔や舌の麻痺、喉の病気などが原因で、はっきり発音することが難しくなる構音障がい、流暢に話すことができない吃音など、話すことに障がいがある人にリハビリテーションを行うのが、言語聴覚士の仕事です。
口の開き方や舌の動かし方、呼吸法の訓練、口唇や舌の運動、文章を音読する練習などを行い、言葉を正しい音でいえるよう機能の回復を目指します。
聞こえのリハビリテーション
音や言葉が聞こえにくいなど、聴覚障害のある方にリハビリテーションを行うのも言語聴覚士の仕事です。
聴力検査や補聴器・人工内耳の適合訓練、コミュニケーション方法の指導・助言などを行い、先天性や加齢によって難聴音がある方を支援します。
後天的な言語障がいへのリハビリテーション
病気や事故で人間の言葉をつかさどる脳の部分に問題が発生すると、うまく言葉を使えなくなってしまうことがあります。
話す能力や、言葉を聞いたり、文字を読んだりする能力、言語を理解する能力、書く能力や計算する能力など、損傷を受けた部位によってその障がいは様々です。
1つだけでなく複数が併発したり、物事を覚えられないなどの症状が出る、記憶障がいや認知症などの高次脳機能障がいが起こったりすることも珍しくありません。
そういった後天的な障がいを抱えた人に対して、言葉の機能を回復するための訓練したり、残された言語機能を活用をはかったりするのが言語聴覚士の仕事の一つです。
絵のカードを見せて名前を言ってもらったり、文字を書いたりと、失われた機能を回復するためのリハビリテーションを行うほか、ジェスチャーなど患者さんにとってベストなコミュニケーション手段が身につけられるよう手助けをします。
飲み込み(嚥下)のリハビリテーション
加齢や障がい、病気などでのどや歯に問題を抱えると、食べ物や飲み物を飲みこむのが難しく、むせたりしてしまうことがあります。
言語聴覚士は言語や音声などのコミュニケーションだけでなく、こういった飲みこむ働き(嚥下)のリハビリテーションも行います。
具体的には、食事が難しい患者さんが嚥下しやすくなるように、安全に食べられる動作を考えたり、食事の介助を行う人にアドバイスしたりします。
また、食事のメニューについて管理栄養士と相談したり、医師や歯科医と協働して治療を行ったりと、ほかの医療スタッフと連携するケースも多いです。
ことばの遅れへのリハビリテーション
知的障がいや発達障害などが原因で、ことばの発達の遅れや対人関係に困難を抱えている子どもたちをサポートするのも、言語聴覚士の仕事です。
絵の描かれたカードで名前当てクイズをしたり、ジェスチャーゲームをしたりと、楽しく語彙や文法、文字などを習得し、自然とコミュニケーションに興味が持てるよう、プログラムを工夫しながらリハビリテーションを行います。
また、周囲が障がいに対する理解を深め、子どもとよりよいミュニケーションがとれるよう、ご家族への指導やアドバイスを行うのも大切な役割の一つです。
>>言語聴覚士の仕事内容
>>言語聴覚士によるリハビリについて
>>言語聴覚療法とは?
言語聴覚士になる方法
言語聴覚士になるためには、法律に定められた教育課程を経て言語聴覚士国家試験に合格し、国家資格を取得し、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。
言語聴覚士の国家試験を受けるには、必要な知識と技能の習得が義務付けられています。
受験資格
言語聴覚士国家試験の受験資格を得るためには、文部科学大臣が指定する学校、あるいは都道府県知事が指定した養成所を卒業する必要があります。
受験資格を獲得するためのルートは主に以下の2通りです。
- 高校卒業後、言語聴覚士養成課程のある大学や短大、専門学校(3年制〜4年制)を卒業
- 4年制大学を卒業後、大学・大学院の専攻科・専修学校などの言語聴覚士の養成校(2年制)を卒業
今から言語聴覚士を目指すという高校生の方は、言語聴覚士の養成課程がある大学や短大、専門学校に進学。
4年制大学の他の学部を卒業した人でも、指定の大学・大学院の専攻科で指定科目を履修するか、2年制の専門学校を卒業すれば、言語聴覚士国家試験の受験資格を得ることができます。
このように言語聴覚士の受験資格を得るには、最終学歴が高卒の場合は3年制または4年制の学校へ、そして最終学歴が大学の場合は2年制の養成校に通うのが一般的です。
しかし、このほかにもすでに言語聴覚士の養成に関わる一定基準の科目を習得している者を対象とした指定校(1年制)もあります。
また、外国で言語聴覚士に関する学業を修め、厚生労働大臣の認定が得られれば受験資格の取得が可能です。
もし言語聴覚士の養成学校を探しているなら、神戸医療福祉専門学校の言語聴覚士科がおすすめです。
神戸医療福祉専門学校の言語聴覚士科なら、4年間でじっくりと言語聴覚士に必要な知識と技術を積み上げられるだけでなく、「高度専門士」という大学卒業者と同等の学力があると認められ、大学院の入学資格が与えられます。
言語聴覚士の国家試験の合格率がなんと83%!(※2009~2019年度実績)
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言語聴覚士の国家試験の内容
言語聴覚士の国家試験は毎年2月の中旬に北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県、福岡県の会場にて行われます。
試験内容は、5つの選択肢から正しい答えを1つ選ぶ、マークシート方式の筆記試験です。
試験科目は「基礎医学」、「臨床医学」、「臨床歯科医学」、「音声・言語・聴覚医学」、「心理学」、「音声・言語学」、「社会福祉・教育」、「言語聴覚障害学総論」、「失語・高次脳機能障害学」、「言語発達障害学」、「発生発語・嚥下障害及び聴覚障害学」などの基礎科目・専門科目の計200問が、午前と午後にわたって100問ずつ出題されます。
例年の合格基準は120点以上となっています。
受験者数と合格率
言語聴覚士国家試験の受験者数、合格者数、合格率などの直近過去5年間のデータは以下の通りです。(平成29年〜令和3年)
第19回 | 第20回 | 第21回 | 第22回 | 第23回 | |
---|---|---|---|---|---|
受験者数 | 2,571名 | 2,531名 | 2,367名 | 2,486名 | 2,546名 |
合格者数 | 1,951名 | 2,008名 | 1,630名 | 1,626名 | 1,766名 |
合格率 | 75.9% | 79.3% | 68.9% | 65.4% | 69.4% |
言語聴覚士の試験は毎年2000人〜2500人前後が受験。
その合格率は65%〜80%前後を推移しており、過去5年間の平均は71.8%です。
ちなみに令和3年2月20日(土)に実施された言語聴覚士国家試験の合格率は、69,4%でした。
同じリハビリテーション職である理学療法士や作業療法士の合格率は例年80%前後ですのでそれよりやや低い印象を受けますが、これは既卒者を含めた数値。
養成校の新卒者のみの合格率は80%以上となっていますので、しっかり養成施設で学んだことが身についていれば、十分合格に手の届く試験です。
参考:厚生労働省 第22回言語聴覚士国家試験の合格発表について
言語聴覚士の養成施設の特徴
言語聴覚士の養成施設には、大学、短大、専門学校などがあります。
高校生から目指す場合は、言語聴覚士の養成所で3年以上学ぶ必要があるので、4年制または3年制の専門学校、短大に入学・卒業するのが一般的です。
それに対して、大学の他の学部を卒業した人は、言語聴覚士の養成所で2年以上学ぶことが必須となっているので、指定された大学・大学院の専攻科または専修学校(2年制)に入学・卒業する人が多くなっています。
専門学校(3・4年制)
言語聴覚士の国家資格を取得し、現場に出ることを最大の目的とした養成校です。
このため大学や短大以上に臨床実習や国家試験対策に力を入れたりと、実践的なカリキュラムを組んだ学校が多く見られます。
また、高校卒業者だけでなく社会人など、さまざまな年代やバックグラウンドを持った人が通学しているのも専門学校の特徴です。
「絶対に言語聴覚士になりたい」「現場ですぐに即戦力となれる力を身につけたい」という方にぴったりの進路だといえるでしょう。
4年制大学
総合大学・医療福祉大学・保健科学大学などの医療保健学部や人間科学部に設置された、「言語聴覚学科」や「言語聴覚学専攻」なども、言語聴覚士の養成校の一つです。
言語聴覚士になるために必要な専門知識に加え、広く一般教養を身につけることができます。
また、4年制大学を卒業すると学士の称号が得られるため、将来の選択肢が広がるというのも1つのメリットだといえるでしょう。
短大(3年制)
短大(3年制)は言語聴覚士の養成校の中で、ちょうど大学と専門学校の中間といったような位置付けになります。
一般教養を幅広く学ぶことができる点は大学と同じ、そして3年という短い期間で現場に出られるという点では専門学校と同じです。
大学より1年間学ぶ期間が短くなりますので、忙しい学生生活となるかもしれませんが、「基礎的な知識と技術を身につけたらすぐに現場に出たい」という方におすすめの進路だといえるでしょう。
大学や専門学校(2年制・1年制)
4年制大学を卒業していれば、2年制の専門学校や、大学の2年制のコースに入学することも可能です。
すでに大学卒業の学位を持っていて、言語聴覚士に必要な知識と技術を短期間で身につけたいという方におすすめの進路だといえるでしょう。
また、言語聴覚士の養成に関わる一定基準の科目をすでに習得している方向けに、1年制のコースを用意している学校もあります。
言語聴覚士の養成施設で学ぶ内容
言語聴覚士の養成校では、大きく分けて以下の3つの分野を学びます。
- 基礎分野
- 専門基礎分野
- 専門分野
基礎分野は人文科学や社会科学などの一般教養が中心です。
それに対して専門基礎分野では、言語・コミュニケーション行動の基礎として、医学や心理学について学習。
そして専門分野では、言語聴覚士が治療の対象とする障がいや疾患についてさらに詳しく学びます。
また、実際に病院やなどの現場で経験を積む臨床実習も、12単位480時間以上が必ず養成施設のカリキュラムに含まれています。
必要科目と単位数
言語聴覚士となるのに必要な履修科目と単位数は養成校の形態によって異なります。
まず、4 年制大学と高校卒業者を入学資格とする 3 年制と 4 年制の専修学校は、基礎分野が 8 科目 12 単位、専門基礎分野が 10 科目 29 単位、専門分野が 6 科目 44 単位(うち 12 単位は臨床実習)、選択必修分野 8 単位からなる合計 93 単位が必要。
4 年制大学の場合は、 124 単位以上の修得が卒業要件となります。
また、4 年制大学卒業を入学資格とする2年制・3年の専修学校、大学専攻科、短期大学専攻科の養成校は、基礎分野と選択必修分野を除く合計 73 単位を修得することとなっていいます。
言語聴覚士養成校の選び方
進路となる言語聴覚士の養成学校を選ぶポイントとしては、学校の形態のほかに、実習内容と設備、そして国家試験の合格率などがあげられます。
言語聴覚士として現場で経験を積む臨床実習は、学校の関連病院や施設にて行われるほか最新の機器や実習室などの設備も学校によって異なるため、オープンキャンパスなどのイベントに積極的に足を運び、実際に見学するのがおすすめです。
また、言語聴覚士として働くためには、まず国家試験に合格しなければなりません。
その目標が達成できるよう授業のサポート体制は整っているかどうか、例年の合格率はどのくらいかなども、合わせてチェックしておくとよいでしょう。
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徹底的な国家試験対策講座と、担任制によるきめ細やかな指導で、全員を合格へと導きます。
養成施設の学費はどれくらい?
言語聴覚士になるためにかかる学費は、大学が平均595万円(※近畿9校の平均学費)。
それに対して専門学校は、4年制が平均495万円(※全国7校の平均学費)。
3年制の場合は、平均420万円(※近畿3校の平均学費)となっています。
ちなみに2年制の養成校は通学する年数が少なくなる分、130万〜300万円前後で通うことが可能です。
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約2ヶ月間の実習など、実践型の授業を多くとりいれているため、現場ですぐに活躍できる知識と技術が身につきます。
学費も470万円前後と3年制の専門学校とほぼ変わらない金額で、4年間じっくりと言語聴覚士になるための準備をすることができますよ。
言語聴覚士の活躍の場所
言語聴覚士は、言語聴覚士は医療機関だけでなく、保健・福祉機関、教育機関など幅広い領域で活躍しています。
支援とする対象は、病気や事故により「話す」「聞く」「理解する」がうまくできなくなってしまった患者さんや、言葉の発達が遅れている子どもたち、そして食事がとりづらいお年寄りの方などです。
医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士など医療専門職と、ケースワーカー・介護福祉士・介護援助専門員などの保健・福祉専門職、教育・心理専門職などさまざまな職種と連携し、リハビリテーション医療を行っています。
それでは、言語聴覚士が活躍している場所について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 医療機関
- 保健施設
- 福祉施設
- 教育機関
医療機関
言語聴覚士のほとんどは、病院などの医療機関で働いています。
具体的な職場としては、大学病院、総合病院、専門病院、リハビリテーションセンター、地域医院、診療所などがあげられます。
活躍している主な診療科目は、口腔外科、耳鼻科、リハビリテーション科、小児科、形成外科などです。
患者さん一人一人に合わせたリハビリテーション計画を立て、機能の回復を目指して訓練を行います。
介護保健施設
最近では、高齢者や認知症患者の増加にともなって、介護保健施設で活躍する言語聴覚士も多くなっています。
具体的な職場は、介護老人保健施設やデイケアセンター、訪問看護事業所、訪問リハビリテーション事業所などで、言語聴覚士は施設の利用者に対して、言語や認知機能の訓練や、レクリエーションを実施します。
そのほか、栄養士と協力して摂食障がいや嚥下(食べ物を飲み込む働き)のサポートをしたり、介護職員に食事の介助をアドバイスすることもあります。
福祉施設
言語聴覚士は、特別養護老人ホームやデイサービスセンター、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設などの障がい福祉分野でも活躍しています。
言語や聴覚、音声、摂食機能に障害を抱えている人に対して、機能の回復や日常生活の支援を行います。
教育機関
言語聴覚士の中には、小中学校や特別支援学校で、障がいを抱える子どもたちの指導や、言葉の発達の支援にあたる言語聴覚士もいます。
ただし、教員として働くには教員免許が必要です。
また、医療施設や介護施設などの現場で経験を積んだ後には、大学、短大、専門学校などで言語聴覚士の養成校の講師になったり、研究施設に勤めたりという働き方もあります。
言語聴覚士の就職状況
1997年に誕生以来、言語聴覚士の国家試験には毎年1500人ほどが合格し、有資格者数は2021年3月時点で、3万6255人となっています。
言語聴覚士の職能団体である一般社団法人 日本言語聴覚士協会の会員データによると、現会員のうちの有識者16.206人の就職先の内訳は、病院などの医療機関が全体の71.7%。
それに次いで、老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護・福祉分野の割合が22%。
学校教育や養成校、研究機関などの教育分野が4.8%、その他が1.5%となっています。
また、言語聴覚士が支援の対象としている障がいは、摂食・嚥下と言語・認知能力が同率で1位。
次いで多いのが、発声・発語に関する障がいで、小児言語・認知など子どもに対する支援は、上位3つに対して30%ほど、聴覚に対する支援は15%程度の割合というデータが算出されています。
言語聴覚士は女性の割合が高い
日本言語聴覚士協会会員の年齢構成は、令和3年3月時点で男性が4,671人、女性が14,495人。
これを割合に直すと男性が24.4%、女性が75.6%という計算になり、言語聴覚士の全体に占める割合は女性の方が高いといえます。
他のリハビリテーション専門職と比べて内勤が多い、力仕事が少ないなど、女性にとって働きやすい環境が整っていることがその一因だと考えられるでしょう。
また、国家資格のため結婚・出産などのライフイベント後も仕事に復帰しやすく、体力が衰えても続けられる業務内容であることから、長く働ける仕事の一つとして人気を集めています。
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就職率は100%で病院や福祉施設、小児分野などどの領域に関しても多くの実績を誇っています。
全国各地の求人情報を収集しているので、Uターン就職など希望する地域での就職はもちろん、結婚・出産後の再就職先も紹介しています。
自分が活躍したい領域や、理想とする働き方に合わせた進路が選べるので、学生生活では安心して勉強に打ち込むことができますね。
言語聴覚士の給料・年収
言語聴覚士の初任給の平均は22万円〜26万円と言われています。
月の平均給与は25〜29万円程度で、年収に直すと350〜450万円くらい。
同じリハビリ職として働く理学療法士や作業療法士とさほど変わらない年収となっています。
また、一般的な女性会社員の平均年収は約300万円程度であるため、女性が言語聴覚士として働く場合は会社員よりも高い収入を得られる可能性があるといえるでしょう。
言語聴覚士の現状と将来性
言語聴覚士といえば、「ことば」にまつわるリハビリがメインだと捉えられがちですが、今後は老人性難聴や摂食・嚥下障がいに対するケアが重要になってくると考えられます。
なぜならこれから日本は高齢化社会から超高齢社会に突入。
今後「食べる」「飲む」などの能力に問題を抱える高齢者の方や、認知症の患者さんの増加が予想されるからです。
それにともなって言語聴覚士の需要も高まり、高齢者をサポートする介護・保健施設といった場での活躍がいっそう増えるでしょう。
言語聴覚士のやりがい
言語聴覚士が支援の対象とする、「話す」「聞く」「飲み込む」などの能力は、人とコミュニケーションをとる、ごはんをおいしく食べるなど、どれも生きるよろこびに直結する大切な働きを持っています。
それが困難になるということは、人によってはそのまま「生きがいを失う」ということにつながり、実際に障がいが発覚してから絶望してしまう患者さんも少なくありません。
そんな右も左も分からない暗闇の中で、その人らしいあり方やその人らしい生活を一緒に探し、取り戻すための手助けをするのが言語聴覚士の仕事です。
このため自分の考えたリハビリのプログラムによって機能が改善したり、少しずつできることが増えたりして、患者さんの笑顔や回復する姿を見られることが、言語聴覚士のやりがいだといえるでしょう。
言語聴覚士に向いている人
言語聴覚士は幼児からお年寄りまで、さまざまな年代の人を対象に支援を行う仕事です。
このため言語聴覚士には、「人が好き」「困っている人の役に立ちたい」という気持ちを持っていて、なおかつコミュニケーション力のある人が向いています。
特に言語聴覚士が相手にする患者さんは、思い通りの表現ができず悩んでいる人が多いので、口の動きなどの細かい動作から、相手の気持ちを察してあげられる洞察力が必要です。
また、リハビリは短期間で結果が出るものではないので、時には患者さんが訓練に対してネガティブになってしまうことも。
そんな時は寄り添って、患者さんがまた前向きな気持ちでリハビリテーションに取り組めるまで支える根気強さも、言語聴覚士には必要です。
言語聴覚療法のスキルの上達には
患者さんの抱えるさまざまな問題を総合的に解決するためには、言語や食事の改善といった専門分野に限らず、他の専門家の視点や情報を取り入れて支援することが大切です。
そのため、医師や理学療法士、作業療法士など他の職業の人と多く関わりながら学びを応用することが、言語聴覚療法のスキル上達につながっていきます。
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神戸医療福祉専門学校には、理学療法士科や作業療法士科など、言語聴覚士と関連する職業の学科もあります。
こういった他の医療職と連携した学びが得られるのも、神戸医療福祉専門学校の魅力。
各学科の専任教員が行う授業や多職種連携授業など、医療・リハビリテーションの知識を深める機会が多く設けられているので、しっかりチーム医療について学べます。
言語聴覚士を目指す人の理由
言語聴覚士は、日常生活で関わることの少ない職業。
そのぶん「身近な人が言語聴覚士にお世話になった」というきっかけで、言語聴覚士を目指しはじめた先輩が多いようです。
また、「人の役に立ちたい」という理由で介護・福祉系の勉強をしていくうちに、言語聴覚士という職業に出会ったという人もたくさんいます。
そのほかにも、言語聴覚士は国家資格であるため「将来的に長く続けられる仕事である」ということが職業として一つの魅力になっているようです。
言語聴覚士の1日
勤務先によって、言語聴覚士の働き方、1日のスケジュールは大きく変わってきます。
ここでは言語聴覚士の7割が働いているという医療機関を例に、その1日を見てみましょう。
出勤したらまずはミーティングを行い、患者さんの情報を共有。
午前中は、リハビリテーションが必要な人の自宅を訪問したり、病院に入院している患者さんの訓練を実施します。
お昼の時間は、飲みこみに問題がある患者さんの食事の様子を確認するために、病室をまわることが多いです。
午後の業務では、のどの動きを確認するためにレントゲン撮影に付き添ったり、カルテに検査の結果を記録を行ったりします。
夕方になると同じ患者さんを担当する理学療法士と集まって、今後のリハビリテーションについて打ち合わせ。
このように言語聴覚士は日々、患者さんの様子や検査結果、そして打ち合わせの内容を反映しながら、リハビリテーションを計画・実施していきます。
一人一人に合ったリハビリ計画を立てるためには、患者さんご本人やそのご家族とのコミュニケーションが大切です。
また、自分だけでは考えつかなかったアイデアや施策を提供してもらえることもあるため、他の職種の方ときちんと連携を取り、チーム医療を提供することも重要になってきます。
言語聴覚士と他職種の違い
言語聴覚士は、「リハビリテーションに興味がある」「子どもが好き」などといった人に人気のある職種です。
そこで、よく言語聴覚士と比較されることが多い、他のリハビリ系の国家資格や保育士などの職業についてその違いを紹介します。
リハビリ系の国家資格との違い
言語聴覚士はよく、同じリハビリテーション専門職である理学療法士や作業療法士などと比較されます。
リハビリテーション全般に興味があるという方は、職種ごとの違いを知って、今後の進路決定の参考にしましょう。
言語聴覚士 | 理学療法士 | 作業療法士 | |
---|---|---|---|
資格保有者数 | 約3万人 | 約16万人 | 約9万人 |
支援の対象 | 音声や言語、聴覚、嚥下障害 | 身体の障害 | 身体または精神の障害 |
支援の内容 | 話す、聞く、理解する、食べるなどの機能の回復 コミュニケーション手段の確立や補聴器の装着などによる生活の改善 |
座る、立つ、歩くなど基本的な動作の回復 筋力の強化 |
家事や入浴、着替え、文字を書くなど、応用的な動作の回復 精神面のサポートや社会復帰の支援 |
このように同じリハビリ職でも、支援の対象となる人や動作はさまざまです。
その一方で、給与や勤務先については3職種ともに大きな違いはありません。
このため自分の興味のあるリハビリテーションや、自分が活躍したいと思う領域を目指すとよいでしょう。
保育士との違い
障がい児施設などの福祉施設で、子どもたちの支援を行うのも言語聴覚士の仕事の一つ。
子どもの発育や発達を応援するという点では、0歳〜6歳までの乳幼児を保育する保育士と似通っているといえるでしょう。
しかし、言語聴覚士と保育士の違いはあらゆる部分にあります。
例えば、保育士は大勢の子どもたちを一度に見る必要がありますが、言語聴覚士は子ども一人ひとりに対してじっくりと向き合うことができます。
またそれに伴って、一人ひとりをじっくりと見ることで、それぞれに合わせた訓練を行って発育をサポートすることができます。
まとめ
言語聴覚士は、患者さんの「話す」「聞く」「食べる」をサポートする仕事です。
つまり、人の生きる力を支える仕事でもあります。
それだけ、責任があり難しい職種でもありますが、やりがいのある素敵な仕事です。
患者さんの喜ぶ顔や、リハビリのおかげで症状が改善することの感動は言語聴覚士でしか味わうことのできないものです。
少しでも、困っている人の役に立ちたいと考えている方は挑戦しがいのある分野です。 神戸医療福祉専門学校の言語聴覚士科では、開校以来の国家試験の合格率は、91.3%! 4年間で計画的に国家試験対策ができるようカリキュラムを組んでおり、無理なく資格取得をめざせます。 また卒業時には「大学卒業者と同等の学力を有する」として「高度専門士」の称号が附与されます。 4年制ならではの豊富な実習と基礎から段階的に学べるカリキュラムで、コミュニケーションの大切さや、その重要性を見つけ出せるような指導が受けられます。 ご興味がある方は、ぜひ以下のオープンキャンパスや言語聴覚士科の詳細情報をご覧ください。 「患者さん一人ひとりに合った提案ができるよう、これからもチャレンジを続けていきたい」(2018年度卒業) 「担当したお子さんが少しずつ上手く話せるようになり、その場面をご家族とも一緒に共有できてとてもやりがいを感じた」(2018年度卒業) ご興味がある方はぜひ以下のリンクより学校の詳細をご覧ください!
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監修・運営者 | <神戸医療福祉専門学校 三田校> 理学・作業・言語・救急・義肢 |
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